BMW4シリーズは昨年の中頃に発表されてまだ1年も経っていないので、クルマのキャラクターもよく解らない部分もあるのですが、1つだけハッキリしていることは、「BMWのスピード感覚は素晴らしい!」ということでしょうか。スピードといっても加速や最高速が抜きん出ているという話ではなくて、矢継ぎ早に派生モデルを増やして「マルチ」なグレード展開に持ち込んでいるBMWの経営のスピード感覚が素晴らしいということです。
トヨタや日産が数年かかって「コンバーティブル」をやっと出すのに対して、クーペ発売とほぼ同時に「コンバーチブル」が完成し、M社とアルピナ社から高性能版がそれぞれ発売され、そしてすでにグランクーペも完成しているわけですから、BMWファンならずとも、「華やかだな」と何やら惹き付けられる部分はあると思います。何より感心するのが、日本メーカーにはなかなか見られないプラス思考で、ベース車のF30セダンがBMWの最量販車種に相応しい活躍ができていないという(若干の)逆風の中で、ここまで強気にモデルを「乱発」する決断力は間違いなく世界ナンバー1でしょう。ホンダにもこれくらいの思い切りの良さがあれば・・・。
さて4シリーズですが、ベース車のセダンが走りや内装の水準から「500万円のマークX」というやや不名誉な評価をされたことで、当初からあまり期待値が高くなく、評論家筋のコメントも「BMWを気楽に乗りたいならいいんじゃない!?」くらいのものが多いように感じます。F30セダンは新型の軽量シャシー(L7)採用に加えて、ランフラットタイヤを装備した上で一定以上の乗り心地を追求しようとした結果、サス剛性などBMW本来のアイデンティティに関わる部分に大きく手を入れてしまったため、特に輸入車大好きの評論家からの批判が絶えないですが、いくらBMWとはいえ新しいことにチャレンジすればそれなりに拙さを露呈してしまうのも仕方ないことでしょう。
F30セダンも年次改良によって、初期の絶望的なまでの「裏切り」はなくなったようですが、それでもコスト削減を大前提としなければいけない最量販車の悲しい運命からは脱却できていないです。もはや「BMWではない!」とまで言わせた安定感の無さは、4シリーズのクーペボディでは全高が低く、重心が下がった結果ある程度は改善されています。しかしロール幅の絶対値が減ったことで、当たり前ですが入力による衝撃はより大きなものになっていて、セダンよりも乗り心地は悪くなっている部分もあります。
やはり「限界が低い」設計の範囲内では、どう足掻いても納得いくパフォーマンスは出せない・・・という想いが、評論家筋の「見切った」ようなコメントにつながってしまうようですが、こんなクルマを、例えば435iは乗り出しでおよそ800万円ですが、売ってしまうBMWジャパンってのもまたスゴいインポーターですね・・・。そんな4シリーズにも先代の3シリーズクーペから変わって良くなった点もいろいろあります。一番のポイントは、何となく手狭で貧乏臭かった3シリーズクーペと違って、後席の空間にも配慮されたレイアウトです。クラスが変わるほどの拡大というわけではないのですが、「スポーティ」で「一人乗り」のイメージが強かった先代から、「ラグジュアリー」な「デート車」へと大きな転換を果たしています。
以前なら無理して6シリーズの中古車を選んでいた人の中でも、4シリーズならば「許容範囲」という意見はあるでしょうし、4シリーズ設置の最大の狙いは「ラグジュアリー・クーペ」ユーザーの関心を集めることにあります。しかし6シリーズとは別の簡易的なシャシーを使った4シリーズではコアな「自動車好き」には簡単には訴求できません。おまけにベース車が「BMWらしくない」という烙印が押されてしまっていては、やや絶望的なように思えます。ただし6シリーズにしても車重2トンを誇る巨漢で、そのスタイリングに惚れて盲目的に購入に走る人もいるようですが、「自動車好き」が絶賛するタイプのドライビングカーというわけではないんですよね・・・。
むしろ「ドライビング」と「ラグジュアリー感」の両方を楽しめる4シリーズのサイズが、シャシーやら設計やらの話を抜きにすると理想的と言えます(もちろん好みの問題ですが、一般論として・・・)。ということでBMWとしては是が非でも4シリーズに世間の注目が集まるようなグレードを設定したい!というのが本音だと思われます。ディーゼルやコンバーチブル、グランクーペなどいろいろと「刺さる」ポイントを投げかけて、数打ちゃ当たる作戦?といった感じでしょうか。
