GT-Rの開発が終了する替わりに、日産は次期型フェアレディZの開発を決定したそうだ。2シータースポーツクーペというジャンルはとうとう絶滅するかと言われていたが、セダンなどの乗用車の車重がどんどん重くなり車体も大きくなっていって、現実的にスポーツ走行に向かないクルマになってきたこともあって、近年再び人気が復活してきている。日産としてもこのブームに乗りたいの考えているようだ。
日本で日産ほどスポーツモデルの伝統を重視するメーカーはないといってもいいほど、フェアレディZは大事に作り続けられている。トヨタにしろホンダにしろスポーツクーペが何台もFMCを繰り返すことはまず無い。幻のスポーツカーとして未だに中古車市場で高値で取引されている「NSX」や「S2000」と同じように、ホンダCR-Zやトヨタ86もFMCを迎えることなくモデル廃止になりそうな予感がする。日産以外でFMCを繰り返しているのはマツダのロードスターぐらいだ。もっとも欧州ではマツダはスポーツメーカーとして認識されているくらいなので、当然のことではあるが・・・。
日産・BMW・メルセデスといったフルラインナップのメーカーが、スポーツカーを作るときに陥りがちなのが、既存のセダンのホイールベースを切り詰めて作った「専用設計ではない」低コストなシャシーを使ったりすることだ。それぞれ「フェアレディZ34」はスカイラインV36の設計を、「メルセデスSLK」はメルセデスCクラスの設計を、「BMWZ4」はBMW3の設計を使って作られたクルマだ。よってポルシェやマツダのような専用設計のスポーツカーと比べると、スポーツカーとしての性能には疑問符が付くという指摘が見受けられる。
BMWやメルセデスはそういう素性の良くないスポーツカーを「ピュアスポーツ」だとして「厚顔無恥」にも販売している。しかしスポーツカーの熱心なユーザーほど「素性」は大事にするので、これらのクルマは見向きもされない。その代わりに「ファッション」でこういうクルマに乗る人々にはそこそこ人気があったりする。悲しいことにフェアレディZはこの2台と「同類」にされてしまうようだ。
Z4とSLKは性能面はいたって普通のクルマで、車重はセダン並みの1500kg前後ある。マツダのロードスターの軽さには遠く及ばない。それに引き換えフェアレディZは40kg・m近いトルクを引っさげたハイパワーで、ロードスターとは別の楽しみ方がある。V6エンジンゆえの噴け上がりの悪さを指摘する声もあるが、400万円のスポーツカーに多くを求め過ぎな気もする。少なくとも、フェアレディZは価格に見合う実力を十分に持っている時点で、Z4やSLKとは違ってスポーツカーとしての個性と明確なコンセプトを持ったクルマになっている。日産が次期モデルでさらにどんな新しいコンセプトを示してくるかが楽しみだ。
↓日産が「シルビア」ではなく「フェアレディZ」を選んだことで、日産は孤高の高級車メーカーへと歩みを進めることができた?
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