2014年4月14日月曜日

ジャガーFタイプ 「越えられない壁」

  スーパーカーの線引き?というわけじゃないのですけど、「リアル」での会話で話題になったときに、どうしようもない違和感を感じることが・・・。スポーツカーといってもその中ではピンキリで「Fタイプ(1000万円)」「アヴェンタドール(4000万円)」「ヴェイロン(2億円)」の3台は全然別の次元のクルマなんだ!という前提がない人(普通の人ですが・・・)と話をするときは結構厄介だなと思います。とりあえず私のような貧乏人は「Fタイプ」には興味あるけど、「アヴェンタドール」「ヴェイロン」クラスには全く感心がないわけです。

  「この前ジャガーFタイプっていう新型スポーツカー見たんですけど、"存在感"が想像よりも断然にスゴくて!やっぱり音かな・・・」とか率直な感想を述べたりと、まああれこれ話した後で、最後にボソっと「やっぱスーパーカーといえばヴェイロン」みたいなこと言われると、思わず「え?」ってフリーズしちゃいそうになります。そして内心ではヴェイロンなんてコストと使用環境考えるとスーパーカーというより「飛べない自家用ジェット」じゃん! VWもそんなくだらないもの(失礼!)をつくる暇があったら、ホンダみたいに小型ジェット機でもつくればいいじゃん。

  「Fタイプ」も「ヴェイロン」もひとまとめに「スーパーカー」と分類するのが、ちょっとややこしいです。人によっては「Fタイプ」はただのスポーツカーだと主張されるかもしれませんが、日本車初のスーパーカーがホンダの初代NSXだとするならば、このFタイプもスーパーカーでいいと思います。そして実際に道でこれらのスーパーカーに出会うと、もう全てが違うことにガキみたいに興奮してしまいます。

  「マセラティ・グランツーリズモ」や「BMW6」を見ても「いいな〜」とは思いますが、スーパーカーを見た時の「心が震える」感覚とは、残念ながら全く異質で、あくまで「良いデザインの高級車」でしかありません(良いデザインのクラウン?くらい)。FRに4座というありきたりな「高級車設計」であることと、ブランドの他のモデルとデザインを共通としている点がプレミアムブランドの「高級乗用車」であり、その既成概念を全て打破した段階のクルマに「スーパーカー」のオーラが宿るのかなという気がします。

  先日、某高級住宅街の路上でジャガーFタイプに遭遇しました。時速30km程度の低速で狭い路地を突き進んでいましたが、やはり別格ですね。この街区にはパナメーラが青空駐車されていたり、路地に面する住宅前の駐車場の半数以上がドイツ車によって占められているような場所なんですが、Fタイプの「破壊力」は完全にそれらの上に位置しています。その光景を見てこのクルマの隠された「価値」はこれだ!と気がつきました。

  最近ではメルセデスやBMWの価値がかなり暴落していて、輸入車大好きなライター達もこの状況を機敏に感じ取っているようで、昔と比べてEクラスや5シリーズを絶賛するような記事は見られなくなりました。誤解を恐れずいうならば、Eや5が例えばマツダアテンザと比べて良いクルマだと確信させてくれる決め手がなくなってしまったことが大きいのかも。アテンザだけではなく、プレミアムセダンを喰ってしまうような好デザインのクルマは着実に増えてきています。

  もはやAMGやRSといった高性能モデルとレクサスLSやメルセデスSのようなクルマじゃないと「プレミアムブランド」の価値を十分に表現できなくなってきたわけです。カッコ悪いしエンジンは4気筒ターボだし、「メルセデスって何?」「BMWって何?」・・・まあそういう時代です。そんな中途半端なターボエンジン載せるくらいなら、トヨタに頭下げて、プリウス用とカムリ用のHVシステムを貰い受けて1〜7シリーズとA~Sクラスまでベースグレードに使えばいいと思ってしまうくらいです。

  閑静な高級住宅地の近くには必ずといっていいほど「反社会勢力(ヤクザ)」が存在したりしているわけで、Fタイプを見かけた街でも黒塗りのLSやマジェスタが列を成して狭い路地を走ることがあります。そんな場所でLSやSクラスに乗りたいと思いますか? なのでヤクザに思われたくないけど、国産車には無い魅力を備えたクルマに乗りたいという人には「Fタイプ」というのはかなり理想的な選択じゃないでしょうか?


リンク
「ジャガーFタイプの試乗動画」

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