そんなバラエティ豊かな4シリーズの決定版と言えるグレードがやはり「M4」なんだと思います。たしかに価格は仰天の1000万円越えなんですが、4シリーズ唯一のMTモデルを設置するなど話題を振りまきつつありますが、やはりF30系を悩ませるランフラットタイヤを使わないという選択が「M4」における最大のポイントかもしれません。同様にランフラットを使わないM235iも断然に乗り心地が良いようで、M4も期待ができます。直6ツインターボの新開発ユニットに軽量CFRPルーフの採用など、他にも「刺さる」点はいっぱいあって、いよいよ4シリーズに本命が登場したと言えるかもしれません。
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2014年5月29日木曜日
2014年3月14日金曜日
BMW435iコンバーチブル 「BMW最強の千両役者!」
旧3シリーズクーペにも設定されていた「コンバーチブル」が早くも復活しました。神奈川県を代表するドライブルート・R134を走っていると外国人やら50代くらいの夫婦やらが良くドライブに使っているのを見かけます。ゴルフだと敬遠したくなるほど退屈だけど、ゴルフカブリオレなら夢中になる気持ちもわかったりしますが、4シリーズにもどうやら同じことが言えそうですね。
旧3シリーズクーペもそうでしたが、新たな4シリーズクーペはデザインに大きな「欠陥」があります。全てはセダンをベースに設計しているBMWの方針が原因なのですが、本来は後ドアがあるべきところの側面パネルが徹底的に「野暮ったい」のです。私の場合はこの部分を見るだけでこのクルマを所有したいという気まぐれが一瞬で消し飛びます。新しく車名も4シリーズになって、今度こそは何らかのデザイン上の工夫があると思ったのですが、やはりそこまではコストが回らないだろうなという予感はありました。
ただし旧3シリーズクーペも同じですが、BMWにはこのデザイン上の欠点をボディ形状によって補っているクルマを発売しています。そのボディタイプがまさにこの「コンバーチブル」です。電動で格納されるハードトップという日本人をターゲットにしたモデル。メルセデスもBMWも同じことが言えますが、「日本人に便宜図ったぞ!」という恩着せがましいモデルはやたらと価格が高く設定される傾向にあります。たとえば「アクティブハイブリッド」とか。まあ「付加価値」と考えると当然のことなんですが・・・。
つまり、旧3も新4もクーペのデザインに「アラ」を作って見せつけておいて、後から出して来るのが、直6ターボ限定の「コンバーチブル」。価格は軽く800万円オーバーですが、ルーフを格納するリアのデザインはギミック感がアクセントになっていて、艶やかでデザインだけですでに買う気にさせてくれます。そして何物にも代え難いオープンの開放感を味わうためのモデル。目的意識も明確になりやすいので、800万円という価格でも現実感がある人ならば、ニーズさえ一致してしまえば、いまさら「BMWだから嫌だ!」という人は極少数でしょう。
妥協点もないわけではないですが、BMWにここまで至れり尽くせりの「日本スペシャル」を作らせておいて、今さらのように「L7プラットフォームで800万円は高い」とか「ルーフの開閉でトラクションが変わってしまう」みたいな理由で断念する人は、ややクルマに対する感度が「独特すぎる」という気がします。3シリーズのセダンやクーペでは「その気」になれないのは「L7」がどうこうと言うよりも、BMWの熱意に疑問を感じるというのがネガティブな要素として働くからであって、この「コンバーティブル」に関しては別次元の情熱を感じるので欲しくなる人が多いはずです。
あとはルーフが開く事によって「趣味のクルマ」であることが強調されますから、40~50歳代の男性が乗っていてもそれほど違和感はないです。社会への適切な感性をお持ちの善良な中年男性ならば、「違和感がない」ことを理由に率先してこのコンバーチブルを選ぶということもあるでしょう。本来は5や7シリーズなどの上級モデルに乗っておかないとカッコつかないですけど、「海」や「ドライブ」をさらに強く連想させてくれるこの435iコンバーティブルも上級モデルに負けないくらいに「正義」だと言っていいでしょう。そういった感覚すらも日本にいるとBMWのマーケティング餌食になってしまうのは悲しいことです。北米価格(550万円)との開きがブランド内でも特に大きい気が・・・。
