人類の歴史を見ていると、それの連続であることが証明されますが、かつて王侯貴族が独占的に使用していたものが、年月の経過とともに一般庶民にも利用可能なものになります。かつては貴族だけが食べた食事。かつては貴族だけが使った馬車(自動車)。かつては貴族だけが愉しんだ海外旅行。つまり時代が流れていけば、フェラーリやアストンマーティンもまた一般庶民が愉しめるブランドになっていくのでは?と思うのです・・・。裏を返せば、『貴族趣味』に愚直に憧れ続ける人々だけが、資本主義の荒波の中を突き進んでいけるのかもしれません(詐欺師の常套句!?)。
ポルシェ、フェラーリに続いてこのブランドにもいよいよ「ターボ化」の波が訪れました。これまでのアストンマーティンのフラッグシップエンジンといえば6LのV12自然吸気でしたが、ちょっとだけダウンサイジングして5.2LのV12ツインターボになったそうです。最高出力もいよいよ600psを越えて、一線級のスーパースポーツあるいはラグジュアリーGTの世界基準をしっかりとキャッチアップしています。
現代ではスーパーカーの定義に当てはまるクルマは、ブガティ(仏)、パガーニ(伊)、ケーニッグセグ(典)といった幾つかのブランドに限定されていて、フェラーリやマクラーレンなどは、せいぜいポルシェ911ターボや日産GT-Rのような安普請なスポーツカー出身のグループとひとまとまりに『スーパー・スポーツ』と俗称されています。スーパーカーは1台2億円前後なのに対して、スーパースポーツは1500〜4000万円の範囲に収まります。
さらに1500~4000万円くらいで売られる600psクラスのクルマの内で、サーキット向けのものを『スーパー・スポーツ』とし、日常的に使えるツアラーを『ラグジュアリーGT』と区別し、レーシング・セレブには2台所有してもらおうというマーケットが一般的になっているようです。
ポルシェの代表的なモデルだと前者が「ターボ」「GT3」で後者が「タルガ」です。
フェラーリだと前者が「488GTB」「F12ベルリネッタ」で後者が「GTC4ルッソ」「カリフォルニアT」。
日産だと前者が「トラック」と「NISMO」で後者が「プレミアム」「ブラック」。
マクラーレンだと前者が「675LT」で後者が「570GT」。
そしてアストンマーティンは・・・前者が「ヴァンテージS」「バルカン(未発売)」で後者が「DB9」「ヴァンキッシュ」です。前者と後者の分かれ目がいまいちハッキリしないのがこのブランドの特徴かもしれません。先ほど列挙した4ブランドは初心者にも解り易くグレードを作り分けているのに・・・なぜ? アストンマーティンが分りにくい理由の一つに「サーキットモデルの方が安い」という特徴があります。やはり英国ブランドはロールスもベントレーもジャガーもそうですが、サーキットカーよりもロードカーに重きを置いているようです。
さらにアストンマーティンは、スーパースポーツでは常識となっているDCTを採用しない方針に決めたそうです。よってサーキット用途のヴァンテージの上級モデルV12にも順次MTモデルが追加されますし、鋭意開発中と伝えられるバルカンにもMTを組み込む模様です。そして次世代ロードカーを担う新鋭の「DB11」には8AT(ZF製)を配しています。そして細かいことですが、アストンマーティンはサーキットモデルのコンバーティブルは「ロードスター」と呼称し、ロードモデルでは「ヴォランテ」と命名して区別しています。
現在のアストンマーティンはフォード傘下から放り出されたあと、中東のオイルマネーを資本主としていますが、近々どこかの業界ビッグネームが買収に名乗りを上げるのではないかと言われています。その最有力がルノー日産グループだそうで、カルロス=ゴーンの後継者と言われていた元日産のアンディ=パーマー氏がアストンマーティンにCEOとして迎えられていて現職です。なんでアンディ=パーマーなのか?就任後にほどなく伝えられたのは、次世代のV8はAMGから供給されるというニュース・・・。2007年にGT-Rを発売した日産の中心にいたアンディ=パーマーはゴーンの決断の背中を押した人物だとされています。
2002年のスカイラインGT-R廃止で一気に低下した日産ブランドの求心力を高めるだけでなく、VW成長の尖兵となっていたポルシェを捉えることができる技術力のプールを使って、911ターボ撃墜作戦を展開。その後にVWグループに戦々恐々のダイムラー(メルセデス)との大規模提携が実現。AMGによるポルシェへの挑発的なエンジン開発が始まり・・・。2010年には英国でマクラーレンをブランド展開し、当初から日産系列サプライヤーの全面協力によってターボモデルばかりを展開するスーパースポーツブランドへと成長します。今では完全にポルシェやフェラーリを越えたスーパースポーツの王道ブランドとして認知されるようになりました。
「ポルシェを越えるクルマを日産の技術で世界へ」・・・これがアンディ=パーマーが描いた青写真ならば、その続きにロードカーの頂点を目指すべく欧州の名門アストンマーティンを日産傘下へ!!!ゴーンに提言し続けたと言われています。結果的に日産は三菱は買ったけどアストンマーティンは買ってません。ただしアストンマーティンの中枢にはアンディ=パーマーのコネクションによる日産やAMG関連の技術が次々と入り込んでいるようです。そんなパーマー体制が送り出す新しいロードカーが「DB11」・・・今度こそは『デザインWCOTY』は確実か?(ヴァンキッシュは2013年のデザインWCOTYで、ジャガーFタイプとマツダアテンザとファイナル3まで残ったが受賞ならず・・・旧フォード勢によるファイナル独占はスゴい!アストンの前任デザイナー・イアン=カラムのFタイプに獲られたのは屈辱!?)
