2013年3月18日月曜日

アテンザが開けたドイツ車の風穴

  3代目アテンザが大人気になっています。「かっこよくなった」と言われてますが、それよりむしろマツダが売り方を工夫したことが大反響の要因じゃないでしょうか。モデルカーを発表して「このまま出します」とかいって注目を集めておいて、周知されたタイミングで発売するという絶妙な作戦だったと思います。発表してすぐ発売してもそこそこは売れたと思いますが、この1年がかりの作戦のおかげで従来マツダの車種なんて関知しない輸入車ユーザーを動員することに成功したようです。「国内生産維持!」を掲げるマツダのカタルシスをぶつけるなら輸入車ユーザーが効果的という判断も素晴らしいと思います。

  アテンザはBMW3をベンチマークして作られていますが、BMW3の最近3代(E46・E90・F30)とアテンザの3代(GG・GH・GJ)のデザインを比べてみても全く遜色ない出来になっています。特に先代のE90とGHを比べると、サイズの違い(GHの方が175mm長い)もありますが、伸びやかで造形美にも優れるGHの方が圧勝していることが分かります。これはBMWにとってもかなり衝撃的だったようです。エンジンの設定もほぼ同等で320iと20Sが4気筒NA。軽量化技術に勝るマツダのつくった車体はE90よりも大きいにも関わらず軽くハンドリングも軽快(BMWはトヨタに軽量化技術の提供を要請)。欧州仕様ではGHにディーゼルを搭載せいていて、これがMBやBMのものよりも性能がよく、さらにサスペンションの仕様もマツダの方がワンランク上(E90は前輪ストラトでGHはDWB)なので欧州ではBMW3(E90)より価格が高いMAZDA6(GHアテンザ)が良く売れました。

  危機感を持ったBMWが自信を持って2011年に送り出したのが現行のF30です。フロントデザインが「ホンダからMAZDAへ」変わったくらいに繊細な造形を見せ、ドイツ車の殻を破った傑作デザインとしてもて囃されました。エンジンも直4の2Lに2種類のターボを設定し、アテンザとの差別化(エンジンメーカーの意地)を図ってきました。しかし日本市場ではまさかのGJアテンザXD(クリーンディーゼル)投入で、ディーゼル対決へと急速に発展していて、どちらも販売の主流がディーゼルとなっている状況です。ディーゼルでははっきり行って燃費・トルク・走行性能・高回転・静粛性含めて全てマツダのディーゼルが上回っているので、先代以上に今度は欧州だけでなく、日本でも人気が逆転しつつあります。

  なんといっても日本の中堅メーカーが世界的ブランドBMWの主力車種である3
シリーズを技術とバリューによる正攻法で攻略したことは素晴らしいことです。マツダと同じ水準を持ち欧州メーカーを凌駕する力がある日産や三菱でも同じことができたはずです(実際に北米ではスカイラインがBMW3を倒しましたが・・・、あとGT-Rがポルシェターボも圧倒もしました・・・)。

  マツダのアテンザは初代(GG)二代目(GH)三代目(GJ)のどれをとっても素晴らしいクルーズカーだと思います。アテンザがスカイラインと違うのは、ハイパワーに頼ることなくドライブの楽しいクルマ、つまりクルーズカーとして最高のクルマを作ろうと考えて、そのジャンルの世界最高峰に位置するBMW3に挑みかかっていって周囲の予想とは裏腹に見事その座を奪ったことにあります。もちろんスカイライン(V36)もハイパワーで内装も素晴らしくGTカーとして高いステータスを持ったクルマです(北米でもドイツでも大人気です)。自分ひとりで突っ走るならスカイラインが楽しいですが、誰かを隣りに乗せて特別な時間を楽しむならアテンザじゃないかと思います。これからも日本のクルマメーカーにはこれらに続く素晴らしいクルマ、特にGTカーとクルーズカーを期待したいです。


↓このシリーズには珍しく写真に力入れてますね。CGの別冊か?というノリです。



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