2015年9月18日金曜日

BMW7シリーズ 「ちょっと中毒性がある!」

  存在そのものは知られているけど、誰もあまり本気では欲しがらないクルマ・・・。おそらくこれからも本格的な人気になることは絶対にないであろう不思議なクルマ・・・そんな不思議なクルマの代表格が「BMW7シリーズ」だと思います。映画「トランスポーター」を大興奮で見終った直後ならば、多くのミーハーな人が劇中での颯爽とした姿を見て「7シリーズいいなあ〜」といった想いを一時的に抱くでしょう。

  あるいはユーチューブで人気の「M's TV」を主催しているオサピーさんという人が乗っていたE66の後期モデルを見て、なんだかんだ言ってかっこいいな!!!って目からウロコの人もいるでしょう。あの大批判されたクリス=バングルの奇抜なデザインで登場も、後期モデルはいい感じで修正されていて、まだまだ艶やかな鮮度を保っています(前期から後期になって顔が完全に整形されました・・・)。

  そしてちょっと火が着いた勢いのままに7シリーズの中古車を検索しはじめると・・・、あれれ・・・?まだ10年も経過していないのに、100万円台〜200万円台と軽自動車並みに安いタマがズラリと並んでいます。これだけ安いのになんで売れ残るの?大排気量にありがちな不人気車ですか? 東京の西部(八王子辺り)にはダッジのマグナムやチャレンジャーなどのデカくてハイスペックなクルマを転がす粋な兄ちゃん達をかなり見かけますが、彼らにとってこのBMWのフラッグシップはあまり魅力的ではないのか? OHV8気筒のかったるいアメ車エンジンよりも、バルブトロニック初搭載で噴け上がりも凄まじいBMWの自然吸気8気筒のほうが単純に興奮できる思うのですが・・・。

  やっぱりこのクラスのBMWに好んで乗る連中なんて、しょせんは医者とか弁護士とかちょっと変わったヤツが多いですし、それらの多くが高級車をラグジュアリーなオトナの雰囲気で乗りこなすより、スバルユーザーのようなヤンチャさが目に付く純情派が多いみたいですから、そんなのと同一視されると考えるとちょっと乗りにくいのかもしれません。

  完全に余談ですけど、BMW一筋!とか宣言しているブログをちょいちょい見かけると、必ずと言っていいほどに書き方がインテリなんですよね。「修正主義」というか、研究者が自分の理論に実験結果をこじつけるかのような、ゴリゴリ感が文章全体に散らばっていてしばしば唖然とさせられる事が多いですね。BMWが・・・ホンダ車よりも噴け上がりが悪く、日産車にスペック面で歯が立たず、スバル車よりもトラクション性能が低く、マツダ車よりも静音性が低く、スズキ車よりも安全性が低いという現実が直視できていないんですよね・・・。プリウスのお下がりの素材に三菱のターボ技術使って南アフリカの会社に委託して作られてるのがBMWの現在位置なんですけどね・・・。

  そしてそんな南アフリカ製に乗っている輩ばかりが、私のブログに土足でやってきて「オマエの文章には根拠がない!」とか偉そうなコメント残していくのですから笑えます。こいつら本当にクルマのことわかってないんだな・・・などと思いながらも、要求された「根拠」をいちいち義務感に苛まれながらもイヤイヤ説明するんですけど、彼らがそういった真っ当な話をすぐに理解できるだけの柔軟な頭があるならば・・・南アフリカ製の右ハンドル限定のコクピットが歪なクルマを好んで買わないと思うんですよね。3シリーズの右ハンとか乗る度にハンドル軸が内側を向いているような気がしてならないんですよね。そもそもあの狭苦しいコクピットからして好きになれないですけど・・・。

  いまさらの話ですけど、BMWってEV以外のモデルは、全て3種類のBMWのプラットフォームと1種類のMINIのプラットフォームで賄っています。早い話が5、6、7シリーズ(共通L6プラットフォーム)が同じで、X5、X6が大型SUV用の特別シャシー(L4)を使い、残りは「L7」と呼ばれる汎用FRシャシーを使っています。そしてFFモデルはMINIのものを流用しています。2010年に一斉に採用されたL4・L6・L7の3つのプラットフォームは、L4が米国(スパルタンバーグ)、L6が本国、L7が南アフリカ(ロスリン)、中国(華晨)での生産を念頭においた生産地の役割分担もあるようですが、今後大きく販売を伸ばすと予測される中国市場におけるカテゴリーにあわせて、L6(上級)とL7(下級)の2つのシャシーを作ったと言われています。

  中国で最もシェアを持っているのはVWですが、これは中国国内で最大手の「第一汽車グループ」と組んでいることも大きく影響します。共産党幹部の専用車を手掛ける第一汽車は中国政府の手厚い保護が当然にあるので、VWとドイツ政府はあの手この手で擦り寄って大成功を収めました。その一方でトヨタとマツダは中国バブルが本格化する前に第一汽車との合弁を取り消しています。まだフォード傘下だったマツダはともかく、HV技術の流出を嫌って合弁の拡大を渋ったトヨタは完全なミスチョイスでした。

  ちょっと横道にズレましたが、そんな中国で影響力がある第一汽車グループのプレミアムブランド「紅旗」と一般ブランドである「第一大衆」がターゲットとする客層に合わせてBMWも「紅旗」=L6、「第一大衆」=L7と想定してのクルマ作りが行われているわけです。「紅旗」の主力車種はトヨタのライセンスを買い取ったクラウンマジェスタをベースとしたモデルで、「第一大衆」はVWのゴルフのセダン版であるジェッタをベースにしています。マジェスタに対抗するためにL6には同等の高性能サスが組み込まれました。一方でL7はゴルフ・ジェッタと同等のごくごく一般的なサスで間に合わせています。

  現行のF01/02モデルでは、シャシーが5シリーズ(F10系)と共通になったため、無理に750iを選ばなくても、550iでBMWのフラッグシップ気分が味わえる?といっても良さそうです。むしろエアサスなどのフワフワした要素を排除できる550iの方が純粋にドライビングを楽しめそうです。とは言っても550iも本体価格1100万円ですから・・・もしお金が出来てRC-Fでも買おうかな?というときには有力候補かもしれませんけど。