さてDB11ですが、前作のヴァンキッシュも相当にスゴかったですけども、これま「洗練」としか形容しえないほどの継ぎ目を感じさせない滑らかなエクステリアになっています。メカの中身は日独の技術が満載ですが、それでも英国ブランドらしい伝統に沿ったGTカーを作る!!ロードカー文化を守る!!という、単なる1車種の設計に関わるエネルギー以上の鬼気迫るものを伝えてきます(ファイスリフトしたGT-Rのユルさときたら・・・)。
変に流行を追う事はなく、完全にオリジナルを感じる独特のフォルムでありながら、イタリアのスーパースポーツが身に纏う「ウロコ」みたいな異形のカーボンパーツもないのですが、一見大人しそうに見えてそれでいてリアのフェンダー周りの造形一発で、見るものをノックアウトするほどグラマラスで神々しい一面もあります。やっぱりこれぞ「グランドツアラー」なのかなー。名門ポルシェが991(2011年)でやっと辿り着いた『境地』をさらに越えて未来的な予感もひしひし感じます(水冷ポルシェは996の壊滅的なデザインから997で前面の整形を果たし、991で正しいGTカーのリアを手に入れた・・・ポルシェファンに悪いが空冷時代はデザイン面で見るべきものは無い)。
488GTBが日本で走り始めても、これ見よがしに「フェラーリですよー」っていう主張を、「色」と地べたを這うような「スタイル」それから「爆音」で主張してくるだけ(だと思いますよー)。言葉が悪いですがもう「目立ってなんぼ?」の世界にどっぷり浸かってます(それがフェラーリの意義なんでしょうけど)。これって恐らくですが、たとえ経済的にかなり恵まれていたとしても、これまでランエボ(ランボじゃないよ!)とかM3とか乗ってきた生粋のGTカー好きがそのまますんなりとステップアップして入っていける世界観じゃないと思うんですよ。もし3000万円くらいのお金で好きなGTカーを買える身分になったなら、M4やGT-Rの先にあるのはこの「DB11」なんじゃないのかなー。
BMWや日産といった少々骨っぽいけども、GTカーの世界でそれぞれにかなりの地位を築いたブランドのコンセプトを飲み込んで、その上に立ってそれらのユーザーを受け入れられる真のGTカーの頂点のブランドは、フェラーリでもポルシェでもマクラーレンでもランボルギーニでもベントレーでもなく、新生アストンマーティンなのかもしれません。そのことを世界中に大きく知らしめる契機となる1台こそがこの「DB11」になりそうな予感がします。
フェラーリやポルシェが大手を振って進む時代は終わった!!!遡れば1990年にすでにホンダが終わらせていた!!!そこから先の生温い時代に、ダラダラとフェラーリもポルシェも生き続けましたが、1990年から今までの間にこの2つのブランドがどれほどのコトを成し遂げたのだろうか!? もはやフェラーリやポルシェではこれからの時代を切り開くことなんてできない!!!・・・アンディ=パーマーは自身も相当なカーガイだと言われていますが、彼自身の信念の中にスーパースポーツブランドの新陳代謝が必要だ!という想いがあったんでしょうね・・・。
アストンマーティンDB11の動画
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2016年8月29日月曜日
2015年7月31日金曜日
アストンマーティンV8ヴァンテージ 「知られざる日本スペシャル!」
今月号のルボランを読んでいたら、1000万円級スポーツモデル対決として、「ケイマンGTS」と「レクサスRC-F」の動力性能の比較テストに目が留まりました。車重1400kgと1800kgを比べるという企画になんじゃこりゃ?という想いを感じつつも、素直に読んでみるとなんでこの2台が選ばれたのか?という意図は十分に伝わってきます。おそらくこの企画は編集部がクルマ2台とサーキットを用意し、清水和夫氏がそれを存分に吟味してその性能と印象を記事にするという段取りになっているようです。
少々失礼ですが、この2台をブッキングした編集部の人はとてもいい仕事をしていると思いますけど、肝心の清水氏がこの2台が選ばれた意図がイマイチ解っていないのではないか?という印象を受けました。ピュアスポーツの性能基準にするならまちがいなく「ケイマンGT-S」に軍配が上がるでしょうし、単純に一人乗車で限界性能を探るという条件ならなおさらで「レクサスRC-F」に勝ち目は無いわけです。しかし今回は「こんなアンフェアな条件でRC-Fを貶めるな!」なんて思いは少しも湧きませんでした。
テスト結果も少々意外で、400kgも重い「レクサスRC-F」が「ケイマンGT-S」とブレーキ性能がほぼ一緒という驚異のデータが出ています。この結果はレクサスのイメージを大きく変えることになりそうです。なんといっても相手が「ブレーキ王」のポルシェです。「RC-F」が「BMWZ4」や「メルセデスSLK」にブレーキングで互角であっても全然驚きませんが、相手が「ケイマン」ですからこれは価値がデカいです。「レクサスRC-F」はこんなにいいクルマだったとは!あとは車重が150kg軽ければ、がむしゃらに貯金したいですけどね・・・。ちなみに何で清水さんは企画の意図がわかっていないのか?というと、この自然吸気スポーツモデル対決の場に、完全なる部外者といえるクソ・ターボの「BMW M3/M4」や新型の「C63AMG」を持ち出してきたことです。
