2014年10月28日火曜日

ロータス・エキシージSロードスター 「なかなか無視できない価格かも」

  人生で2シーターのオープンスポーツを所有することはあるのかな・・・。もしあったとしても通算で1~2台ってとこだと思うので、マツダ・ロードスターとポルシェ・ボクスターさえあればあとはどうでもいいかも・・・でもなんだかんだで日々あれこれ妄想してます。クルマ選びは本当に楽しいので、仕事がしんどい時などにふと考えると、なかなか精神衛生上にも良い効果があります。特に非日常なクルマというのは想像している段階が一番幸せで、いざ「買うぞ!」となって現実的に維持費を計算し始めると、とたんに熱が冷めるなんてこともあります。「ボクスターならなんとかなるかも!?」と思っている分には幸せですが、実際には余裕もないのに安易に買ってしまって、オイル交換で毎回5万円を支払払ったりしていたら、今度は逆に「消耗」してしまいそうです・・・。

  マセラティ・グランカブリオやフェラーリ・カリフォルニアといった貴族趣味のイタリアン・オープン・ラグジュアリーは、とてもじゃないですが現実味が無い価格(新車2000万円〜)です。「手の届く非日常」ということで、ポルシェとジャガーが日本のサラリーマンの懐具合をよく見定めたであろう、ボクスターとFタイプならば・・・ってのが現実です。同じ日本にはマセラティやフェラーリを大胆にも痛車にしてしまう道楽者(不届者)もいるのに、ボクスターでため息をついている自分の小者っぷりが悲しい限りです。

  最近になって英国のスポーツカーブランドであるロータスから「エキシージSロードスター」という2シーターのオープンスポーツが、本体価格1000万円以下という価格で登場しました。パワーユニットはもうロータスではおなじみになったトヨタ製V6スーパーチャージャー(350ps)を使っていて、しかも1200kgを楽に下回る超軽量ボディですから、これだけ見てもスポーツカーとしてのピュア度はなかなかのものです。ライバル車としてポルシェ・ボクスターの新グレード「GTS」やジャガーFタイプのV6スーパーチャージャーが頭に浮かびますが、これだけのリアルスポーツを押し退けてしまう正統スポーツカー設計ですから、少なくとも期待を裏切らないはずです。

  ロータスにはエリーゼというもっと手軽なオープンモデルもあります。元々はトヨタのセリカ用1.8L(190ps)を積んだロードスター版がエリーゼで、そのハードトップ版がエキシージだったようですが、2010年ヤマハがチューンしたエンジンの供給が終わると、この2つのモデルは方向性を分けて、トヨタの別々のエンジンを積むようになりました。現行ではエリーゼが1.6L(NA)、エリーゼSが1.8L(SC)、エキシージSが3.5L(SC)となっていて、エリーゼはマツダ・ロードスター、エキシージはポルシェ911の切り開いているマーケットに接近しているのが分ります。「ロードスターと911以外は亜流」とその著作で言い切ったライターがいましたが、ロータスのマーケティングはその言葉を見事に裏付けています。

  ロードスターと911ですからもちろん価格帯も大きく違うので、エリーゼとエキシージは今では価格差が大きく開いています。その中でエキシージのオープン版が出たのは、少なからずジャガーFタイプの商業的な成功がきっかけだったようです。日本価格では軽く1500万円を超えてしまう911カブリオレに対して、本体価格で1000万円を下回るFタイプとエキシージSロードスターは、かなり割安に感じます(あくまでスポーツカーに取り憑かれた人の感覚ですが・・・)。あとは日本でもアメリカでも「ポルシェの独裁」に対する倦怠感みたいなものも燻っています。新しく設計されたスポーツカーへの渇望はジャガーFタイプの販売を後押ししています(特にアメリカで)。

  今後はホンダもこのマーケットを狙ってNSXの価格設定をしているようで、「フェラーリの性能でポルシェの価格」といった文言がホンダの幹部からも出ているとか・・・。マツダもロードスターとは別の価格帯(600万円前後?)で2017年に新型RX7の投入を予定しているらしいです。そして同年にはトヨタとBMWのコラボによる新型スープラ/Z4も発売を予定しています。これに既存勢力である日産GT-Rとシボレー・コルベットを加えた、600~1200万円(日本価格)、そして300~600psくらいのリアルスポーツによる、まさに過当競争に突入していく様相を呈しています。他にもフォード(マスタング)やフィアット=クライスラー(アルファロメオ、ダッジ・バイパー)も、すぐにこの競争に参加できる能力を持っています。

  ロータスは現在はマレーシアのプロトンの傘下にあって、今後は経営効率を優先するためにライトウエイトスポーツの開発を凍結し、高級SUVなどの売れ筋を目指すといった予測もでてました。しかし現状では世界中のセレブがわざわざマレーシアメーカー傘下のSUVを積極的に選ぶとも思えないのですし、アメリカ市場を見ていてもランドローバーやジープといった伝統のブランドこそ伸びていますが、BMWやポルシェのSUVはそれほど歓迎されていません。やはりロータスは、発表と同時に著名人がこぞって予約を入れたという「エヴォーラ」のような個性的なクルマを作っていたほうが賢明じゃないかと思います。


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