  BMWだからやはりシャシーのことを最優先に考えると、M3を買うぐらいなら550iを選ぶのが当然になると思います。さらに普段走らせるにしても、L7シャシーのBMWとL6シャシーのBMWでは乗り味が大きく違う(L7車で満足できるハンドリングが未だにない!)だけでなく、周囲からの視線も変わってきます。ただ悲しいのは5シリーズと7シリーズのデザインの差も案外無視できないことです。F10系5シリーズのエクステリアって決して褒められる出来ではないですし、6シリーズもスタイリッシュとはとても言えないやたらとメタボな印象(これはパナメーラの影響か?)で、結局のところ5・6・7の3台をじっくり見比べると、当たり前ではありますが全体的に伸びやかで、個性を感じさせるパーツも豊富に付いた7シリーズが圧倒的に優れています。

  「俺はBMWの自然吸気8気筒に乗りたいんだ!」っていう密かな願望と現実的な中古価格に魅せられて、先代7シリーズを300万円くらいの予算で本気で探してみよっかな・・・なんて衝動が週に2〜3度はやってきますね。個人的な理由ですが、実家の南側に3階建てをつくった方が5シリオーナーなので、家の前に横付けしてやろうかな・・・ってのもあるのですが、このクルマはなかなか中毒性がありますね。7シリーズ・シンドロームとでも名付けましょうか、それにしても中古価格は魅力だと思います。ちなみに先代の5シリーズも100万円前後のバーゲン価格ですけど7シリーズとは違う低スペックシャシーなのでダメですね(直6自然吸気はちょっと魅力ですが・・・)。

  
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2015年7月31日金曜日

アストンマーティンV8ヴァンテージ 「知られざる日本スペシャル!」

  今月号のルボランを読んでいたら、1000万円級スポーツモデル対決として、「ケイマンGTS」と「レクサスRC-F」の動力性能の比較テストに目が留まりました。車重1400kgと1800kgを比べるという企画になんじゃこりゃ?という想いを感じつつも、素直に読んでみるとなんでこの2台が選ばれたのか?という意図は十分に伝わってきます。おそらくこの企画は編集部がクルマ2台とサーキットを用意し、清水和夫氏がそれを存分に吟味してその性能と印象を記事にするという段取りになっているようです。

  少々失礼ですが、この2台をブッキングした編集部の人はとてもいい仕事をしていると思いますけど、肝心の清水氏がこの2台が選ばれた意図がイマイチ解っていないのではないか?という印象を受けました。ピュアスポーツの性能基準にするならまちがいなく「ケイマンGT-S」に軍配が上がるでしょうし、単純に一人乗車で限界性能を探るという条件ならなおさらで「レクサスRC-F」に勝ち目は無いわけです。しかし今回は「こんなアンフェアな条件でRC-Fを貶めるな!」なんて思いは少しも湧きませんでした。

  テスト結果も少々意外で、400kgも重い「レクサスRC-F」が「ケイマンGT-S」とブレーキ性能がほぼ一緒という驚異のデータが出ています。この結果はレクサスのイメージを大きく変えることになりそうです。なんといっても相手が「ブレーキ王」のポルシェです。「RC-F」が「BMWZ4」や「メルセデスSLK」にブレーキングで互角であっても全然驚きませんが、相手が「ケイマン」ですからこれは価値がデカいです。「レクサスRC-F」はこんなにいいクルマだったとは!あとは車重が150kg軽ければ、がむしゃらに貯金したいですけどね・・・。ちなみに何で清水さんは企画の意図がわかっていないのか?というと、この自然吸気スポーツモデル対決の場に、完全なる部外者といえるクソ・ターボの「BMW M3/M4」や新型の「C63AMG」を持ち出してきたことです。

  ほかのライターもしばしば「レクサスRC-F」のレビューで引用していますが、「BMW M3/M4」や「メルセデスC63AMG」はレクサスの開発者としては一番比較してほしくない相手なんじゃないですかね。おそらくレクサスの開発者は3シリーズやCクラスをある意味で軽蔑しているはずです。レクサスRCは発売当初から、トヨタのアイデンティティとも言えるハイブリッドユニットが設定されていますから、「燃費を気にする人」と「官能を求める人」を完全に分けたマーケティングをしています。それぞれに高い顧客満足度を目指していて、その中で5LのV8自然吸気という魅惑のユニットが実現しました。一方で最新のBMWやメルセデスは高性能モデルであっても10km/Lを軽く超える燃費を出さなければ!みたいな曖昧さが介在しています。「RC-F」と「M3/M4」を不用意に同列に置くライターを見かけるとちょっとデリカシーが無いな・・・と感じてしまいます。

  さてBMWやメルセデスを脇役に追いやり、輝きを見せる「ケイマンGTS」と「レクサスRC-F」ですが、このルボランの企画で明らかになったのは、1000万円使えるなら当然に選択肢に入るであろう、自然吸気のスポーツエンジンを持つこの2台が、どちらも「未完成」だったということです。400kgも重い相手である「RC-F」に加速も減速も同等の結果を出された「ケイマンGTS」には、やはり不満が残ります。旧式フラット6エンジンを使い続ける限界と、ポルシェがここ数年なかなかモノにできていない可変ダンパーを組み込んだ足回りの開発に、まだまだ大きな課題があることがハッキリしました。一方で「RC-F」はあと150kgのダイエットでクルマの価値が数倍上がる(価格も上がる?)、けど現状では「峠」では使い物にならないという話です。

  しかし実際に、ドイツと日本それぞれの頂点といってもいい2台にケチが付けられるほどの「理想的なスポーツカー」はどこにあるのでしょうか? 先日ちょっと人生観が変わるような体験をしました。長野〜群馬の県境の峠をゆるゆると走っていると、なんと「V8ヴァンテージ」を見かけました。「こんなところにアストンマーティン?」めちゃくちゃビックリして、停止して道を譲ったあとしばらく呆然と見送りました。有名な碓氷峠ではなくて、かなりマイナーな県道124号です。峠区間にはかなり長い区間センターラインもありませんし、その日は土曜日でライダーもちらほらと駆け抜けていきます、あんまり無茶できるルートではないですけど、早朝に走る分には交通量も少なくて気に入っているわけですが・・・。

  そんなところに「ヘビー級スポーツカー」がやってくるなんて考えもしなかったですけど、この「V8ヴァンテージ」にとってはここが最良のステージだ!と言わんばかりの滑らかでリズムのいい走りをしていました。「アストンマーティン」ってこんなに器用なクルマなの!?ってのが率直な感想でしたが、家に帰ってあれこれ調べると、「全長4385mm、ホイールベース2600mm、車重1630kg」に加えて「自然吸気4.7LのV8」しかも「ドライサンプ」。なるほど!こりゃ凄いや・・・。