ほかのライターもしばしば「レクサスRC-F」のレビューで引用していますが、「BMW M3/M4」や「メルセデスC63AMG」はレクサスの開発者としては一番比較してほしくない相手なんじゃないですかね。おそらくレクサスの開発者は3シリーズやCクラスをある意味で軽蔑しているはずです。レクサスRCは発売当初から、トヨタのアイデンティティとも言えるハイブリッドユニットが設定されていますから、「燃費を気にする人」と「官能を求める人」を完全に分けたマーケティングをしています。それぞれに高い顧客満足度を目指していて、その中で5LのV8自然吸気という魅惑のユニットが実現しました。一方で最新のBMWやメルセデスは高性能モデルであっても10km/Lを軽く超える燃費を出さなければ!みたいな曖昧さが介在しています。「RC-F」と「M3/M4」を不用意に同列に置くライターを見かけるとちょっとデリカシーが無いな・・・と感じてしまいます。
さてBMWやメルセデスを脇役に追いやり、輝きを見せる「ケイマンGTS」と「レクサスRC-F」ですが、このルボランの企画で明らかになったのは、1000万円使えるなら当然に選択肢に入るであろう、自然吸気のスポーツエンジンを持つこの2台が、どちらも「未完成」だったということです。400kgも重い相手である「RC-F」に加速も減速も同等の結果を出された「ケイマンGTS」には、やはり不満が残ります。旧式フラット6エンジンを使い続ける限界と、ポルシェがここ数年なかなかモノにできていない可変ダンパーを組み込んだ足回りの開発に、まだまだ大きな課題があることがハッキリしました。一方で「RC-F」はあと150kgのダイエットでクルマの価値が数倍上がる(価格も上がる?)、けど現状では「峠」では使い物にならないという話です。
しかし実際に、ドイツと日本それぞれの頂点といってもいい2台にケチが付けられるほどの「理想的なスポーツカー」はどこにあるのでしょうか? 先日ちょっと人生観が変わるような体験をしました。長野〜群馬の県境の峠をゆるゆると走っていると、なんと「V8ヴァンテージ」を見かけました。「こんなところにアストンマーティン?」めちゃくちゃビックリして、停止して道を譲ったあとしばらく呆然と見送りました。有名な碓氷峠ではなくて、かなりマイナーな県道124号です。峠区間にはかなり長い区間センターラインもありませんし、その日は土曜日でライダーもちらほらと駆け抜けていきます、あんまり無茶できるルートではないですけど、早朝に走る分には交通量も少なくて気に入っているわけですが・・・。
そんなところに「ヘビー級スポーツカー」がやってくるなんて考えもしなかったですけど、この「V8ヴァンテージ」にとってはここが最良のステージだ!と言わんばかりの滑らかでリズムのいい走りをしていました。「アストンマーティン」ってこんなに器用なクルマなの!?ってのが率直な感想でしたが、家に帰ってあれこれ調べると、「全長4385mm、ホイールベース2600mm、車重1630kg」に加えて「自然吸気4.7LのV8」しかも「ドライサンプ」。なるほど!こりゃ凄いや・・・。
レクサスはより究極的な「RC-F」を目指すなら、この「V8ヴァンテージ」を手本に、構造そのものの軽量化と、エンジンのドライサンプ化で低重心とすることで、よりピュアスポーツに近づけるのでは?と思います。「ケイマンGTS」はミッドシップゆえにフロント荷重に問題が起こりやすく、旋回性能にムラが出てくるので、それを電子制御で過度に抑え込む設計は、今では安全上必須なんだと思います。しかも911を超えてはいけないという制約がブランド内で存在するのでパワー一辺倒にも出来ず、しかも「トヨタ86」のような気持ちよく振り回せるモデルも人気になっている中で、いまいち「売り」がハッキリしないクルマかもしれません。
ポルシェというのはやはり「アウトバーン仕様」が原則のスポーツカーであり、ボクスターに使われた「プロムナードカー」という表現も、「トヨタMR-S」や「ホンダS660」といったミッドシップ2座オープンスポーツというグループを指すものであり、絶対的な戦闘力を高める方向には構造的に持っていきにくいという「矛盾」を孕んでいるように思います。やはりフェラーリだ!ランボだ!マクラーレンだ!とばかりにミッドシップを特別視する風潮が続く限りは、日本の「峠」を楽しむ究極のクルマ作りは進んでいかないのかもしれません。「V8ヴァンテージ」という知る人ぞ知る「日本スペシャル」に、近いクルマを出したレクサスは今後も応援したいですし、ポルシェにも次に登場する中型セダン「パジュン」発売の際には大いに期待したいと思います。
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少々失礼ですが、この2台をブッキングした編集部の人はとてもいい仕事をしていると思いますけど、肝心の清水氏がこの2台が選ばれた意図がイマイチ解っていないのではないか?という印象を受けました。ピュアスポーツの性能基準にするならまちがいなく「ケイマンGT-S」に軍配が上がるでしょうし、単純に一人乗車で限界性能を探るという条件ならなおさらで「レクサスRC-F」に勝ち目は無いわけです。しかし今回は「こんなアンフェアな条件でRC-Fを貶めるな!」なんて思いは少しも湧きませんでした。
テスト結果も少々意外で、400kgも重い「レクサスRC-F」が「ケイマンGT-S」とブレーキ性能がほぼ一緒という驚異のデータが出ています。この結果はレクサスのイメージを大きく変えることになりそうです。なんといっても相手が「ブレーキ王」のポルシェです。「RC-F」が「BMWZ4」や「メルセデスSLK」にブレーキングで互角であっても全然驚きませんが、相手が「ケイマン」ですからこれは価値がデカいです。「レクサスRC-F」はこんなにいいクルマだったとは!あとは車重が150kg軽ければ、がむしゃらに貯金したいですけどね・・・。ちなみに何で清水さんは企画の意図がわかっていないのか?というと、この自然吸気スポーツモデル対決の場に、完全なる部外者といえるクソ・ターボの「BMW M3/M4」や新型の「C63AMG」を持ち出してきたことです。
