2015年9月18日金曜日

BMW7シリーズ 「ちょっと中毒性がある!」

  存在そのものは知られているけど、誰もあまり本気では欲しがらないクルマ・・・。おそらくこれからも本格的な人気になることは絶対にないであろう不思議なクルマ・・・そんな不思議なクルマの代表格が「BMW7シリーズ」だと思います。映画「トランスポーター」を大興奮で見終った直後ならば、多くのミーハーな人が劇中での颯爽とした姿を見て「7シリーズいいなあ〜」といった想いを一時的に抱くでしょう。

  あるいはユーチューブで人気の「M's TV」を主催しているオサピーさんという人が乗っていたE66の後期モデルを見て、なんだかんだ言ってかっこいいな!!!って目からウロコの人もいるでしょう。あの大批判されたクリス=バングルの奇抜なデザインで登場も、後期モデルはいい感じで修正されていて、まだまだ艶やかな鮮度を保っています(前期から後期になって顔が完全に整形されました・・・)。

  そしてちょっと火が着いた勢いのままに7シリーズの中古車を検索しはじめると・・・、あれれ・・・?まだ10年も経過していないのに、100万円台〜200万円台と軽自動車並みに安いタマがズラリと並んでいます。これだけ安いのになんで売れ残るの?大排気量にありがちな不人気車ですか? 東京の西部(八王子辺り)にはダッジのマグナムやチャレンジャーなどのデカくてハイスペックなクルマを転がす粋な兄ちゃん達をかなり見かけますが、彼らにとってこのBMWのフラッグシップはあまり魅力的ではないのか? OHV8気筒のかったるいアメ車エンジンよりも、バルブトロニック初搭載で噴け上がりも凄まじいBMWの自然吸気8気筒のほうが単純に興奮できる思うのですが・・・。

  やっぱりこのクラスのBMWに好んで乗る連中なんて、しょせんは医者とか弁護士とかちょっと変わったヤツが多いですし、それらの多くが高級車をラグジュアリーなオトナの雰囲気で乗りこなすより、スバルユーザーのようなヤンチャさが目に付く純情派が多いみたいですから、そんなのと同一視されると考えるとちょっと乗りにくいのかもしれません。

  完全に余談ですけど、BMW一筋!とか宣言しているブログをちょいちょい見かけると、必ずと言っていいほどに書き方がインテリなんですよね。「修正主義」というか、研究者が自分の理論に実験結果をこじつけるかのような、ゴリゴリ感が文章全体に散らばっていてしばしば唖然とさせられる事が多いですね。BMWが・・・ホンダ車よりも噴け上がりが悪く、日産車にスペック面で歯が立たず、スバル車よりもトラクション性能が低く、マツダ車よりも静音性が低く、スズキ車よりも安全性が低いという現実が直視できていないんですよね・・・。プリウスのお下がりの素材に三菱のターボ技術使って南アフリカの会社に委託して作られてるのがBMWの現在位置なんですけどね・・・。

  そしてそんな南アフリカ製に乗っている輩ばかりが、私のブログに土足でやってきて「オマエの文章には根拠がない!」とか偉そうなコメント残していくのですから笑えます。こいつら本当にクルマのことわかってないんだな・・・などと思いながらも、要求された「根拠」をいちいち義務感に苛まれながらもイヤイヤ説明するんですけど、彼らがそういった真っ当な話をすぐに理解できるだけの柔軟な頭があるならば・・・南アフリカ製の右ハンドル限定のコクピットが歪なクルマを好んで買わないと思うんですよね。3シリーズの右ハンとか乗る度にハンドル軸が内側を向いているような気がしてならないんですよね。そもそもあの狭苦しいコクピットからして好きになれないですけど・・・。