  レクサスはより究極的な「RC-F」を目指すなら、この「V8ヴァンテージ」を手本に、構造そのものの軽量化と、エンジンのドライサンプ化で低重心とすることで、よりピュアスポーツに近づけるのでは?と思います。「ケイマンGTS」はミッドシップゆえにフロント荷重に問題が起こりやすく、旋回性能にムラが出てくるので、それを電子制御で過度に抑え込む設計は、今では安全上必須なんだと思います。しかも911を超えてはいけないという制約がブランド内で存在するのでパワー一辺倒にも出来ず、しかも「トヨタ86」のような気持ちよく振り回せるモデルも人気になっている中で、いまいち「売り」がハッキリしないクルマかもしれません。

  ポルシェというのはやはり「アウトバーン仕様」が原則のスポーツカーであり、ボクスターに使われた「プロムナードカー」という表現も、「トヨタMR-S」や「ホンダS660」といったミッドシップ2座オープンスポーツというグループを指すものであり、絶対的な戦闘力を高める方向には構造的に持っていきにくいという「矛盾」を孕んでいるように思います。やはりフェラーリだ!ランボだ!マクラーレンだ!とばかりにミッドシップを特別視する風潮が続く限りは、日本の「峠」を楽しむ究極のクルマ作りは進んでいかないのかもしれません。「V8ヴァンテージ」という知る人ぞ知る「日本スペシャル」に、近いクルマを出したレクサスは今後も応援したいですし、ポルシェにも次に登場する中型セダン「パジュン」発売の際には大いに期待したいと思います。


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2015年7月19日日曜日

アウディTT 「VWグループがやや神憑っていると感じるところ」

  毎度毎度ですがハッキリ言ってしまうと、VWブランドのクルマはあまり好きではないです。理由はいくつか(も)あって、「華がない」「個性がなく愛情が持てない」「すぐ壊れそう」「エンジンが安そう」「エンジン以外も安そう」などなど・・・。そしてどのモデルも基本的にパッケージがオカシイのでは?と感じます。ゴルフ、パサート、ポロといったライバル関係のハッキリしたモデルはともかく、ザ・ビートルはクラシカルな復刻モデルだから仕方はないですけど、見るからに悪そうな居住性に耐えてまでこだわるデザインなのか?と素朴な疑問が湧きます。

  しかしVWの看板モデルである「ゴルフ」に乗ると、やはり評判通りにいい走りをします。輸入車ブランドだととりあえずハンドリングもペダルもコントロール領域が中途半端で、日本メーカーが誇る「看板車」と比較した場合に熟成不足がはっきりするものですが、ゴルフ7はターボエンジン搭載車としては見事なレベルの操作性を実現していると思います。この感覚はトヨタ車や日産車ではなかなか引き出せない、欧州小型車の雄VWだからこその「味」で、日本メーカーでいうとスズキに近いかなという気がします。「VW=ドイツ版スズキ」とカーメディアが解釈してくれればいいのですが、そういった表現はまず見た事がないです。

  何が言いたいか?というと、自動車メーカーはそれぞれに得意なサイズというのがあるってことです。トヨタとVWは得意としているサイズが違うので、マークXとパサートを比べればトヨタがいいと感じますし、オーリスとゴルフを比べるならば、やはりVWが優れているように思います。そしてVWに高級感であるとか、トヨタに機敏さを求めたりするのはやはり違和感を感じます。スズキ→ホンダ→VW→スバル→ポルシェ→BMW→マツダ→トヨタ→日産→メルセデスの順番で、得意とするサイズが大きくなり、看板モデルに置き換えるとスイフト→フィット→ゴルフ→インプレッサ→911→3シリーズ→アテンザ→クラウン→スカイライン→Sクラスでしょうか。まあクルマ選びの参考にしたいです。

  ポルシェに隣接しているエリアが、最も「走り」に関して期待できそう!なんて安易なことは言いたくないです! しかしスカイラインやマスタングがデビューしたいまから50年前にすでに前身モデルとなる「356」(1947年から生産)から引き継いだ名声を博していた「911」があって、今に至るまでに走りに関して妥協する事無く進化を続けてきた果ての「着地点」にはそれなりの重みがあるとは思います。「走り」に関して使いたい装備がちょうど収まる4シーター車のサイズ、あるいは直進安定性や旋回性能が無理なく発揮しやすいサイズなのだと推測できます。

  クルマのサイズに関しては、一般的にA、B、C、D、E、Lと6段階のセグメント表記が使われますが、結局のところは「911未満の大衆セグメント」「911ガチンコセグメント」「911・アッパーラグジュアリーセグメント」の3段階くらいで比べておけば十分じゃないか?と思っています。確かに基準となる「911」はベースモデルでも1000万円する高級スポーツカーなんですけど、その成り立ちは「乗用車としての理想の追求」であり、4シーターであることに常にこだわってきたわけですから、れっきとした「普通乗用車」です。まあ「911と同じ方向性のクルマ」とそれよりも「簡易的な小型サイズのクルマ」と「911よりもゆとりがある高級車」の3グレードにザックリと分けてしまえば、わかり易いですし、メーカーに変な言い訳をさせない効果もあります。

  ちょっと余談です。歴史的な背景から「911」をスタンダードにさせてもらいましたが、ポルシェが先述の「356」を発売した1948年の前年には、トヨタから「トヨペットSA」という当時としては非常にハイスペックなモデルが、91万円という法外な価格で発売されました(現在の価値で換算するとレクサスLFA以上!)。もしこのクルマがファンに愛され開発され続けたならば、トヨタから「911」みたいな伝統のGTモデルが生まれる可能性があったわけです。

  しかしナチスが作ったアウトバーンに相当するものが無かった日本では、ポルシェを育んだようなクルマ文化がすぐに発達しなかったのは仕方のないことだと思います。のちにモータリゼーションの象徴とされる名神高速が部分開業する1963年にスカイラインが登場してから、やっとポルシェの後を追い始めたようで、およそ15年のタイムラグがあったようです。ただし1964年にデビューしたばかりのスカイラインGTがポルシェ904GTS(ポルシェの高性能レース仕様車)と互角の性能を示した「伝説の日本GP」が最初のスカイライン神話として伝えられていますが・・・。