ほかのライターもしばしば「レクサスRC-F」のレビューで引用していますが、「BMW M3/M4」や「メルセデスC63AMG」はレクサスの開発者としては一番比較してほしくない相手なんじゃないですかね。おそらくレクサスの開発者は3シリーズやCクラスをある意味で軽蔑しているはずです。レクサスRCは発売当初から、トヨタのアイデンティティとも言えるハイブリッドユニットが設定されていますから、「燃費を気にする人」と「官能を求める人」を完全に分けたマーケティングをしています。それぞれに高い顧客満足度を目指していて、その中で5LのV8自然吸気という魅惑のユニットが実現しました。一方で最新のBMWやメルセデスは高性能モデルであっても10km/Lを軽く超える燃費を出さなければ!みたいな曖昧さが介在しています。「RC-F」と「M3/M4」を不用意に同列に置くライターを見かけるとちょっとデリカシーが無いな・・・と感じてしまいます。
さてBMWやメルセデスを脇役に追いやり、輝きを見せる「ケイマンGTS」と「レクサスRC-F」ですが、このルボランの企画で明らかになったのは、1000万円使えるなら当然に選択肢に入るであろう、自然吸気のスポーツエンジンを持つこの2台が、どちらも「未完成」だったということです。400kgも重い相手である「RC-F」に加速も減速も同等の結果を出された「ケイマンGTS」には、やはり不満が残ります。旧式フラット6エンジンを使い続ける限界と、ポルシェがここ数年なかなかモノにできていない可変ダンパーを組み込んだ足回りの開発に、まだまだ大きな課題があることがハッキリしました。一方で「RC-F」はあと150kgのダイエットでクルマの価値が数倍上がる(価格も上がる?)、けど現状では「峠」では使い物にならないという話です。
しかし実際に、ドイツと日本それぞれの頂点といってもいい2台にケチが付けられるほどの「理想的なスポーツカー」はどこにあるのでしょうか? 先日ちょっと人生観が変わるような体験をしました。長野〜群馬の県境の峠をゆるゆると走っていると、なんと「V8ヴァンテージ」を見かけました。「こんなところにアストンマーティン?」めちゃくちゃビックリして、停止して道を譲ったあとしばらく呆然と見送りました。有名な碓氷峠ではなくて、かなりマイナーな県道124号です。峠区間にはかなり長い区間センターラインもありませんし、その日は土曜日でライダーもちらほらと駆け抜けていきます、あんまり無茶できるルートではないですけど、早朝に走る分には交通量も少なくて気に入っているわけですが・・・。
そんなところに「ヘビー級スポーツカー」がやってくるなんて考えもしなかったですけど、この「V8ヴァンテージ」にとってはここが最良のステージだ!と言わんばかりの滑らかでリズムのいい走りをしていました。「アストンマーティン」ってこんなに器用なクルマなの!?ってのが率直な感想でしたが、家に帰ってあれこれ調べると、「全長4385mm、ホイールベース2600mm、車重1630kg」に加えて「自然吸気4.7LのV8」しかも「ドライサンプ」。なるほど!こりゃ凄いや・・・。
レクサスはより究極的な「RC-F」を目指すなら、この「V8ヴァンテージ」を手本に、構造そのものの軽量化と、エンジンのドライサンプ化で低重心とすることで、よりピュアスポーツに近づけるのでは?と思います。「ケイマンGTS」はミッドシップゆえにフロント荷重に問題が起こりやすく、旋回性能にムラが出てくるので、それを電子制御で過度に抑え込む設計は、今では安全上必須なんだと思います。しかも911を超えてはいけないという制約がブランド内で存在するのでパワー一辺倒にも出来ず、しかも「トヨタ86」のような気持ちよく振り回せるモデルも人気になっている中で、いまいち「売り」がハッキリしないクルマかもしれません。
ポルシェというのはやはり「アウトバーン仕様」が原則のスポーツカーであり、ボクスターに使われた「プロムナードカー」という表現も、「トヨタMR-S」や「ホンダS660」といったミッドシップ2座オープンスポーツというグループを指すものであり、絶対的な戦闘力を高める方向には構造的に持っていきにくいという「矛盾」を孕んでいるように思います。やはりフェラーリだ!ランボだ!マクラーレンだ!とばかりにミッドシップを特別視する風潮が続く限りは、日本の「峠」を楽しむ究極のクルマ作りは進んでいかないのかもしれません。「V8ヴァンテージ」という知る人ぞ知る「日本スペシャル」に、近いクルマを出したレクサスは今後も応援したいですし、ポルシェにも次に登場する中型セダン「パジュン」発売の際には大いに期待したいと思います。
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2015年3月3日火曜日
アストンマーチン・ラピード と アキュラ・レジェンド
福野礼一郎氏のレビューをまとめたムック「晴れた日にはクルマに乗ろう・総集編」が先日発売されました。かつて「クルマの神様」という一切広告を載せないクルマ雑誌を企画したこともある福野氏ですが、フェアな言論!という視点ばかりに神経が行き過ぎたせいか、「クルマの神様」はハッキリ言って誌面レイアウトのセンスが悪過ぎでした。クルマ雑誌の写真を見てガッカリしてしまうのはやっぱりマズいです。それなのに日本の自動車雑誌はスクープばかりに重点を置いているものが多く、擬装で全くディテールがハッキリしない写真を特ダネだとドヤ顔で出してくるのでツマラナイなと思っています。
