2013年6月11日火曜日

フォルクスワーゲン・シロッコR 「直4車の限界価格はいくら?」

  どんなに興味がないブランドであっても、1台くらいは気になるクルマがあったりする。フォルクスワーゲンだと、それに該当するのは「シロッコ」で、ドライブに行った先で見かけるとついつい見とれてしまう。VWのクルマとは思えないほどの豊かな曲線で構成される側面デザインは、このブランドにはまったくそぐわないほど「芸術的」ですらある。そのスタイルは、同じVWグループ・アウディの看板モデル「TT」と比べてもまったく見劣りしない。最近ではむしろ「シロッコ」の方がカッコいいのではと思えるくらいだ。

  しかしカタログでその価格を見ると、その「割高」な設定に思わず卒倒しそうになる。大衆モデルと同じ1.4Lターボ搭載車なのに本体価格で350万円もするのだ。同スペックのゴルフのハイラインと比べて50万円も高いとは驚いた。日頃からゴルフは割高と主張しているのに、それをさらに上回る価格設定になっている(ゴルフGTIが買えてしまう)。それでも簡単には引き下がれないほどデザインは素晴らしい。やはりVWは商売上手だ・・・、デザインの価値とそれに見合う価格がよく分かっている。だからこそリーマンショックが起こって「トヨタショック」に見舞われても、このメーカーだけは利益を出し続けるのだろう。日本のどっかのメーカーのように好デザインをむざむざ安売りしたりは決してしない(ユーザーにとってはマ◯ダは素晴らしいメーカーだが・・・)。

  シロッコのグレード設定は実に巧みだ。ベースグレードに使われているVWの1.4LターボTSIはブランドの屋台骨と言える主力エンジンなので、悪いということはないが、あくまで「大衆車」向けの良質なエンジンに過ぎない(日本の1.5LのNAのスカスカ加減からすれば良いということになるだろうが・・・)。そこで上級グレード(シロッコR)の2Lターボ(256ps)に目がいくのだが、本体価格は515万円と一気に跳ね上がる。これはアウディTTの2Lターボ(211ps)のクワトロ(4WD)が買えてしまう価格帯なので、このサイズのスポーツモデルが欲しい人なら、TTに流れることが多いのかなという気がする。

  シロッコRがゴルフR(505万円)に10万円上乗せでOKなら、ゴルフハイライン(299万円)やゴルフGTI(368万円)にも10万円上乗せでいいんじゃないの?と勝手なことを考えてしまう。もしその価格で発売されたら、間違いなくシロッコはとてもお買い得だ。さらにこのクルマの良い点として、スポーティなデザインにも関わらずホイールベースはゴルフと変わっていないので、後席空間が犠牲になってはいないことだ(もちろん2ドアだから乗り降りには支障はあるが・・・)。アウディTTやプジョーRCZといった同サイズのスポーツモデルはことごとく後席には大人が乗車できなくなっているのとは対照的だ。TTはゴルフのシャシーを100mmも切り詰めているから実質2シーターだ。

  さらにゴルフの外観上の最大の欠点と言える「腰高感」を解消すべく、全高を65mm低くしてある。これにより伸びやかで美しいデザインというだけでなく、低重心でコーナ―での旋回性能もゴルフに比べて格段に高い(だろう)。特にシロッコRは同スペックのゴルフRと比べて車重が120kgも軽いので、10万円の価格差は安いくらいで「R」を買うなら間違いなくシロッコだと思う(某試乗レビューではトラクションの関係もあって、一概にシロッコRがいいという訳ではなかったようだが・・・)。


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↓メルセデスAクラスやボルボV40などでは「逆立ち」しても勝てないほど、シロッコのデザインはいいですね。

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