  さて話を戻しますが、「911未満セグメント」は、近年のダウンサイジングの潮流のなかで、なかなかの盛り上がりを見せているようです。先ほども申しましたが、トヨタや日産あるいはメルセデスといった門外漢が適当につくったクルマよりも、このセグメントに重点を置いているスズキ、ホンダ、VW、プジョーといったブランドのクルマがやはり乗ってみると好印象ではあります。マツダの取り扱いには悩みますが、このブランドにとってアクセラやデミオは決して「真打ち」では無いと思っています(RX7かコスモの復活を!)。このセグメントに新たに「高級化」の波を持ち込もうとしているのが、BMWミニとアウディです。911が1000万円なんだから、「911未満」でも500万円くらいしてもいいよね!といったところでしょうか。

  しかしベースモデルで500万円オーバー(542万円〜)というのは少々やり過ぎでは?というのが、いよいよ3代目になるアウディTTです(後から廉価モデル1.8Lが上陸?)。VWグループの共通プラットフォームを使った2Lターボですから、いわゆるゴルフGTIのアウディ版スペシャルティカーといった内容のクルマです。出力は230psまで上げてあり、ホイールベースを「2400mm」まで切り詰めてあることで、デザイン以外でもGTIとはいろいろと違った要素が多いクルマにはなっています。この2400mmというホイールベースに重要な意味があって、このサイズこそがポルシェ356の前にフェルディナンド・ポルシェが設計した「kdf」というVWの原点とされる名車と全く同じになっているのです。

  VWがグループ全体としてアウディTTにどのような使命を与えているのか?その詳しい内容までは伺いしれません。しかし世界のクオリティカーの「標準ゲージ」となった911に対し、「911未満セグメント」における理想型を目指したクルマとして、いろいろなことを暗示させてくれる設計のようには感じます。そして同時にVWグループとして「911アッパーラグジュアリーセグメント」には「ベントレー・コンチネンタルGT」が置かれています。いろいろなブランドを傘下に収めてそれぞれ適材適所で、「アウディTT」「ポルシェ911」「ベントレーコンチネンタルGT」という4シーターのGTカーを3クラスに分けて配置するというヴィジョンを見せられると、VWグループが自動車文化全体をとても良く考えているのが理解できます・・・。いや〜素晴らしいことだと思います!

  全くの余談ですが、
BMWグループは「ミニJCW」「M235i」「ロールスロイス・レイス」。
フィアットグループは「アバルト695ピボスト」「アルファ・ジュリアQFV」「マセラティ・グランツーリズモ」。
トヨタグループは「トヨタ86」「レクサスRC-F」「レクサスLSクーペ(登場予定)」。
ルノー日産グループは「ルノー・メガーヌRS」「GT-R」「インフィニティQ100(登場予定)」。
などなど非常に重要なモデルが多いですね。今後も覇権を賭けての好勝負が生まれることを期待したいです。

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↓沢村慎太朗さんが大活躍で読み応えありますよ!
  

  

  

  

2015年6月22日月曜日

シビックtypeR 「日本発売決定! ホンダの本気が見られる?」

  最近はホンダのニュースが連日のよう目にします。怒濤の新車攻勢で、しかもターボとハイブリッドが別のタイミングで出てくるので、1つのモデルで2度3度と露出します。先日も「ホンダ・新型ミニバン」とあるので、「え?」と見てみると、ちょっと前に発売されたステップワゴンのことだったりで、なんだ?この地道な草の根プロモーションは・・・。伝統の自然吸気Vテックからパワーユニットの大幅刷新の測ったホンダとしては世間の注目をなんとしても惹き付けていたいようです。

  さらにどういうカラクリかわかりませんが、完全にカーメディアをジャックしているのが「ホンダS660」です。マクラーレンに乗っているあのピストン西沢さんが納得して買った!なんて聞くと、とりあえず乗ってみないと!という気分にさせられます。他のモデルもなんだか「色気」がありますよね、グレイスもジェイドも決してクルマ好きにウケるタイプのクルマではないのですけど、カーメディアの評価はヴェゼルよりもずっと高い?気がします。どちらもターボ採用でちょっとイメージ変わったようで・・・(中国向け量販ユニットを使っているだけなんですけどね)。

  F1復帰の年(2015年)に合わせて、「NSX」と「シビックtypeR」の発売も決めていたようですが、肝心のF1が想像以上の苦戦を強いられていて、ホンダのイメージアップにはそれほど貢献していない・・・どころか、ほぼ"バックファイア"状態です。当初の2015年計画に綻びが出始めたことを察知したホンダはやや焦り気味にカーメディアに広告費をバラまいて、今後も続々と発売される新型モデルの話題作りに躍起になっているのかもしれません(予定通り売れないと困りますし)。ホンダの焦りがヒシヒシと伝わってくるようですが、実際には大したプロモーションもないのに秀逸なデザインで見事に大ヒットしたヴェゼル以降の新型モデルは、それぞれのジャンルでライバルに対して十分に競争力を持っています。そしてホンダの真骨頂と言うべきか、何より国内外の全てのブランドよりも「個性的かつ健康的なファミリーカー」を作れているように思います。「ミニバン」や「3列ピープルムーバー」なんて個人的にはあまり興味ないですけど、「なんだこれ!?」と興味を惹く何かがあるんですよね。トヨタ・エクスワイアは見かけても全くササりませんでしたが・・・。

  あとクルマ好きにとってちょっと嬉しいのは「ホンダ VS BMW」の土俵が突如出現したことでしょうか。「ジェイド」と「BMW2グランツアラー」はまるで示し合わせたように「3列シート・3気筒ターボ」をグローバルでの標準スペックとして登場しました。「日本が誇るエンジン屋のホンダ」と、「ドイツの一流エンジン系ブランドのBMW」が、新型モデルでここまで「シンクロ」するのもなかなか面白いです。「走り」という点では、ジェイドの方が重心の低さにこだわりがあってよさそうに見えますね。ただしどちらも米国市場には投入されておらず、中国マーケットを主戦場とするクルマのようで、日本のクルマ好きが愛するようなテイストとはややツボが違う気もしますが・・・。ファミリーカーを見て楽しい気分になるなんてほとんど無いですけど、そんなところがホンダとBMWのブランド力の「コアコンピタンス」なのかも。