そんな気分をスッと晴れやかにしてくれるのがこの新しい「福野」ムックです。とっても晴れやかでいい写真が誌面の大部分を覆い尽くしています。そのほとんどのカットに福野さん自らが映り込んでいて、なかなかのナルシストぶりなのですが、例えばミスターGT-Rの水野さんが語ればそのクルマがカッコ良く見えてくるのと同じで、福野さんが乗るものは片っ端からとても良いクルマに見えてくるのでとても不思議です。余談ですが沢村(慎太朗)さんが微妙な表情で一緒に映り込んでいるクルマには少々複雑な感情が芽生えます。フェラーリでも嘲る規格外な変人ライターのオーラでしょうか・・・。オートカー・ジャパンの休刊は残念です。
簡単に言うと、福野さんが乗る(評する)アストンマーティン・ラピードはこのクルマが持つ個性を存分に発揮して光輝くのですが、沢村さんが乗るラピードは「とらえどころがない」なんていうなかなか当意即妙な表現を、沢村さんの顔面が見事に表現していたりします。私のような乗る機会もまず無いド素人が読んでいると、ラピードというクルマのイメージが180度転換してしまいますね・・・。今回の「福野ムック」の写真を見て改めてこのクルマはどこから見ても隙がないデザインで、内装も2300万円という価格を納得させるだけのコーディネートで、一目見て専用設計部品の利用率が相当に高そうです。
サイズは長さがおよそ5mで幅1930mmですから、新しく出るホンダのレジェンドに近いようです。完全3BOXのレジェンドに対し、リアがゲート式の新世代ラグジュアリーサルーン設計(パナメーラやテスラモデルS)になっているラピードなので、多少は意味合いが変わってくるかもしれません。純然たるスポーツブランドの「アストンマーティン」とメガ・コンストラクターの中では最もスポーティと言われる「ホンダ」。そして2300万円vs700万円という価格差3倍以上ですから、お互いに意識などしてないかもしれません。ただホンダとしては2代目NSXの発売と重なるわけですから、ホンダ並びにアキュラのブランドイメージを劇的に前進させるためにも、もっと新型レジェンドのデザインで「攻めて」も良かったように思います。ホンダの役員がラピードみたいなデザインのレジェンドに乗れば、日本の自動車メーカーもなかなかクールですね。
もちろん人それぞれに好みがあるでしょうし、パナメーラやラピードのような「リアハッチ型」のラグジュアリーサルーンに違和感を感じる人もいるでしょう。レジェンド発売と同時に公開された「無限」のレジェンド用パーツをフル装備すれば相当にカッコいいですから、無理にラピードのような凝った造形を追いかける必要はないわけです。しかしホンダが再び輝くためには、メルセデス・BMW・アウディ・レクサス・インフィニティがひしめく「画一的プレミアム」路線ではなく、これらを一気に捲り倒すくらいの圧倒的なイマジネーションによる勝利を目指すべきだったのではないかと思います。新型レジェンドはすでに北米ではアキュラRLXとして発売されていますが、販売状況はとても好調とはいえません。堅調な収支を続けているホンダとしては大ナタを振いにくい状況ではあるのでしょうが・・・。
アキュラがパナメーラやラピードを意識したようなラグジュアリー&プライベートサルーンを企画すること自体に無理があるという見方もあるでしょう。パナメーラやラピードですら大して売れていなのに、ホンダが未体験のジャンルに首を突っ込んでわざわざ参入するなんていうプランは役員からのゴーサインがどうせ出ないだろう・・・と設計陣は最初から諦めていたのかもしれません。あくまで私の推測に過ぎませんが、そんな消極的な印象がどうしても消せない新型レジェンドは発売2年間でアメリカ市場で輝くことはありませんでした。
しかし2015年のうちに新型NSXの発売を計画しているホンダですから、トップレベルの性能を備えたスーパースポーツを投入するという意味では、ポルシェやアストンマーティンと肩を並べる存在になります。この新型NSXを成功させるためにも、アキュラのイメージを劇的に変えるような惹きの強いプライベートサルーンを作っておく必要があったのではないかと思います。まあ素人の浅はかな考えに過ぎないわけですが・・・。
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そんな気分をスッと晴れやかにしてくれるのがこの新しい「福野」ムックです。とっても晴れやかでいい写真が誌面の大部分を覆い尽くしています。そのほとんどのカットに福野さん自らが映り込んでいて、なかなかのナルシストぶりなのですが、例えばミスターGT-Rの水野さんが語ればそのクルマがカッコ良く見えてくるのと同じで、福野さんが乗るものは片っ端からとても良いクルマに見えてくるのでとても不思議です。余談ですが沢村(慎太朗)さんが微妙な表情で一緒に映り込んでいるクルマには少々複雑な感情が芽生えます。フェラーリでも嘲る規格外な変人ライターのオーラでしょうか・・・。オートカー・ジャパンの休刊は残念です。