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旧3シリーズクーペもそうでしたが、新たな4シリーズクーペはデザインに大きな「欠陥」があります。全てはセダンをベースに設計しているBMWの方針が原因なのですが、本来は後ドアがあるべきところの側面パネルが徹底的に「野暮ったい」のです。私の場合はこの部分を見るだけでこのクルマを所有したいという気まぐれが一瞬で消し飛びます。新しく車名も4シリーズになって、今度こそは何らかのデザイン上の工夫があると思ったのですが、やはりそこまではコストが回らないだろうなという予感はありました。
ただし旧3シリーズクーペも同じですが、BMWにはこのデザイン上の欠点をボディ形状によって補っているクルマを発売しています。そのボディタイプがまさにこの「コンバーチブル」です。電動で格納されるハードトップという日本人をターゲットにしたモデル。メルセデスもBMWも同じことが言えますが、「日本人に便宜図ったぞ!」という恩着せがましいモデルはやたらと価格が高く設定される傾向にあります。たとえば「アクティブハイブリッド」とか。まあ「付加価値」と考えると当然のことなんですが・・・。
つまり、旧3も新4もクーペのデザインに「アラ」を作って見せつけておいて、後から出して来るのが、直6ターボ限定の「コンバーチブル」。価格は軽く800万円オーバーですが、ルーフを格納するリアのデザインはギミック感がアクセントになっていて、艶やかでデザインだけですでに買う気にさせてくれます。そして何物にも代え難いオープンの開放感を味わうためのモデル。目的意識も明確になりやすいので、800万円という価格でも現実感がある人ならば、ニーズさえ一致してしまえば、いまさら「BMWだから嫌だ!」という人は極少数でしょう。
妥協点もないわけではないですが、BMWにここまで至れり尽くせりの「日本スペシャル」を作らせておいて、今さらのように「L7プラットフォームで800万円は高い」とか「ルーフの開閉でトラクションが変わってしまう」みたいな理由で断念する人は、ややクルマに対する感度が「独特すぎる」という気がします。3シリーズのセダンやクーペでは「その気」になれないのは「L7」がどうこうと言うよりも、BMWの熱意に疑問を感じるというのがネガティブな要素として働くからであって、この「コンバーティブル」に関しては別次元の情熱を感じるので欲しくなる人が多いはずです。
あとはルーフが開く事によって「趣味のクルマ」であることが強調されますから、40~50歳代の男性が乗っていてもそれほど違和感はないです。社会への適切な感性をお持ちの善良な中年男性ならば、「違和感がない」ことを理由に率先してこのコンバーチブルを選ぶということもあるでしょう。本来は5や7シリーズなどの上級モデルに乗っておかないとカッコつかないですけど、「海」や「ドライブ」をさらに強く連想させてくれるこの435iコンバーティブルも上級モデルに負けないくらいに「正義」だと言っていいでしょう。そういった感覚すらも日本にいるとBMWのマーケティング餌食になってしまうのは悲しいことです。北米価格(550万円)との開きがブランド内でも特に大きい気が・・・。
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ラベル:
003BMW(ブランド),
105カブリオレ(車種),
BMW4
2013年10月9日水曜日
F32・BMW4シリーズ 「3クーペから一体何が生まれる?」
BMW4シリーズ発売に合わせて3シリーズ全グレードの値上げが行われました。これはライバルから遅れをとっていた衝突回避・被害軽減ブレーキを標準装備したためで、一律に10万円ほどなので、BMWを買うぞと意気込む人々にとってはモテベーションに影響はないでしょう。しかしF30系に至って3シリーズもいよいよ完全に牙が抜かれて、強調するポイントがほとんど無くなってしまったのですが、それでも乗り出しで軽く500万円オーバーという強気な価格設定の無謀さには一体いつまでつづくのでしょうか?