  今回復活する「シビックtypeR」は、ここ最近のホンダ車を微笑ましく思いつつも、やや距離を感じていたクルマ好きにとっては、久々に「前のめり」になるホンダのスペシャルティカーです。しかし予想されている日本価格はなんとも強気な「600万円以上」だそうで・・・欧州でも日本でも「メルセデスA45AMG」と同等の価格というのは、一体どう受け止められるのでしょうか。まあホンダにしてみたら、「メルセデスA45AMG」は一流ブランドにとっては「畑違い」のスモールカーでFFベース!しかもただの直線番長でしかない!というクルマでユーザーを増やしたい!という世の中をナメきった態度が少々気に入らないのでは?と察せられますが・・・。「typeR」はこれとはレベルが全然違うということを、価格面で十分に示しておきたいということなのかもしれません。

  けれども日本で発売開始するときには、「typeRがこんなに高いなんて!これならA45AMGを買うよ・・・」なんて言い出す不埒な連中がそこら中から湧いてくるでしょうね・・・。カーメディアのプロライターの中からも・・・出てくる? もし有名ライターだったらブログで糾弾してやります。もちろんまだ乗ってないですけど「typeR」ですから乗り心地は果てしなく悪いのは十分に想定されますから、普段の足にするなら「A45AMG」という意見ももちろん一理あります。1台所有ならばほぼ間違いなく「A45AMG」の方がベターでしょうが、スポーツカーの本質にこだわる熱い人にとっては結論は言うまでもありません。

  「3ペダルのみ」のtypeRと、「2ペダルのみ」のA45AMGは、実際のところユーザーの取り合いに発展することはほぼ無さそうです。この棲み分けはこのクラスにとっては非常に大切な要素だと言えます。3ペダルと2ペダルを併存させるようになって間もなく、「ランエボ」の消滅がアナウンスされ、「WRX」もイマイチ盛り上がりに欠けるなどなど、「AWDターボ」という世界観を作り上げたこの2モデルは「冬の時代」を迎えました。もっともそれ以前にモータースポーツへの参戦が無いなかでは開発も何を拠り所にしていいか分らない状況が問題だとは思います。2000年に登場したWRX STIは先代よりもホイールベースを縮めて後席の居住性などまるで無視した設計でしたが、それは全てWRCに勝つため!でそれが「是」とされた頃(しかもスバルの業績は危機的)に比べれば、現行モデルを取り巻く環境なんてもはやスバルですらないと言う人も・・・。

  三菱やスバルよりも断然におカネがあるホンダには、このクレイジーなまでの「ストイックなジャパンスポーツ」の伝統を守りたいという責任感が感じられます。今後は全くの白紙だそうですが、なんとか盛り上がるといいですね。ホンダは2015年に3台のスポーツカーを発売し、それぞれがスポーツカーの細分化した「役割」に適った設計になってます。「スーパーカー」「レーシングカー」「プロムナードカー」の3つの代表的な機能を、それぞれ「NSX」「シビックtypeR」「S660」という枠組みの中で、(完成度はともかく)徹底的に追求する姿勢は称賛に値すると思います(上から目線で恐縮です)。どこぞの大手メーカーが「ドリフトカー」なるお遊びジャンルを開拓していらっしゃいますが、なんか少々マヌケじゃないですか?

  フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンに「V6+HV」で対峙する「NSX」や、ボクスター、ロードスター、SLK、Z4といった「オバさんスポーツカー(プロムナードカー)」にエントリーする「S660」もそのコンセプトの追求は十分に素晴らしいと思います。しかしですね・・・NSXを楽しむにはやっぱり有名な高級住宅地に大豪邸、あるいは都心のタワーマンションが必要ですよ。S660は自然豊かな所に立地する風情ある別荘のガレージに置いておきたいですし、そしてtypeRを楽しむならばサーキットが必須じゃないかと。ストイックなクルマ作りは結構ですが、やはり社会全体が豊かに底上げされないと、なかなか望んだ結果を出すのは難しいかもしれないですね。なんだかんだでプレリュードみたいな欲望の詰まった「かっけー」デザインのクルマがまだまだ結果を出しやすいのかもしれません(だからどうした?)。

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2015年6月11日木曜日

BMWアルピナB6 に超絶AWDが設定されました!

  日産がスカイラインのボディにGT-Rのユニットを組み込んだ「スカイライン・オールージュ」というハイパフォーマンスセダンのプロトモデルを以前に公開していました。そのままの市販化に大いに期待してましたが、どうやら開発を中止してしまったという情報が年明けごろに駆け巡りました。現行のV37になっていよいよEセグに迫るサイズまで拡大したスカイラインだからこそ「最速セダン」の称号に相応しいクルマになりそうですし、最速GTカーとして「ポルシェ911ターボ」と伍する存在まで登り詰めた「GT-R」のV6ツインターボを使えば、十分にドイツメーカーがお互い凌ぎを削る「最速セダン」の座を奪うことができたでしょうが、情報が正しいならばなんとも残念なことです。

  やっぱり日産は「最速」がもっとも似合うメーカーですし、日本の技術力を見せつけてきたこれまでの実績があったからこそ、ファンもアンチも含めあらゆるクルマ好きから一目置かれる存在でありつづけています。挑戦をやめた日産なんて・・・そんな逆風が吹いたときに重大さに気がつくのかもしれませんが・・・。さて実際に「最速セダン」の頂点に君臨するクルマは何かというと、ポルシェの「パナメーラターボS」ではなく、メルセデスAMGの「E63S4MATIC」だとされています。メーカーが公表している0-100km/hのタイムで3.6秒というスーパーカーを超える水準です。巷では「カイエンGTS」がスポーツカーを蹴散らす走り!などとやたらと持ち上げられていますが、その加速タイムはせいぜい5.1秒程度(ゴルフRくらい)です。しかし驚異の「直線番長」にしてSUV最速のカイエン・ターボSではなんと4.1秒に達するそうです。それでもまともに考えれば、最速SUVが最速セダンよりも速いなんてことはまずあり得ないわけですが・・・。

  「ポルシェ」と「メルセデス」の2大高級ブランドが最速セダンの座をかけて対峙する中で、AWD専門ブランドの意地としてアウディからも「RS7スポーツバック」という5ドアモデルが発売されていて、こちらも驚異の3秒台を記録しています。そして意外なことに「スポーツセダン」の代名詞と思われてきたBMWですが、その最速を追求した「M5」はなんとタイムが4.3秒で、カイエンターボSに遅れをとってしまっています。あのBMWを象徴するような超絶パフォーマンスモデルが、SUVに加速勝負で勝てないなんてことがあっていいか? さらにこのままあと数年もスペックを変えずに放置すれば、間もなく発売されるという「VWゴルフ」のRを超える超絶スペックモデルにも追い越されるかもしれません。大排気量V8ツインターボを搭載したブランドアイコンの超高級車が、大衆向け小型車をベースにした直4ターボに負けるとなると、これは由々しき事件です。

  おそらくBMWもその状況は十分に理解しているとは思いますが、新しいMモデルとなるM3/M4は、それとは全く別方向に進んでいるようで「燃費向上」を至上命題に掲げています。もっともM3は北米価格が6万2000ドル程度なので、実用性を高めつつBMWのパフォーマンスモデルを楽しんでもらおうという「市販車」目線が強いのかもしれません。誤解を恐れずに言ってしまうと、最近のBMWはまるでホンダ?あるいはスバルかマツダのような方針でクルマを開発していると言っていいかもしれません(それはそれで素晴らしいことですし・・・)。余談ですが、ホンダが近日の発表を予定しているといわれる新型NSXは、まさかカイエンターボSに遅れをとるなんてことはないでしょうけども、実際のところはどうなるのでしょうか?