簡単に言うと、福野さんが乗る(評する)アストンマーティン・ラピードはこのクルマが持つ個性を存分に発揮して光輝くのですが、沢村さんが乗るラピードは「とらえどころがない」なんていうなかなか当意即妙な表現を、沢村さんの顔面が見事に表現していたりします。私のような乗る機会もまず無いド素人が読んでいると、ラピードというクルマのイメージが180度転換してしまいますね・・・。今回の「福野ムック」の写真を見て改めてこのクルマはどこから見ても隙がないデザインで、内装も2300万円という価格を納得させるだけのコーディネートで、一目見て専用設計部品の利用率が相当に高そうです。
サイズは長さがおよそ5mで幅1930mmですから、新しく出るホンダのレジェンドに近いようです。完全3BOXのレジェンドに対し、リアがゲート式の新世代ラグジュアリーサルーン設計(パナメーラやテスラモデルS)になっているラピードなので、多少は意味合いが変わってくるかもしれません。純然たるスポーツブランドの「アストンマーティン」とメガ・コンストラクターの中では最もスポーティと言われる「ホンダ」。そして2300万円vs700万円という価格差3倍以上ですから、お互いに意識などしてないかもしれません。ただホンダとしては2代目NSXの発売と重なるわけですから、ホンダ並びにアキュラのブランドイメージを劇的に前進させるためにも、もっと新型レジェンドのデザインで「攻めて」も良かったように思います。ホンダの役員がラピードみたいなデザインのレジェンドに乗れば、日本の自動車メーカーもなかなかクールですね。
もちろん人それぞれに好みがあるでしょうし、パナメーラやラピードのような「リアハッチ型」のラグジュアリーサルーンに違和感を感じる人もいるでしょう。レジェンド発売と同時に公開された「無限」のレジェンド用パーツをフル装備すれば相当にカッコいいですから、無理にラピードのような凝った造形を追いかける必要はないわけです。しかしホンダが再び輝くためには、メルセデス・BMW・アウディ・レクサス・インフィニティがひしめく「画一的プレミアム」路線ではなく、これらを一気に捲り倒すくらいの圧倒的なイマジネーションによる勝利を目指すべきだったのではないかと思います。新型レジェンドはすでに北米ではアキュラRLXとして発売されていますが、販売状況はとても好調とはいえません。堅調な収支を続けているホンダとしては大ナタを振いにくい状況ではあるのでしょうが・・・。
アキュラがパナメーラやラピードを意識したようなラグジュアリー&プライベートサルーンを企画すること自体に無理があるという見方もあるでしょう。パナメーラやラピードですら大して売れていなのに、ホンダが未体験のジャンルに首を突っ込んでわざわざ参入するなんていうプランは役員からのゴーサインがどうせ出ないだろう・・・と設計陣は最初から諦めていたのかもしれません。あくまで私の推測に過ぎませんが、そんな消極的な印象がどうしても消せない新型レジェンドは発売2年間でアメリカ市場で輝くことはありませんでした。
しかし2015年のうちに新型NSXの発売を計画しているホンダですから、トップレベルの性能を備えたスーパースポーツを投入するという意味では、ポルシェやアストンマーティンと肩を並べる存在になります。この新型NSXを成功させるためにも、アキュラのイメージを劇的に変えるような惹きの強いプライベートサルーンを作っておく必要があったのではないかと思います。まあ素人の浅はかな考えに過ぎないわけですが・・・。
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2014年9月30日火曜日
アストンマーティン・V8ヴァンテージ 「10年落ちで古臭いけどまだまだ新車で売ります」
日産のアンディ・パーマーとかいうカルロス・ゴーンの後継者と目されていた人物が、日産を辞めてアストンマーティンのCEOに就任したなんてニュースはどうでもいいのですが、このパーマー氏は日産時代にアストンマーティンの買収を盛んに主張していたようですね。パーマー氏は日産から離脱と言われてますが、これは実は策略で再び日産に再合流して、その結果アストンマーティンがルノー日産の傘下に入るという、ドラスティックな再編劇が始まるのかもしれません。メルセデスとの提携を深める日産は、インフィニティブランドで待望のLサイズ・ラグジュアリークーペをこの10月にも発表する予定で、日本メーカーが未だかつて見た事がない領域に足を踏み入れていくようですが、世界中に鳴り響くスーパーブランドを吸収するのは戦略上とても有効な気がします。
日産はいわゆる「プレミアムブランド」の価格帯に伝統のスカイラインを格上げして来ました。レクサスISはとりあえず意識していないと陣営は言っているようですが、アルテッツァをルーツに持つ「IS」とスカイラインをルーツに持つ「Q50」の2台が登場したことで、このクラスのクルマは「特別」というわけではなく、ちょっと豪華に設えた「普通」のクルマというイメージが急速に広まっているように感じます。もちろんこの2台とどっこいの水準であるメルセデス、BMW、アウディブランドの各モデルも同様に「尊厳」を失いつつあり、たとえフラッグシップモデルであっても失礼ですがなんだか「つまらん」と感じてしまいます。そもそもこれらのブランドの上級モデルの主な需要はカンパニー・カーですから、いい意味で「普通」ではあるんですけど・・・。
近頃ではプライベート・ラグジュアリーカーの「新御三家」として、マセラティ、ポルシェ、ジャガーが日本でもアメリカでも人気になっていて、いわゆる「高級車」ブランドの新しいスタンダードとして次第に認知されているようです・・・。しかしこの3ブランドも最近では徐々に廉価モデルが増えていて、ブランド内の平均車両価格も下がる一方のトレンドであり、まるでメルセデスやBMWがこの10年で選択した戦略をそのままなぞっているようです。このままでは数年もしないうちにメルセデスやBMWのような立ち位置の「普通」なブランドに成り下がっていくことが予想されます。さて今後3年の内に「超高性能車」をラインナップして"ハイクラス"を主張できるブランドは一体どれくらい残るのでしょうか。
