2013年6月21日金曜日

ホンダNSX 「気持ちのよいNAとでこぼこの都会を駆け抜けるトラクション炸裂のはずが・・・」

  日曜日に都内を走っていると、いろいろな「趣味性」の高いクルマが見られて楽しい。どこぞの博物館にお金を払ってもなかなか見られないような「スゴいクルマ」が見られたりするので、ちょくちょくと田舎からわざわざ見に行ってしまう。先日も黒のメルセデスCLSの「痛車」(ボディにアニメがペイントされたクルマ)が走っていたりして、思わず笑ってしまった・・・。R35GT-RやNSXの「痛車」などもすでに複数存在していて、実際に見かけたら、ちょっとショックを受けそうだ。

  幸いなことに都内でNSXの痛車は見かけたことはない。どうやら最近ではすぐに現状回復できるラッピングフィルムがあるようで、特別なイベントなどがないときは、ノーマルの状態で走るという人もいるらしい。お台場などの信号の少ない広い道路でNSXをよく見かける。乗っている人を見ると、やはりというか「痛車」に乗っててもおかしくないような「イケメン」が多い気がする(かなり若い人が多い)。別に揶揄するつもりはない。NSXを所有できる社会性とアニメ趣味のオタクというスペックなら、ほぼ確実に「イケメン」じゃないと成立しないのでは?という意味だ。

  たいていは見た目がとても若そうで、普通に友達でも同僚だとしても害のなさそうなオーラを出している。外見からのイメージ通りで、運転もかなりジェントルでNSXをまるでカローラのように運転していたりする。ちょっと偏見かもしれないが、せっかくのNSXなのにトラクションの良さを味わおうとする様子でもなく、まるでトヨタのHV車に乗っているような立ち上がりだ(ちょっと言い過ぎか?)。立ち上がりもクルマがスムーズに動く性か、VWポロなどの出だしに見られるような「せわしない様子」など少しもみせない。こんな「草食系」のNSXのドライバーが増えているように思う。

  「痛車」が街中でも見られるようになった背景には、ある種の意味を発信しているような気がする。そもそも特大のアニメの絵を誇るようにプリントされたクルマに乗ることは、クルマが持つ重要な役割を根本的に変えてしまっている。そこには現代のクルマが抱える深刻な問題があるように思う。つまり今のクルマは総じて「ダサい」ということだ。ノーマルのクルマのデザインがダサいから、「痛車」に乗っていてもそこまで違和感を感じないし、引け目に思うことなどまったくなく、好きならやればいいのではないか? 「痛車」は周囲から好奇な目で見られるかもしれないが、街中に溢れる、ノーマルデザインのプ◯ウスに乗っている人に比べれば「マシ」と思えるのかもしれない。

  そんな「痛車」乗り達が実際に憧れを持つクルマは2000年頃に発売されていたスポーツカーが多いようだ。割合としてはスバルや三菱のものが多いだろうが、その中でも特別なステータスを誇るのがFD(RX-7)とNSXだと言われている。やはり「痛車」乗りの中には一定割合でセンスがいい人も多いのだ。この2台は走行性能もさることながら、スタイルの良さから惹かれるという人もかなり多いと思う。どちらも発売から20年以上が経過しているが、まったく風化しないデザインには、まさに「不変」「永劫」のものなのかもしれない。

  去年出たばかりのトヨタ86はなぜFDやNSXのデザインを超えられないのか? 極限的性能を持つクルマのデザインはバイアスがかかってカッコ良く見えてしまうのか(たしかにGT-Rもカッコいいな・・・)? デザインそのものを科学的に「カッコいい」ものへ変えることはできないのだろうか・・・。





  
 
  
  

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