2013年10月11日金曜日

レクサスLS 「200万円で買える世界のトヨタの頂・・・」

  たとえ15万キロオーバーの過走行車であっても、レクサスLSは全車がV8エンジンなので耐久性も高く(単純に直4の2倍)、30万キロくらい軽く絶好調で走るらしいので、実質5km/L程度の燃費さえ気にならなければ5年落ち200万円は相当にお買い得です。

  それでも新車乗り出しで1000万円するクルマが5年で200万円!はいくらなんでも値落ち幅が大き過ぎる気がします。しかも10万キロ超のクルマだけでなく、6万キロ前後の通常走行車でも300万円を下回るクルマがたくさんあります。しかも日本のLSはフロントデザインの大規模な変更は行われていますが、まだFMCをしておらず全てが現行モデルなのにこと「下落」です。実質的なFMCと言えるくらいの過激なフロントマスクの変更がありましたが・・・。

  新型グリルの搭載だけでなく、LSの中古車がここまで安くなる理由は他にもあります。2008年くらいまではリーマンショック前ということもあって、今とは高級車に対する認識もだいぶ違っていたようです。当時はまだレクサスが出来て日が浅く、新しいものが好きな日本人のお金持ちが興味を持ったため、LSも相当に売れました。法人名義の割合が多いのは事実ですが、実際は社用車としての利用よりも多くは個人利用しているようです(経費で落としているだけ)。それだけLSにステータスがあったわけですが、まさかトヨタブランドのクルマよりも劣悪な下取り価格の下落が待ち受けているとは思いもよらなかったわけです。

  2008年以降の経済不況はクルマ産業にも大きな影響を与えました。欧州の中堅自動車メーカーはことごとくインド、中国、カタールなどの資本下へ売却され再建の道を進んでいますが、一時はクルマが全く売れずに日本から事実上撤退を余儀なくされるメーカーが続出しました。またこの不況によりアキュラやインフィニティの日本参入を白紙撤回される事態になりました。

  これらはレクサスにとっては追い風だった部分もあるようですが、高級車ブランドの需要がレクサスに過度に集まったことで、供給過多に陥り中古車価格に大きく影響するようになりました。中古車価格の暴落は新車販売の低迷にも直結し、下取りを考えるならレクサスより輸入車ブランドの方がお得という状況になっているようです。

  この頃からレクサスは「ブランド活性化」を図るためにフロントデザインをFMCを経ずに大きく「カスタマイズ」する最先端のブランドビジネス戦略を展開するようになりました。日本でポピュラーなプレミアムブランドの中では、BMWとアウディはFMC以外でのエクステリアの変化が少なく、レクサスとメルセデスはMCでも大きな変更を加える傾向があり、大きく2つに分かれるようになっています。

  クルマの性能で勝負するのがBMWとアウディで、ブランディングで勝負するのがレクサスとメルセデスと安易に分類するのはどうかと思いますが、どちらも一長一短あって、BMWとアウディは「鮮度」を感じないという声もありますし、レクサスやメルセデスはデザインの劣化が早くなる傾向があります。

  結局のところ中型車にウエイトを置くBMWとアウディ、大型車にウエイトを置くメルセデスとレクサスの戦略上の違いなのだと思います。大型車の販売が滞りかけた2008年以降はメルセデスもレクサスもなりふり構わずのフェイスリフトを展開するようになり、顧客にモデルの買い換えを半ば強要しました。その結果として、大量発生したのが200~300万円の5年落ちLSだったり、イヤーモデルの新古車で700万円まで引き下げられたSクラス(大抵は350だが・・・)だったりするようです。

  他にもジャガーXJ、BMW7、パナメーラなども昨年モデルの新古車で走行1000km程度のものが700万円台でたくさん売られるようになっていて、マセラティ・クワトロポルテ以外は超高級車とはいえ大した評価がされていないのがよくわかります。それでも新車を買ってくれる顧客に優越感を存分に味わってもらうために(買い換えを促すために)、今後はますます「フェイスリフト」が大流行しそうな予感です。


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↓ここまで違えばフルモデルチェンジじゃないのか〜

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