  BMW本体は、メルセデスやポルシェ/アウディと直接に争うことを避けていますが、日本への正規輸出ルートを持つチューナーの「アルピナ」から、6シリーズをベースとしたAWDハイパフォーマンスモデルの発売がアナウンスされました。「アルピナB6・ビターボ・グランクーペ・アルダッド」という長い名前になりましたが、公式タイムは堂々の3.8秒に達していて、これでBMWのセダンはSUVよりも遅いという「悪い噂」は払拭できそうなので、セダン好きとしてまずはめでたいことです。それにしても本体価格が2200万円で、2色(ブルーとグリーン)ある塗装オプションで60万円!だそうです。未塗装で納品してもらって、どっかの塗装屋に持ち込むなんて人もいるんですかね。

  頂点のクルマ「E63S4MATIC」よりも400万円高い価格設定は、「AMG」=「アルピナ」だとするとそのまま「グランクーペ」仕様の価格差になるんですね。おそらく第2弾として「E63S4MATIC」と同じくらいのコスパを誇る「B5ビターボ・アルダッド」がすでに待機していると思われます。どうも現行の6シリーズはキャビンが膨らみ過ぎていて、あまり美しくないので、むしろシンプルな5シリーズをベースにしたモデルの方がそそられます(生意気言ってすみません)。そしてよりリアルなBMWを楽しむならば、ラジアルタイヤを装備し続けるアルピナやMを多少無理してでも買いたいですね。最近では韓国製ランフラットを標準装備するようになったBMWのベースモデルは、どれもこれもアシをゆるめて乗り心地を誤魔化していて、やや走りの本質を見失ってしまっている気がします(ほんとに生意気ですみません)。

  それでもBMWがまだまだ開発の熱意を失わずに、メルセデス、ポルシェ、アウディに好き勝手にさせないという気迫をみせてくれたことは嬉しい限りです。メルセデスやアウディと比べて、BMWには今もなお日本人の繊細なタッチに十分に応えてくれるだけの洗練されたフィールのステアリング、アクセル、ブレーキがあります。その操縦感覚は、日産、マツダ、スバルが持つあの惹き込まれるような奥深いフィールにも対抗できる恐るべき輸入車ブランドです。8ATや直6がBMWの商品力という意見をプロ/素人問わずあらゆるところから聞きますが、そんなモジュラー的な部分ではなくて、なんといってもBMWはコクピット主義で、「操作感」こそに魂が宿っています。もし最速セダンを手に入れる時がやってきて、「E63S4MATIC」があり「RS7」がありそれと同等の価格で「B5ビターボ・アルダッド」が発売されたならば、こういう超絶クラスのクルマだからこそ、BMWが持つ「心地よさ」の中で楽しみたいと思いますね。・・・日産も考えを改めてくれないですかね。

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2015年5月30日土曜日

レクサスRC-F 「一般人でも手が届くと社長が言ってますね・・・」

  いやー!モリゾー社長の仰る通りです! 「男だったらアルファードかレクサスRC-Fで間違いない!」くらいの放言をする自動車メーカーのトップを日本車ファンはずっと待ち望んでいましたよ。トヨタグループが全力を上げて最良のプライベート用途の高級国産車を模索したところ、この2台をそれぞれ究極の形にすることで収束しました!という意味のことを、分り易く「一般の人々でも手が届いて、しかも誰が見ても魅力満載のクルマ」と言っていましたが、なかなか自信満々な3月期決算発表での言葉だったと思います。

  レクサスRCではなくて、「レクサスRC-F」という言葉のチョイスにはやっぱり引っ掛かりを感じます。もちろんユーザー目線で判断すれば、「F」の一文字でクルマの意味合いが大きく変わりますし、「F」が無ければRCには全く興味が無いという人も多いはずです。実際のところベースのRCでも十分に素晴らしいクルマではあります。とりあえず同じベースモデルのBMW4シリーズやアウディA5には全く負けてないです。けれどもモリゾー社長は言うわけです。欧州のライバル車に勝っているとはいえ、ベースのレクサスRCでは平凡過ぎてもはや注目を浴びることすらできない、つまり魅力的ではない・・・(欧州車なんか本当につまらんし)。

  その一方で「RC-F」には、世界の自動車ユーザーが熱狂できる要素が十分に詰まっている!世界の人々が心の底から求めているクルマだ!と高らかと宣言しているわけです。これは無類のクルマ好きとして知られるモリゾー社長が、非常にバランス感覚に富んだ価値観を持っていることを表していませんか? 特にGTカーを愛する人々にとって、ライバルメーカーの雲行きが怪しくなってきていて、BMWやメルセデスAMGなどの欧州メーカーがハイテク機構を付けたV8自然吸気エンジンを開発できなくなりました。そんなトレンドに失望してミッドシップスポーツなどへ流出しそうな人々を、再びGTカーへ振り向かせるために、レクサスはどこまでもフィールに拘って作りましたよ!だから本当にクルマの解る人ならばドイツ車のターボ付きV8よりもレクサスRC-Fの方が優れていることがわかるはずです!まあ解る人がのれば、まったく異次元の気持ちのよさですよ!ってところでしょうか。

