2013年12月5日木曜日

アルファロメオ・4C 「チャレンジ精神は報われるはず」

  RX-7、NSX、S2000、ケイマン・・・たとえ実用性が限りなくゼロに近くても、今なお世界中のファンから「人類の遺産」というほどの熱い支持を受けています。それもスポーツカーに偏向したマニアだけでなく一般の人々からも好意的な視線が送られているのを感じます。なんだかんだ文句を言うこともありますが、クルマ好きというのは全般に心が広くて、博愛の精神を持ち合わせています。

  そんな事実がどれほどアルファロメオに勇気を与えたかは分かりませんが、来年にも発売されると言われる「アルファ4C」は、歴史を作ってきた幾多のエクストリームなスポーツカーの系譜に、大きな足跡を残すであろう大胆な設計の「新しい」スポーツカーとして完成しました。

  カーボン・ファイバー・レインフォースド・プラスティック(CFRP)製のモノコック構造のボディはこのクルマのオリジナルではないですが、3000万円超のスーパーカーでしか主な採用例がなく、1000万円を切る価格帯のクルマにはあまりにもコストに大きく跳ね返る(実際はそこまでではないようだが・・・)ので、それだけでも革命的な出来事です。もちろん外板だけなら100万円台の軽自動車でもカーボン使えるようですが、モノコック構造となるとやはり勝手が違うはずです。

  鉄鋼メーカーに多くを依存しきっている日本メーカーにはなかなか出来ない芸当ですね。横浜に本拠がある日産などは土地柄もあって鉄鋼メーカーとは完全にズブズブで、世界を驚かせたGT-Rも最初から鉄板ありきの設計でした(というよりGT-Rは鉄鋼メーカーが設計したといっても過言ではないくらいだとか・・・)。プライベートジェットを作るなど、航空機産業にも片足を突っ込んでいるホンダならばカーボン・モノコックは割と身近な技術なはずですが・・・。

  フルカーボンにミッドシップ!とまあ新設計なんで斬新な方向に突き進みます。FRにしたら軽量化が台無しですから当然といえば当然です。ボディと設計にここまでこだわることができるのは、エンジンを新たに新調しなくて良いというアルファロメオの事情があります。まだまだその良さが世界に伝わっていないジュリエッタの最上級グレードに搭載されている1.75Lターボエンジンをチューンナップして流用しています。

  どっかの書物の書いてあったのが、アルファの4気筒エンジンは10年以上前から定評があり、ホンダの4気筒と並んでピストン速度が圧倒的に速く、ロングストロークエンジンでも規格外の高回転を実現する技術を競いあっていて、そんなアルファロメオが作った中型車向けの究極形がこの1.75Lエンジンで限界を超えるためにショートストロークへと回帰しています。これが手持ちのスポーツエンジンが無くなったマツダに供給されて次期ロードスターに載るのでは?と密かに期待しているのですが・・・。

  この4Cと同じようなコンセプトのクルマをつくるメーカーにロータスがあります。耐久性能に特化したトヨタ製エンジンを使うメーカーとして知られ、非力なエンジンでも軽量かつミッドシップで高い動力性能を得るというコンセプトですが、最近ではトヨタのヤマハ製造のエンジン(トヨタ版V-tecと呼ばれる可変バルタイの高効率エンジン)が供給されなくなりやや魅力が失われつつあります。そんなロータスに変わって、ホンダに匹敵(凌駕?)するアルファの傑作エンジンを搭載し、車重もさらに軽くなったライトウエイトスポーツの究極形となった「アルファ4C」には世界中から暖かい拍手が送られるはずです。

 

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