  いまさらの話ですけど、BMWってEV以外のモデルは、全て3種類のBMWのプラットフォームと1種類のMINIのプラットフォームで賄っています。早い話が5、6、7シリーズ(共通L6プラットフォーム)が同じで、X5、X6が大型SUV用の特別シャシー(L4)を使い、残りは「L7」と呼ばれる汎用FRシャシーを使っています。そしてFFモデルはMINIのものを流用しています。2010年に一斉に採用されたL4・L6・L7の3つのプラットフォームは、L4が米国(スパルタンバーグ)、L6が本国、L7が南アフリカ(ロスリン)、中国(華晨)での生産を念頭においた生産地の役割分担もあるようですが、今後大きく販売を伸ばすと予測される中国市場におけるカテゴリーにあわせて、L6(上級)とL7(下級)の2つのシャシーを作ったと言われています。

  中国で最もシェアを持っているのはVWですが、これは中国国内で最大手の「第一汽車グループ」と組んでいることも大きく影響します。共産党幹部の専用車を手掛ける第一汽車は中国政府の手厚い保護が当然にあるので、VWとドイツ政府はあの手この手で擦り寄って大成功を収めました。その一方でトヨタとマツダは中国バブルが本格化する前に第一汽車との合弁を取り消しています。まだフォード傘下だったマツダはともかく、HV技術の流出を嫌って合弁の拡大を渋ったトヨタは完全なミスチョイスでした。

  ちょっと横道にズレましたが、そんな中国で影響力がある第一汽車グループのプレミアムブランド「紅旗」と一般ブランドである「第一大衆」がターゲットとする客層に合わせてBMWも「紅旗」=L6、「第一大衆」=L7と想定してのクルマ作りが行われているわけです。「紅旗」の主力車種はトヨタのライセンスを買い取ったクラウンマジェスタをベースとしたモデルで、「第一大衆」はVWのゴルフのセダン版であるジェッタをベースにしています。マジェスタに対抗するためにL6には同等の高性能サスが組み込まれました。一方でL7はゴルフ・ジェッタと同等のごくごく一般的なサスで間に合わせています。

  現行のF01/02モデルでは、シャシーが5シリーズ(F10系)と共通になったため、無理に750iを選ばなくても、550iでBMWのフラッグシップ気分が味わえる?といっても良さそうです。むしろエアサスなどのフワフワした要素を排除できる550iの方が純粋にドライビングを楽しめそうです。とは言っても550iも本体価格1100万円ですから・・・もしお金が出来てRC-Fでも買おうかな?というときには有力候補かもしれませんけど。

  BMWだからやはりシャシーのことを最優先に考えると、M3を買うぐらいなら550iを選ぶのが当然になると思います。さらに普段走らせるにしても、L7シャシーのBMWとL6シャシーのBMWでは乗り味が大きく違う(L7車で満足できるハンドリングが未だにない!)だけでなく、周囲からの視線も変わってきます。ただ悲しいのは5シリーズと7シリーズのデザインの差も案外無視できないことです。F10系5シリーズのエクステリアって決して褒められる出来ではないですし、6シリーズもスタイリッシュとはとても言えないやたらとメタボな印象(これはパナメーラの影響か?)で、結局のところ5・6・7の3台をじっくり見比べると、当たり前ではありますが全体的に伸びやかで、個性を感じさせるパーツも豊富に付いた7シリーズが圧倒的に優れています。

  「俺はBMWの自然吸気8気筒に乗りたいんだ!」っていう密かな願望と現実的な中古価格に魅せられて、先代7シリーズを300万円くらいの予算で本気で探してみよっかな・・・なんて衝動が週に2〜3度はやってきますね。個人的な理由ですが、実家の南側に3階建てをつくった方が5シリオーナーなので、家の前に横付けしてやろうかな・・・ってのもあるのですが、このクルマはなかなか中毒性がありますね。7シリーズ・シンドロームとでも名付けましょうか、それにしても中古価格は魅力だと思います。ちなみに先代の5シリーズも100万円前後のバーゲン価格ですけど7シリーズとは違う低スペックシャシーなのでダメですね(直6自然吸気はちょっと魅力ですが・・・)。

  
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