  今回のRC-Fに採用されたV8自然吸気の意味を俯瞰すると、2010年頃にアウディRS5とBMW・M3(E90)が繰り広げていたV8自然吸気の「ガチ・エンジン対決」に5年遅れでレクサスが参戦してきた格好に見えなくもないです。この2台(FRとAWDの変則対決ですが・・・)に匹敵するだけのシャシー(現行GS/ISから)を新たに開発し、いよいよクラス最良のGTクーペを作り上げたわけですが、目指すターゲットだったはずのM3は先に新世代(F30)へと移行して、V6のツインスクロールターボへと方向性を変化させてしまいました(ちょっと失敗?)。そして取り残された「RS5」も「AWD&自然吸気」というなんともヘンテコな設計がちょっと災いしてしまい、日産GT-Rよりも「遅い・うるさい・曲らない・止まらない・価格が高い」という立場に追い込まれ、全く売れる要素無しのクルマになっていまいました。

  しかし現行のRS5に搭載されている4.2L自然吸気ユニットは、2000年代に大躍進を遂げたアウディの象徴ともいえる素性の良いスーパーなエンジンなんです。4.2Lの過給なしで450psを搾り出すために、ほぼ物理的な限界値といわれるスピードまでピストン速度が上げられていて、エンジン屋アウディの技術の高さを如実に示すサーキット仕様のウルトラ超高回転エンジンです。8500rpmまで軽く噴け上がる「ロング」ストロークのエンジンなんて、他にはほとんど例はなく、せいぜいホンダの「Vテック」くらいのものです。しかしこういったエンジンを市販車で使う時代は徐々に終わりを迎えていて、現在のアウディの新型車に搭載されるV8は4Lターボは、気筒休止機構(バンクの半分だけを直4として使う)を組み込んだ、フィーリング的には全く「残念」なエンジンに成り果てています。

  これまで主導権を持っていた2台が、全く脚光を浴びずにフェードアウトするタイミングを狙って、残った市場をごっそりと持っていくのは、実にトヨタらしいマーケティングではあります。ホンダS2000とマツダRX8が相次いで市場から消えるタイミングで86/BRZを大ヒットさせた手腕は記憶に新しいです。しかしこの「RC-F」に関してはそんな顧客の分捕り合いなんてことはどうでもよいことで、このクルマが持つ「存在価値」は、アウディやBMW、メルセデスAMGなどとは本質的に無関係です。トヨタが1989年の初代セルシオ登場とともに作り続けてきた「UZ」「UR」シリーズのV8エンジンは、「量販メーカー・トヨタ」とは全く違う「世界最良の高級車メーカー・トヨタ(レクサス)」の根幹となる技術であり、トヨタの歴史の中でもおそらく最も気合いを入れて開発されてきたエンジンだと思います。つまり「こだわりのトヨタ」を買うなら迷わず「UR」(V8搭載モデル)にしておけ!ということです。

  モリゾー社長が「RC-F」と名指しするほどに「F」に拘った背景には、おそらく作り手側として絶対的に自信を持って提供できるクルマはこれだ!といった想い(共通認識)があったのだと思います。それとももしかしたら、社長の肝入りで作られた「RC-F」が86ほどには反響を得られていないことに少々焦りを感じているのかもしれません。さっさとこのクルマで結果をだしてGTカー好きな顧客を抱え込むことに成功したら、満を持してレクサスLSの2ドアクーペ版を発売する予定のようです。

  実際のところ3.5LのV6自然吸気を積むレクサスに乗ると、期待が高過ぎるせいか思ったほど感心できなかったりします。もちろんそれでも欧州車のスカスカな直4ターボとカスカスなステップATに比べれば、ペダルの踏み方一つで「走り」にキャラクターが出るなど、高級車としての魅力は高いですけど、「特別なステージのクルマ」という意識は残念ながら持てないです。あくまで「普通のクルマ」です。それこそレガシィB4とかティアナで十分じゃない?って思う水準です。モリゾー社長が「一般の人でも手が届く」といった意図は、RC-Fを買ってぜひ「特別なクルマ」を感じてください!というメッセージが込められているようです。これはいよいよ買うしかないかな・・・。


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2015年5月10日日曜日

メルセデスAMG GT 「スーパーカーの新時代が来た?」

  「ランボルギーニ」や「アストンマーティン」といったスーパーカー・ブランドのクルマが多く流通する地域は、今では完全に「中東」「中国」へとシフトしているようです。「ブガティ・ヴェイロンを持っている人と知りあいだよ!」と言われ、へぇ〜と思って聞いてみると、「その人は香港に住んでいる中国人だけどね』といった顛末だったりします。それらの地域は今ちょうど30年前の日本のバブルに近い経済状況になっていることで、クルマにお金をかけることに非常に意味が高いのだと思います。バブル期の上層階に位置する顧客の要求は、誰も持っていない「レア」な孤高のラグジュアリー・スーパーカーへと突き進みますから、高級車の価格もどんどんつり上がっていく傾向にあります。中国や中東で商売する人にとって必須なものといえば、いまでも「パテック」や「ヴァシュロン」クラス(つまり最上級)の高級腕時計なんだそうです。

  日本や欧州のような成熟市場では、クルマや時計にやたらとお金をかけなくても、いくらでも「信用」を担保する方法はあるので、年商100億の会社を作るために、4000〜5000万円もする「ファントム」「ミュルザンヌ」「アヴェンタドール」に乗る必要はほとんどないです。しかし、クルマは全て軽自動車で良いとも思いません。やはり成熟市場といえども、ある程度のクルマは必要で、それぞれの目的に合った「それなりのクルマ」を選ぶことには、大きな意味(効用)があります。例えば、私はクルマがとても好きなので国産・輸入モデル問わずに気になったらすぐに試乗に行ってしまうのですが、当然にディーラーにはクルマで出掛けていきますから、「メルセデス」「BMW」「レクサス」「アウディ」「ポルシェ」といった高級車のディーラーにでも気兼ねなく入れるように、某国内メーカーのフラッグシップモデルを使っています。

  これは決してそうしたブランドへ「国産のコンパクトカーでいくのは恥ずかしい!」という意味ではありません(まあ多少は気になりますが)。あくまでも試乗したあとに、自分のクルマに戻って帰る時に、惨めな気分にならないようにするためです。日本のブランドのフラッグシップモデルならば、とりあえず「ポルシェ911」に乗っても、「レクサスLS」に乗ってもそれほどに落差を感じることはないですから、試乗を終えて自分のクルマが嫌いになったなんてことは1度もないです。「走行性能」も「乗り心地」も「内装」も揃って高いレベルにありながら、維持費もそれほど高くないので、壊れるまで買い換えなんてできないと試乗に行く度に感じます。そしてがっかりしないだけでなく、試乗するクルマの特徴を理解する物差しとしても良く機能しますし、ドライバーが受ける「フィール」を比較的に判断しやすいと思っています。