そんな中でアストンマーティンというイギリスを代表するGTカー・ブランドは、日本でもその希少さゆえに独特の存在感を放ちつづけています。BMWもランエボも大好きな英国人にとってはドイツブランドも日本ブランドもとても優秀なのは認めるところですが、それでもアストンマーティンだけは別格な存在だそうです。日本人にとってのGT-Rを作る日産のような存在なんですかね。しかし日産はなにやら国内の自動車ファンから辛辣な意見が多数よせられていて痛々しい限りではありますが・・・。個人的な意見ですが日産はもっとアストンマーティンのように愛されてもいいのではないかという気がします。そんな日本の魂の日産が、イギリスの魂のアストンマーティンを買収するなんてことが実現したら、両社の協業に思わずテンションが上がってしまいます。日仏英の3国連合による対VW包囲網という構図もドラマティックで、いかにもフランス人が国民感情を剥き出しに描きそうなプランですね。
アストンマーティンの荘厳な世界観を纏ったGTカーボディに、日産が誇るGT-R用のV6ツインターボが鎮座してもまったくの興ざめなので、VWグループが誇るランボルギーニとポルシェの2トップのような共存関係を目指してほしいです。アストンマーティンは2007年にフォードグループから売却され、現在はクウェートの資本家集団に経営権を握られていています。その再編の影響はどれくらいあるのか解りませんが、2012年に発売したフラッグシップモデルの「ヴァンキッシュ」を最後に新型車の発表は凍結されています。いかにもアラブの王族が好みそうなV12のスーパースポーツを作っただけで、その下のサブモデルに関しては次世代モデルの開発が先延ばしされているようです。今年になりV8ヴァンテージとDB9という発売から10年経つ両古参モデルの特別限定車が発売されました。10年を超えるモデルサイクルを経てもなお発売が継続されるのは、軽く1500万円を突破するクラスのスポーツカーではほとんど不可能なほどの暴挙だと思うのですが・・・。
いくらスポーツカーとはいえ、内装のデザインがここまで古くさく感じてしまっては、レクサス、アウディ、メルセデスなどの「普通」のブランドでは試乗の段階でテンションはガタ落ちしてしまうでしょう(つまり売れない)。しかしレクサスやアウディとは違ってアストンマーティンならば、ブランドが持つ超常的な世界観でユーザーを納得させてしまうのかもしれません。アストンマーティンは1940年代からスポーツカーを生産していますが、歴代の生産モデルが愛好家によってレストアを受けて、各モデルの現役率が驚異的に高いそうで、歴代の最量販車種であったDB7は現在でも9割が現役らしいです。つまりアストンマーティンの所有価値は、レクサスやアウディのように乗って内装を楽しむといった単一なものだけでなく、フェラーリやランボルギーニに匹敵あるいはそれ以上のプレミアムリセール価値が見込めることも含まれます。ゆえに内装が時代遅れだとしても何ら大勢に影響はなく、世界のクルマ愛好家は躊躇なく2000万円を注ぎ込むことができるようです。
そして今回発売された2台の特別仕様車の内の1台が、あの沢村慎太朗氏がオートカーで「近年まれに見る本物」と言わせたV8ヴァンテージN430です。なにが本物か?ということがこの沢村さんのレビューの最大のオチになっていて、詳しくはオートカーを直接読んでみてほしいのですが、まあメチャクチャな暴論をぶち上げて、「スーパースポーツ=超高級車」としか解さないクソ素人を片っ端から薙ぎ払う恐ろしい切れ味を発揮しています。「アストンマーティンに乗って、その感想をブログでポエムしてるアホどもが語るような"官能性”なんてこのクルマには全く存在しない!」「だからこそ本物なんだ!」と素人相手に強烈な"コンビネーションパンチ"を繰り出しています。「オマエらは官能を理解できて無いから語る資格もないし、そもそもリアル・スポーツが何なのかも解ってない!」ってことのようです。
メルセデス、BMWそれにポルシェやマセラティくらいなら、どんなアホが語っていようとも何とも思わないけど、アストンマーティンだけは絶対に許されない次元のブランドのようで、沢村さんがマジで"ピキる”というわけです。さあ男だったらアストンマーティン買って、「沢村さんはあーだこーだ言ってるけどさ、やっぱりこのクルマのツボは・・・」みたいなことをブログで騒ぎまくりたいと思っちゃいました・・・。V8ヴァンテージN430本体価格約1600万円か・・・はぁ〜。
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日産はいわゆる「プレミアムブランド」の価格帯に伝統のスカイラインを格上げして来ました。レクサスISはとりあえず意識していないと陣営は言っているようですが、アルテッツァをルーツに持つ「IS」とスカイラインをルーツに持つ「Q50」の2台が登場したことで、このクラスのクルマは「特別」というわけではなく、ちょっと豪華に設えた「普通」のクルマというイメージが急速に広まっているように感じます。もちろんこの2台とどっこいの水準であるメルセデス、BMW、アウディブランドの各モデルも同様に「尊厳」を失いつつあり、たとえフラッグシップモデルであっても失礼ですがなんだか「つまらん」と感じてしまいます。そもそもこれらのブランドの上級モデルの主な需要はカンパニー・カーですから、いい意味で「普通」ではあるんですけど・・・。
