日本で一番売れているEセグセダンと言えば、トヨタクラウン一派なんですが、2012年の末にFMCを果たした現行モデルは、発売予定日が大きくズレ込むなど、トヨタの看板モデルとは思えないドタバタっぷりでした。完成したモデルは設計変更の痕がありありと見えるハリボテグリルと、完全に浮き足立ったサイドデザインが至近から見ると気になるのですが、遠方からのシルエットは上手くまとめられている印象でしょうか。
クラウンに限らず他のEセグセダンも改めて見てみると、トレンド・趣向や統一感が希薄な「無味乾燥」デザインに陥っているものが多いです。このクラスのクルマは快適に長距離ドライブを過ごせる素晴らしい装備が当たり前なのですが、デザインがイマイチだと宝の持ち腐れですね。Dセグ直4を膨張させたアテンザが売れたので、このサイズのクルマが嫌われているわけではないようなので、そろそろため息が出るような「王道Eセグセダン」に登場してくれないかなと思いますよね。
5mに迫る伸びやかで美しい車体に3m近いホイールベースでゆったりとした車内。1.8トンの車体を駆動させる極太タイヤとしなやかな乗り心地を実現する複雑なサスペンションを余裕で収納するワイドなボディ。トラクション、ブレーキング、ハンドリングの三大性能を最大限に引き上げるスペシャルな統御システム。オールウェザーに対応するマルチパフォーマンス(AWD?)。そして何より統一感があり洗練されていて格調がある内外装。
量産車にも関わらずコストの壁を打ち破り、ライバル車が全く追従できないレベルまで作り込もうという発想は、おそらく100年近くに渡る自動車の歴史の中でもバブル期の日本メーカーにしか無かった発想だと思います。トヨタも日産もホンダもマツダも三菱もスバルもその競争の果てに大怪我をした過去のトラウマの影響でしょうか、現在でもそういうクルマ作りを禁忌している様子が伺えます。
しかしその後の20年で世界の機械工業、特に東アジア地域の発達で、バブル期よりもあらゆるシステムが安価に調達できるようになっていています。バブル期に作ったら1億円くらいはしたであろうGT-Rが2007年には800万円で発売されるまでになりました。それならば、20年前に各メーカーが作ろうとしていた「夢のクルマ」を今こそ作ってしまえばいいのでは?という気がします。
先述のクラウンは確かに高級車ではあると思いますが、トヨタ渾身のハイテクカーといった的外れな表現は、さすがにトヨタの宣伝文句には登場しませんでした。このクルマを従来の枠を超えた「夢のクルマ」と思っている人は皆無だと思います。クラウンを販売するトヨタの営業力は確かに大きいのでしょうが、それでもオーリスのようにコケるクルマはいくらでもあります。オーリスと違って強力なライバルが少ないクラウンだからこそ営業力でなんとかなっているのでしょう。
逆に言うと、このクラスに革新的な新型車が登場すれば、予想以上に大きなムーブメントが起こり業界地図が塗り変わるほどの異変が起こるかもしれません。ボディサイズが拡大したアテンザが最近では雑誌でクラウンと比較されたりするようになっていますが、新型アテンザもこのジャンルでちょっとしたブレークスルーを起こしたと言えます。しかし直4モデルのアテンザでは、残念ながら「Eセグの本丸」までは到達できないでしょう。
いよいよ2014年の末には、満を持してホンダ・レジェンドが復活を遂げます。日本メーカーの中でもホンダは、自らが計画したコンセプトを正確に再現する能力に長けていてるので、「クラウンの牙城を潰す」というミッションを忠実にこなしてくると思われます。先代モデルの段階ですでにレクサスLSに匹敵する装備を持っているほどの素性の良さに加え、新たに次期NSXと共通の駆動システムの採用などブランディング戦略にも力が入っています。レクサスLSやメルセデスSクラスと同等の内装を誇るセダンが、リッター15km以上の好燃費で登場したら・・・。いよいよ高級車の常識が変わってしまう大事件になるのではと期待が持てますね!
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