2014年12月3日水曜日

フォード・マスタング 「限定車だけで終わりなんてことは・・・」

  2.3L直4ターボで465万円ですか・・・。マスタングで直4というのはいかがなものなんですかね。2ドアボディは本来自由なクルマで、ラフorラグジュアリーに構えるならば特にエンジンを選ばない!という判断もできそうですけど。先代モデルは2万ドルでV6モデルが買える!というアメリカ自動車産業の懐の深さを見せつけるクルマだったんですが、新型モデルが登場してみると、日本仕様はじわじわと値上がりしたようで、気がつけばBMWなどとほぼ変わらない価格になってしまいました。たしかに700万円以下でV8モデルに乗れる点ではコストパフォーマンスの高さを感じますが、比較的手頃なベースグレードに関しては今のところ割安感はないです。

  日本車もドイツ車も選び放題の日本市場で、わざわざマスタングの4気筒に乗ろう!という人はよほどの「マツダオタク」くらいじゃないでしょうか。マツダが設計したMZRエンジンをベースにしているフォードの2.3L「エコブースト」は、その排気量からも、マツダがかつて発売していた「マツダスピード・アテンザ」や「マツダスピード・アクセラ」に積まれたユニットが連想されます。マツダのものは横置きでMSアクセラに至ってはFFだったために相当にデチューンされて安全に走れるものになっていたようですが、マスタングは当然にFRなので、4気筒エンジンとしては世界最高峰に位置するMZRエンジンのポテンシャルをかつて無いほどに引き出した超絶ヴァージョンになっています。

  かくいう私も相当なマツダ贔屓なので、「マスタング買うならV8だろ!」という信念を持ちつつも、「MZRエンジンならば、直4もアリだな・・・」と思ってます。現在のところ日本への正規輸入は直4ターボのみ価格がアナウンスされている状態です。日本の税制を考えたら3.7LのV6や5LのV8よりも、2.3Lが相当にリーズナブルなのは確かですけど、そもそも自動車税のこと考えてる人はマスタングなんてまず買わないでしょう。「スタートエディション」ということで少々高めに設定されての465万円なんでしょうけど、マスタングのイメージに合わない直4のみでしかも右ハンドル導入が決定されてる中で、第一弾は左ハンドルのみですから、売れ残り必至じゃないかという気がします。

  あと1年ほど待てば直4モデルならば400万円以下(であろう)の通常グレードで右ハンドル車が買えることがすでにバレバレです。足回りに大きな変更があってマルチリンクを採用したので、乗り心地の熟成・改善のためにも年次改良を2~3回ほど待ったほうがいいのかもしれません。BMWを買わないでマスタングを待つ人々ならば、それくらいのことはお見通しですから、この初期モデルは予想以上に苦戦しそうな気がします。しかしその結果を受けて新型マスタングの日本導入は「見送り」なんて最悪な決定が下されたりするのはちょっと困ります。

  新型マスタングが300万円台で、右ハンドル装備で、2.3L直4ターボ318psというスペックならば、日本市場のBMW、レクサス、日産などに大きな影響を与えてくれるでしょう。BMW328の2L直4ターボ245psで604万円という「殿様商売」な価格がアホらしく思えてくるでしょう。3シリーズよりもかなり大きくて余裕のあるボディを持ち車重も100kgしか変わりません。「大き過ぎる」「2ドア」というネガさえなければ、まずはマスタングを考えよう!という気になるはずです。確かにBMWの直6には美学がありますが、435iで765万円となり、おそらくマスタングのV8モデルが買えてしまいます。そして直4エンジンに関してはBMWは二流の域を出ず、マスタングに使われる「MZR」の素性と比べるとドイツの雑誌がBMWの全面敗北を認めてしまうほどの開きがあります。

  年明けにも発売されるというスカイライン・クーペも今頃は価格設定にあれこれ苦慮していると思います。マスタング陣営が、世界最高の6気筒を持つ日産の新鋭クーペを過度に警戒しているのは確実で、おそらくマスタングの通常価格を発表せずに「後だしジャンケン」を意図しているように思います。メルセデスの2L直4ターボ211psがベースグレードに使われるようです。マスタングとほぼ同じ車重を誇るスカイラインですから、やはりBMWの直6を圧倒した「伝家の宝刀」であるV6搭載モデルでないと、スポーティで魅力的な日産らしさは得られないですし、マスタングのコストパフォーマンスの前に霞んでいまう恐れがあります。先代モデルくらいの価格で登場すればかなりセンセーショナルではありますが・・・。この10年で国産車ファンにとっての「心の拠り所」といった地位を確立したスカクーには今後もぜひ頑張ってもらいたいです。

  さてマスタングの眼前で丸裸になっているのがレクサスRCです。いまいちスペシャル感が伝わってこないのは、レクサスへの偏見もあるのかもしれないですが、このRCと新型マスタングが駐車場で並んだ光景を見れば、RCのオーナーはかなり悔しい思いをさせられそうです。それでもRCには「350Fスポ」と「RC-F」というトヨタの実力を端的に示す素晴らしいグレードがあります。レクサスへの批判をぴしゃりと止めたのが、スーパーカーの「LFA」と「IS350Fスポ」でBMWや日産を相手に完全勝利を目指した「開発資源の投入」はVWグループの戦略を彷彿とさせます。ランボルギーニやポルシェを作るほどの情熱を本体価格615万円の「IS350Fスポ」に注ぎ込んだわけです。

  評論家の間でもこのレクサスの動きには当然に大きな衝撃があったようです。今ではBMW3シリーズや5シリーズが素晴らしいスポーツセダンだと呑気に言っている評論家は急速に減りました。BMWと言えばやっぱり「i3」でしょ!なんてそんな調子です。レクサスとしては「IS350Fスポ」のDNAを引き継いだ「RC350Fスポ」と「RC-F」も、VWグループとのつば迫り合いの中で必要な戦略モデルになっているようです。このトヨタの動きに呼応して日産もBMWもさらなる努力をするでしょうし、ホンダも間もなく日本にレジェンドを再登場させます。しかし615万円という価格も決して安いものではないですから、そこに新型マスタングが300万円台〜の価格設定で投入されれば、トヨタも「IS350Fスポ」のノウハウを使った対抗モデルを用意してくるのではないかという期待もできます。なんとか無事に新型マスタングがフルグレードでの日本上陸を果たしてくれればと思います。


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2 件のコメント:

  1. いつも楽しくブログ拝見しています。
    この記事への直接の感想というわけではないですが、アメ車関係の記事が気になりました。
    これからも更新がんばってください。

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    1. コメントありがとうございます。
      今後も気になったアメ車についてどんどん書いていきたいと思います。

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