近頃ではプライベート・ラグジュアリーカーの「新御三家」として、マセラティ、ポルシェ、ジャガーが日本でもアメリカでも人気になっていて、いわゆる「高級車」ブランドの新しいスタンダードとして次第に認知されているようです・・・。しかしこの3ブランドも最近では徐々に廉価モデルが増えていて、ブランド内の平均車両価格も下がる一方のトレンドであり、まるでメルセデスやBMWがこの10年で選択した戦略をそのままなぞっているようです。このままでは数年もしないうちにメルセデスやBMWのような立ち位置の「普通」なブランドに成り下がっていくことが予想されます。さて今後3年の内に「超高性能車」をラインナップして"ハイクラス"を主張できるブランドは一体どれくらい残るのでしょうか。
そんな中でアストンマーティンというイギリスを代表するGTカー・ブランドは、日本でもその希少さゆえに独特の存在感を放ちつづけています。BMWもランエボも大好きな英国人にとってはドイツブランドも日本ブランドもとても優秀なのは認めるところですが、それでもアストンマーティンだけは別格な存在だそうです。日本人にとってのGT-Rを作る日産のような存在なんですかね。しかし日産はなにやら国内の自動車ファンから辛辣な意見が多数よせられていて痛々しい限りではありますが・・・。個人的な意見ですが日産はもっとアストンマーティンのように愛されてもいいのではないかという気がします。そんな日本の魂の日産が、イギリスの魂のアストンマーティンを買収するなんてことが実現したら、両社の協業に思わずテンションが上がってしまいます。日仏英の3国連合による対VW包囲網という構図もドラマティックで、いかにもフランス人が国民感情を剥き出しに描きそうなプランですね。
アストンマーティンの荘厳な世界観を纏ったGTカーボディに、日産が誇るGT-R用のV6ツインターボが鎮座してもまったくの興ざめなので、VWグループが誇るランボルギーニとポルシェの2トップのような共存関係を目指してほしいです。アストンマーティンは2007年にフォードグループから売却され、現在はクウェートの資本家集団に経営権を握られていています。その再編の影響はどれくらいあるのか解りませんが、2012年に発売したフラッグシップモデルの「ヴァンキッシュ」を最後に新型車の発表は凍結されています。いかにもアラブの王族が好みそうなV12のスーパースポーツを作っただけで、その下のサブモデルに関しては次世代モデルの開発が先延ばしされているようです。今年になりV8ヴァンテージとDB9という発売から10年経つ両古参モデルの特別限定車が発売されました。10年を超えるモデルサイクルを経てもなお発売が継続されるのは、軽く1500万円を突破するクラスのスポーツカーではほとんど不可能なほどの暴挙だと思うのですが・・・。
いくらスポーツカーとはいえ、内装のデザインがここまで古くさく感じてしまっては、レクサス、アウディ、メルセデスなどの「普通」のブランドでは試乗の段階でテンションはガタ落ちしてしまうでしょう(つまり売れない)。しかしレクサスやアウディとは違ってアストンマーティンならば、ブランドが持つ超常的な世界観でユーザーを納得させてしまうのかもしれません。アストンマーティンは1940年代からスポーツカーを生産していますが、歴代の生産モデルが愛好家によってレストアを受けて、各モデルの現役率が驚異的に高いそうで、歴代の最量販車種であったDB7は現在でも9割が現役らしいです。つまりアストンマーティンの所有価値は、レクサスやアウディのように乗って内装を楽しむといった単一なものだけでなく、フェラーリやランボルギーニに匹敵あるいはそれ以上のプレミアムリセール価値が見込めることも含まれます。ゆえに内装が時代遅れだとしても何ら大勢に影響はなく、世界のクルマ愛好家は躊躇なく2000万円を注ぎ込むことができるようです。
そして今回発売された2台の特別仕様車の内の1台が、あの沢村慎太朗氏がオートカーで「近年まれに見る本物」と言わせたV8ヴァンテージN430です。なにが本物か?ということがこの沢村さんのレビューの最大のオチになっていて、詳しくはオートカーを直接読んでみてほしいのですが、まあメチャクチャな暴論をぶち上げて、「スーパースポーツ=超高級車」としか解さないクソ素人を片っ端から薙ぎ払う恐ろしい切れ味を発揮しています。「アストンマーティンに乗って、その感想をブログでポエムしてるアホどもが語るような"官能性”なんてこのクルマには全く存在しない!」「だからこそ本物なんだ!」と素人相手に強烈な"コンビネーションパンチ"を繰り出しています。「オマエらは官能を理解できて無いから語る資格もないし、そもそもリアル・スポーツが何なのかも解ってない!」ってことのようです。
メルセデス、BMWそれにポルシェやマセラティくらいなら、どんなアホが語っていようとも何とも思わないけど、アストンマーティンだけは絶対に許されない次元のブランドのようで、沢村さんがマジで"ピキる”というわけです。さあ男だったらアストンマーティン買って、「沢村さんはあーだこーだ言ってるけどさ、やっぱりこのクルマのツボは・・・」みたいなことをブログで騒ぎまくりたいと思っちゃいました・・・。V8ヴァンテージN430本体価格約1600万円か・・・はぁ〜。
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