  試乗して見積もりを貰ってあれこれ実際に考えると、今の日本のような成熟市場で今後は存在感を増してくるであろうクルマが、「レンジローバー・イヴォーグ」「レクサスRX/NX」「ポルシェ・マカン」といったスタイリッシュでラグジュアリーなファミリーユースな高級SUVでしょうか。そしてそれよりも「プライベート感」「非日常」「走り」を求める人々には、「アウディTT」「ポルシェ・ボクスター/ケイマン」のような2シーター・ラグジュアリーをセカンドカーとして所有するスタイルが、そこそこ広まりそうな予感です。もちろんこれら500~800万円くらいの価格帯は決して安くないですし、フーガHVやレジェンドが買えてしまうと考えると「あれれ・・・」という気がしますが、それでもアルファードの代わりにこれにする!と言われれば納得できる部分もあるのではないでしょうか。ここでちょっと気がつくのが、傘下のランボルギーニを中東や中国で売りまくりつつも、同じく傘下のポルシェで上手く成熟市場のニーズを拾っているVWグループの見事な戦略です。

  そんなVWグループに対抗すべく、古豪ブランド・メルセデスが新たに日本でも打ち出してきたのが、上位ブランド「メルセデスAMG」です。狙いとしては従来の「AMGモデル」をややブランド価値が曖昧になってきたメルセデス本体と切り離すことで、「価値ある高性能車を、素晴らしい価格で提供する!」といった新たなステージのブランドとして再構築することのようです。AMGモデルにはフェラーリやランボルギーニと同じように、マイスターの手組みによって作られる「専用チューンエンジン」が載っていて(一部は違いますが)、プレミアム商品を成立させるだけのストーリー性に富んでいますし、その精神に共感出来るならば2000〜3000万円に達する価格でも安く感じるくらいです。しかし成熟市場ではやはり3000万円以上する「趣味のクルマ」は売りにくいのが実情のようで、これまでのAMGのイメージを牽引していた「SLS」はだいぶ苦戦したようで、中古車市場でもタマ数が少なく、もっともリーズナブルなモノでも2000万円の価格が付いています(ちなみにSLSの本体価格は2560万円〜)。

  もちろん2000万円台の住宅を建てる日本人はそれこそたくさんいますから、3000万円のスーパーカーを買える人だってまだまだ少なくないですし、現実に東京の中心からだいぶ西に寄ったやや辺鄙な私の自宅の周辺でも何度かSLSを見かけたことがあります。それでも30年前のバブル期のようにサラリーマンがこのクルマに群がらないのは、(上から目線で恐縮ですが)日本人に大まかな価値観が身に付いてきたからだと思います。これまで舶来品に一方的に流され続けてきた日本人の意識を、ガツンと一発変える非常に大きな仕事をしたのがもちろん水野和敏氏が率いたGT-Rの開発チームというわけです。

  何が言いたいかというと、「Before・GT-R」と「After・GT-R」で日本のみならず成熟市場のスーパーカーに対する認識は大きく転換し、GT-Rショック(革命)を経たことで日本のスーパーカー市場は、「植民地からの独立を果たした」ということです。海外の高級ブランドの「言い値」で日本人ユーザーが有り難がってクルマを買う時代は2007年を境に終焉しました。そんな時流を全く読めずに登場した「BMW i8」は見事に惨敗し(あまり売る気はないようですが)、逆に時流を読み過ぎた「ジャガー・Fタイプ」は、なんでそんなに安いの?とツッコミが入りそうな価格設定になっていたりします。

  そして「SLS」の代わりに投入された新生「メルセデスAMG」のイメージリーダーとなる「GT」もこれまた「あっけにとられる」価格設定で、なんとSLSよりも1000万円も安い「本体価格1580万円〜」となっています。上級モデルの「GT・S」も(安いという意味で)破格の1840万円〜となっていて、なにやらこのフラッグシップの降臨に合わせて、1830万円だった最速セダンこと「E63・S・4MATIC」の価格が1727万円にこの4月から改定されたりしています(特にエンジンの仕様変更等はありません5.5Lターボのままです)。明らかにこれまでのAMGとは別のマーケティングが発動しているのを感じます。

  「メルセデスAMG」の公式HPを見ると、どうやら「様々なボディタイプ」が選べることを特徴にした、新しいスタイルの「高性能車ブランド」を目指しているように感じます。「コンパクト」「セダン」「ステーションワゴン」「クーペ」「ロードスター」「シューティングブレーク」「SUV」の7分類という大所帯を、大資本グループ傘下のレクサスやアウディに先んじて揃えた戦略は果たして上手くいくのかわかりませんが、ライバルはいまだに「上級レクサス」「上級アウディ」のブランド価値さえ確立できていない段階なので、それなりの「先行者利益」があるように思います。この新ブランドの求心力に引き寄せられ、700万円で「GLA45」を購入した顧客を、さらに「C63」「E63」「CLS63」へと誘導していくことになりそうです。

  スカイラインと同じ栃木工場のラインで製造されるGT-Rよりも、専用のAMGファクトリーで手組みされる「メルセデスAMG」の希少性・ストーリー性が薫るモデルの方が、同じお金を払うなら満足できるんじゃないですか?といわれたら、迷いが吹っ切れてハンコを押してしまいそうです。もちろん「日産GT-R」だってエンジンの原価だけで320万円かかってます。発売当初の777万円という本体価格の40%以上を占めている、高付加価値なクルマなのは間違いないですし、日本市場に価格破壊をもたらしている「ジャガー」のV8、V6エンジンに使われるスーパーチャージャーは、「日本イートン」という外資系ではありますが、従業員20名の日本の中小企業の技術力が光る「逸品」です。

  今後は「メルセデスAMG」「ポルシェ」「GT-R・日産」「ジャガー」がそれぞれのスピリッツを十全に発揮して、高性能車の可能性をさらに切り開いていってくれると思います。「高剛性ボディ」vs「アルミ軽量ボディ」、「8気筒」vs「6気筒」、「ツインターボ」vs「スーパーチャージャー」vs「自然吸気」、「RWD」vs「AWD」、「DCT」vs「ステップAT」などなど、まだまだクルマ好きを満足させてくれるに足るだけの多くの選択肢を与えてくれるブランドにはぜひ頑張ってもらいたいです。レクサス、BMW、キャデラック、フォード、アルファロメオ、ホンダ、マツダといった業績が好調な自動車グループの高性能を謳うブランドにもさらなる奮起を期待したいものです。

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