さて新たに設定された4シリーズには直6ターボ(435i)がまだ残されていてよかったという声も聞かれます。それでもBMWは一体この中途半端な印象しかないクルマをどんなユーザーに届けたいのでしょうか? あまりにもユーザーを甘くみているのではと思う点も多々あります。クルマにあまり興味がない人に向けた「それっぽいクルマ」を作って、底辺を拡大しようというなら意図はわからなくもないのですが・・・。元々3シリーズとは矛盾に満ちた存在ではありましたが・・・。
3シリーズのコンセプトは2代前のE46までは大きく分けてふたつありました。一つは現在のF30に受け継がれる北米市場を意図したサイズ拡大を意図したもので、もう一つは現在の1シリーズにつながるtiと呼ばれたコンパクトサイズのものです。簡単に言うと「恰好ばっかりでつまらない」ものと「かっこ悪いけど愉しい」ものの2つです。
このF32はサイズ拡大した方のF30系のクーペなのですが、これが実に「絶妙」というか「微妙」というか解釈の分かれる立ち位置のクルマです(だから中途半端です)。個人的に好きか嫌いか?と問われたら「嫌い」と答えます。一方でこのクルマに満足する人の気持ちもなんとなく分かります。BMWというネームバリューを外して考えても、エコ主流の大人しい日本のDセグとは別路線を突き進むヤンチャなコンセプトだけでも十分に評価に値します。
ただクルマが持つコンセプトが強過ぎて、例えば50~60歳代のオヤジが満足気に乗っていたりすると、全てが裏目に出てしまいます。かといって20~30歳代が気楽に買える価格のクルマでもないわけで、結局は「日本では」乗る人がいないクルマになってしまいます。現実問題としてドイツでもアメリカでも乗る人がどんどん少なくなっている(クルマが人を選んでしまっている)クルマがF30系だったりします。
先ほども述べましたが、1シリーズも3シリーズも元々は同じクルマで今もBMWの「L7プラットホーム」を共通で使っていて60%以上の部品を共有しています。この2つが分かれた2004年からBMWの販売が変調し始め、2000年代後半にはドイツでの販売で後発のアウディに追い抜かれ、北米でもE90系がインフィニティG(V36スカイライン)に完敗しました。2006年にBMWの経営陣が突如交替するなど、内部のドタバタもあり2012年までに180万台という目標も未達に終わりました。
BMWファンの中では「おさかな顔」や「直6モデルの廃止」が不振の原因と言われているようですが、やはり根本的な問題はバブル期から販売の主体を担ってきた3シリーズを安易にクラス分けしたことではないかと思います。後に「品位を失った1シリーズ」と「翼を失った3シリーズ」へと分裂したE46までの旧3シリーズにおいては、走りの面で評価されていたのは「TI」ことコンパクトでした。
主に1.6~2.0Lの直4NAを搭載していたコンパクトは軽量かつ高剛性で限りなくスポーツカーに近い乗り味を実現し、このクルマの影響下にあるとされているのが、日産のP10プリメーラとマツダのGG系アテンザでいずれも欧州で高い評価を受けました。軽量で高剛性のボディを気持ちよく回るNAエンジンで引っ張るC/Dセグスポーツセダンというコンセプトは2000年代前半のFF車のトレンドとして定着しました。
しかしホンダやアルファロメオが自慢の高回転型ロングストローク(この両社のエンジンは回り過ぎてバルブの物理的限界値に到達してしまったらしい)を持ち込んだ時点で、突如として自動車のトレンドがSUVなど他のボディタイプのクルマへと移ってしまい、2000年代後半には作られなくなりました。
結果論ではありますが、C/DセグメントこそがBMW3シリーズにとって理想郷だったのだと思います。Cセグになって「お山の大将」に堕ちた1シリーズと、北米トレンドに乗ってかってD/Eセグまでサイズを上げた3シリーズのどちらも、かつての輝きは大きく失われてしまいました。そもそもが2つのコンセプトを1つの車名で演じたあやふやな存在だったのですが、ターボ化されて大衆化した1シリーズと、プレミアムでもスポーティでもない安モノの3シリーズに分かれてから欠点ばかりが目立ってしまいました。E46時代に318TI(直4NA)と330i(直6NA)を乗り比べた著名な日本人評論家がこう評していました。 〜 330iのオーナーが「オレはいいクルマ乗ってんだ」って318tiのオーナーの前で胸張ったら、そいつはただの裸の王様だよ。 〜
現行の1シリーズと3シリーズも未だにこの「ねじれ」の関係から脱していないのではないかと思います。そしてそれぞれのクーペ版である2シリーズと4シリーズにも同じことが言えるようです。BMWとしては4シリーズの直6ターボ2モデル(435iとM4)に従来モデルからパワーアップした設定にして、この寓話からの「脱皮」を図っているようですが、乗り出し価格が435iで約800万円と強気です。コレ買うならR35GT-Rにいくでしょ・・・というのが自然か。もしBMWが本気で硬派なスポーツメーカーならスカイラインのライバル車である3/4シリーズをベースにしてGT-Rを超えるクルマ作るのでは?根性みせろ!
