2013年4月11日木曜日

「スカイライン」はメインストリームに復帰できるか?

  日産の「商売」において「スカイライン」という商標が今ではどれだけの意味があるのでしょうか? 日本のクルマファンにとって「スカイライン」というブランドは、「技術の日産」がつくる世界最良のスポーツセダンを想像させるものなのですが、その名前を引き継いでいるクルマは、日本市場から静かにフェイドアウトしている印象があります。

  かつてはマークXの前身車の「マークⅡ」と性能や価格で真っ向から対立していた「スカイライン」ですが、今では2.5Lの「マークX」のベースグレードが240万円なのに対し、同じ2.5Lの「スカイライン」のベースグレードは340万円となっていて、この100万円の「格差」の意味が日本市場ではかなり分かりにくいものになっています。結果としてスカイラインは「高すぎて」、マークXは「安すぎて」どちらもいまいち販売が伸びていません。高すぎるといってもBMW3やメルセデスCよりは低価格に設定されているので、スカイラインとしては非常に「微妙」な状況になっています。

  スカイラインは北米では「インフィニティG」として、Dセグの量販セダンでは「最上級」(3万7000U.S.ドルから)のクルマになっていて、価格ではBMW3やメルセデスCよりも「高級」なクルマです(しかも売れています)。この北米市場での「スカイライン」の新たな展開により、内装はV36になって格段に向上しドイツプレミアム勢を完全に抜き去って、レクサスとの「ジャパンプレミアム」同士のハイレベルな戦いを繰り広げています。当然ながら今年のFMCはレクサスISと同じタイミングということもあり、コンセプトカーの段階から「さらに高いレベル」が追求されています。

  かつて「マークⅡ」と争っていた200万円台のミドルサイズセダンが、2.5Lでも日本価格で400万円を超える「超プレミアムDセグ」へと変貌していながら、相変わらず日本では「スカイライン」の名称で発売されるのでしょうか(「インフィニティQ50」という新たなコード名が使われるという噂もあります)。日産もこの「矛盾」にもちろん気づいているでしょうし、ブルーバードの名前が消えたように、スカイラインもGT-Rも近々消えて行く運命かもしれません。「伝統の名称」といわれますが、若い世代の中には、「ブルーバード」「サニー」「スカイライン」といった名前が付いているから購入の候補にならないという意見もあるのは事実です。

  逆に「フーガ」のような新たな名称の車種は、クオリティカーとしてライバルを圧倒する性能を備えているならば、案外すぐに受け入れられて初代からヒットする例もあります。新型のV35も元々は新型車種として開発されたものに、日本仕様のみ「スカイライン」という名称を付けたものでした。V37はV36の基本機構を受け継ぐものですが、ボディの外観はまた新たなものへと進化しているので、日産としては「名称」を変えてさらに幅広い世代に訴求していきたいという思惑もあると思います。逆にいうと「スカイライン」の名称のままで日本市場に新たな風を吹かすには相当ハードルが高いのかな?という気がします。

↓32~34のスカイラインは街中で「異様」なまでの存在感を放っています。ファンにはたまらないでしょうが、絶対に乗りたくないという若い世代もそれ以上にたくさん居るようです・・・

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