↓プリメーラ・スカイライン・GT-Rの生みの親こと、水野和敏氏はBMWやベンツを決して認めていないようですね。欧州メーカーはポルシェとジャガーだけ!でもプリメーラはパクりじゃ?
さて新たに設定された4シリーズには直6ターボ(435i)がまだ残されていてよかったという声も聞かれます。それでもBMWは一体この中途半端な印象しかないクルマをどんなユーザーに届けたいのでしょうか? あまりにもユーザーを甘くみているのではと思う点も多々あります。クルマにあまり興味がない人に向けた「それっぽいクルマ」を作って、底辺を拡大しようというなら意図はわからなくもないのですが・・・。元々3シリーズとは矛盾に満ちた存在ではありましたが・・・。
3シリーズのコンセプトは2代前のE46までは大きく分けてふたつありました。一つは現在のF30に受け継がれる北米市場を意図したサイズ拡大を意図したもので、もう一つは現在の1シリーズにつながるtiと呼ばれたコンパクトサイズのものです。簡単に言うと「恰好ばっかりでつまらない」ものと「かっこ悪いけど愉しい」ものの2つです。
このF32はサイズ拡大した方のF30系のクーペなのですが、これが実に「絶妙」というか「微妙」というか解釈の分かれる立ち位置のクルマです(だから中途半端です)。個人的に好きか嫌いか?と問われたら「嫌い」と答えます。一方でこのクルマに満足する人の気持ちもなんとなく分かります。BMWというネームバリューを外して考えても、エコ主流の大人しい日本のDセグとは別路線を突き進むヤンチャなコンセプトだけでも十分に評価に値します。
ただクルマが持つコンセプトが強過ぎて、例えば50~60歳代のオヤジが満足気に乗っていたりすると、全てが裏目に出てしまいます。かといって20~30歳代が気楽に買える価格のクルマでもないわけで、結局は「日本では」乗る人がいないクルマになってしまいます。現実問題としてドイツでもアメリカでも乗る人がどんどん少なくなっている(クルマが人を選んでしまっている)クルマがF30系だったりします。
先ほども述べましたが、1シリーズも3シリーズも元々は同じクルマで今もBMWの「L7プラットホーム」を共通で使っていて60%以上の部品を共有しています。この2つが分かれた2004年からBMWの販売が変調し始め、2000年代後半にはドイツでの販売で後発のアウディに追い抜かれ、北米でもE90系がインフィニティG(V36スカイライン)に完敗しました。2006年にBMWの経営陣が突如交替するなど、内部のドタバタもあり2012年までに180万台という目標も未達に終わりました。
BMWファンの中では「おさかな顔」や「直6モデルの廃止」が不振の原因と言われているようですが、やはり根本的な問題はバブル期から販売の主体を担ってきた3シリーズを安易にクラス分けしたことではないかと思います。後に「品位を失った1シリーズ」と「翼を失った3シリーズ」へと分裂したE46までの旧3シリーズにおいては、走りの面で評価されていたのは「TI」ことコンパクトでした。
主に1.6~2.0Lの直4NAを搭載していたコンパクトは軽量かつ高剛性で限りなくスポーツカーに近い乗り味を実現し、このクルマの影響下にあるとされているのが、日産のP10プリメーラとマツダのGG系アテンザでいずれも欧州で高い評価を受けました。軽量で高剛性のボディを気持ちよく回るNAエンジンで引っ張るC/Dセグスポーツセダンというコンセプトは2000年代前半のFF車のトレンドとして定着しました。
しかしホンダやアルファロメオが自慢の高回転型ロングストローク(この両社のエンジンは回り過ぎてバルブの物理的限界値に到達してしまったらしい)を持ち込んだ時点で、突如として自動車のトレンドがSUVなど他のボディタイプのクルマへと移ってしまい、2000年代後半には作られなくなりました。
結果論ではありますが、C/DセグメントこそがBMW3シリーズにとって理想郷だったのだと思います。Cセグになって「お山の大将」に堕ちた1シリーズと、北米トレンドに乗ってかってD/Eセグまでサイズを上げた3シリーズのどちらも、かつての輝きは大きく失われてしまいました。そもそもが2つのコンセプトを1つの車名で演じたあやふやな存在だったのですが、ターボ化されて大衆化した1シリーズと、プレミアムでもスポーティでもない安モノの3シリーズに分かれてから欠点ばかりが目立ってしまいました。E46時代に318TI(直4NA)と330i(直6NA)を乗り比べた著名な日本人評論家がこう評していました。 〜 330iのオーナーが「オレはいいクルマ乗ってんだ」って318tiのオーナーの前で胸張ったら、そいつはただの裸の王様だよ。 〜
現行の1シリーズと3シリーズも未だにこの「ねじれ」の関係から脱していないのではないかと思います。そしてそれぞれのクーペ版である2シリーズと4シリーズにも同じことが言えるようです。BMWとしては4シリーズの直6ターボ2モデル(435iとM4)に従来モデルからパワーアップした設定にして、この寓話からの「脱皮」を図っているようですが、乗り出し価格が435iで約800万円と強気です。コレ買うならR35GT-Rにいくでしょ・・・というのが自然か。もしBMWが本気で硬派なスポーツメーカーならスカイラインのライバル車である3/4シリーズをベースにしてGT-Rを超えるクルマ作るのでは?根性みせろ!
↓プリメーラ・スカイライン・GT-Rの生みの親こと、水野和敏氏はBMWやベンツを決して認めていないようですね。欧州メーカーはポルシェとジャガーだけ!でもプリメーラはパクりじゃ?
ラベル:
003BMW(ブランド),
102クーペ(車種),
BMW4
2013年1月30日水曜日
BMW4シリーズクーペ
「BMW6がもっと安くなったらな〜!」という人は多いのではないでしょうか?私もそう思う一人なのですけど。BMWは、簡単にいうと技術系実力派メーカーでヨーロッパでは敵無しの性能を持つエンジンと、市販車ベースでも300km/hを軽々出せる上級モデルを武器にブランディングしているプレミアムブランド。
日本でもとても人気があるのですが、自慢の性能は日本の公道では発揮できないし、ヨーロッパでは敵無しのエンジンも、ホンダ(次期NSX用4WD+HVなど)・日産(GT-R用など)・三菱(GDI)・スバル(DIT)・マツダ(クリーンD)・ヤマハ(トヨタ用小型スポーツ)・いすず(GM用)といった「世界を制服」した日本のエンジンから見れば「井の中の蛙」だ。世界最強のアメリカ軍だっていすずエンジンの軍用車で世界中を走っているわけですから。
それでもブランディングが下手くそな日本勢を尻目に着実に高級車のシェアを伸ばしてますね。ブランド全体を貫く妥協のないデザインポリシーが日本メーカーとは大きく違います。ただ現実的な売れ線の廉価モデル(3シリーズ)はどこか所帯じみていて、500万以上も払ってまでほしいとは思いません(たとえ下取りが良いとしても)。決してデザインが悪いとかいうことはないし、もちろんいいクルマなんですけど。
やっぱり6シリーズと比べてしまうのが問題ですね。あのクーペはかっこ良すぎます。しかもそこそこの中古車が400万くらいで買えてしまったりするので、いくら新型の3シリーズでもそれよりは希少性がある6のほうが満足感高いですね。燃費が気になるというなら、BMWなんかやめてカムリHVを買えばいいと思います。それより断然に問題なのは、1890mmの6シリーズの車幅ですね。せっかく広いクルマなのに、買い物にも行けないです。
そんな日本の潜在的顧客の声が届いたかのようなクルマが今年発売されるようです。どこか満足できなかった3シリーズクーペを専用モデルにして、フロントのデザインが6シリーズっぽくなり、フロントとリアのバンパー周りはさらに新しいデザインになって機能美を感じます。なかなかいいクルマに仕上がっているようですが、実際に日本で発売されると、バブル世代くらいの女性の御用達カーになってしまいそう。それで男性ユーザーが見送ってあんまり売れないパターンかな。最終型のトヨタセリカみたいな運命か?
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