たとえ15万キロオーバーの過走行車であっても、レクサスLSは全車がV8エンジンなので耐久性も高く(単純に直4の2倍)、30万キロくらい軽く絶好調で走るらしいので、実質5km/L程度の燃費さえ気にならなければ5年落ち200万円は相当にお買い得です。
それでも新車乗り出しで1000万円するクルマが5年で200万円!はいくらなんでも値落ち幅が大き過ぎる気がします。しかも10万キロ超のクルマだけでなく、6万キロ前後の通常走行車でも300万円を下回るクルマがたくさんあります。しかも日本のLSはフロントデザインの大規模な変更は行われていますが、まだFMCをしておらず全てが現行モデルなのにこと「下落」です。実質的なFMCと言えるくらいの過激なフロントマスクの変更がありましたが・・・。
新型グリルの搭載だけでなく、LSの中古車がここまで安くなる理由は他にもあります。2008年くらいまではリーマンショック前ということもあって、今とは高級車に対する認識もだいぶ違っていたようです。当時はまだレクサスが出来て日が浅く、新しいものが好きな日本人のお金持ちが興味を持ったため、LSも相当に売れました。法人名義の割合が多いのは事実ですが、実際は社用車としての利用よりも多くは個人利用しているようです(経費で落としているだけ)。それだけLSにステータスがあったわけですが、まさかトヨタブランドのクルマよりも劣悪な下取り価格の下落が待ち受けているとは思いもよらなかったわけです。
2008年以降の経済不況はクルマ産業にも大きな影響を与えました。欧州の中堅自動車メーカーはことごとくインド、中国、カタールなどの資本下へ売却され再建の道を進んでいますが、一時はクルマが全く売れずに日本から事実上撤退を余儀なくされるメーカーが続出しました。またこの不況によりアキュラやインフィニティの日本参入を白紙撤回される事態になりました。
これらはレクサスにとっては追い風だった部分もあるようですが、高級車ブランドの需要がレクサスに過度に集まったことで、供給過多に陥り中古車価格に大きく影響するようになりました。中古車価格の暴落は新車販売の低迷にも直結し、下取りを考えるならレクサスより輸入車ブランドの方がお得という状況になっているようです。
この頃からレクサスは「ブランド活性化」を図るためにフロントデザインをFMCを経ずに大きく「カスタマイズ」する最先端のブランドビジネス戦略を展開するようになりました。日本でポピュラーなプレミアムブランドの中では、BMWとアウディはFMC以外でのエクステリアの変化が少なく、レクサスとメルセデスはMCでも大きな変更を加える傾向があり、大きく2つに分かれるようになっています。
クルマの性能で勝負するのがBMWとアウディで、ブランディングで勝負するのがレクサスとメルセデスと安易に分類するのはどうかと思いますが、どちらも一長一短あって、BMWとアウディは「鮮度」を感じないという声もありますし、レクサスやメルセデスはデザインの劣化が早くなる傾向があります。
結局のところ中型車にウエイトを置くBMWとアウディ、大型車にウエイトを置くメルセデスとレクサスの戦略上の違いなのだと思います。大型車の販売が滞りかけた2008年以降はメルセデスもレクサスもなりふり構わずのフェイスリフトを展開するようになり、顧客にモデルの買い換えを半ば強要しました。その結果として、大量発生したのが200~300万円の5年落ちLSだったり、イヤーモデルの新古車で700万円まで引き下げられたSクラス(大抵は350だが・・・)だったりするようです。
他にもジャガーXJ、BMW7、パナメーラなども昨年モデルの新古車で走行1000km程度のものが700万円台でたくさん売られるようになっていて、マセラティ・クワトロポルテ以外は超高級車とはいえ大した評価がされていないのがよくわかります。それでも新車を買ってくれる顧客に優越感を存分に味わってもらうために(買い換えを促すために)、今後はますます「フェイスリフト」が大流行しそうな予感です。
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2013年10月11日金曜日
2013年10月9日水曜日
F32・BMW4シリーズ 「3クーペから一体何が生まれる?」
BMW4シリーズ発売に合わせて3シリーズ全グレードの値上げが行われました。これはライバルから遅れをとっていた衝突回避・被害軽減ブレーキを標準装備したためで、一律に10万円ほどなので、BMWを買うぞと意気込む人々にとってはモテベーションに影響はないでしょう。しかしF30系に至って3シリーズもいよいよ完全に牙が抜かれて、強調するポイントがほとんど無くなってしまったのですが、それでも乗り出しで軽く500万円オーバーという強気な価格設定の無謀さには一体いつまでつづくのでしょうか?
さて新たに設定された4シリーズには直6ターボ(435i)がまだ残されていてよかったという声も聞かれます。それでもBMWは一体この中途半端な印象しかないクルマをどんなユーザーに届けたいのでしょうか? あまりにもユーザーを甘くみているのではと思う点も多々あります。クルマにあまり興味がない人に向けた「それっぽいクルマ」を作って、底辺を拡大しようというなら意図はわからなくもないのですが・・・。元々3シリーズとは矛盾に満ちた存在ではありましたが・・・。
3シリーズのコンセプトは2代前のE46までは大きく分けてふたつありました。一つは現在のF30に受け継がれる北米市場を意図したサイズ拡大を意図したもので、もう一つは現在の1シリーズにつながるtiと呼ばれたコンパクトサイズのものです。簡単に言うと「恰好ばっかりでつまらない」ものと「かっこ悪いけど愉しい」ものの2つです。
このF32はサイズ拡大した方のF30系のクーペなのですが、これが実に「絶妙」というか「微妙」というか解釈の分かれる立ち位置のクルマです(だから中途半端です)。個人的に好きか嫌いか?と問われたら「嫌い」と答えます。一方でこのクルマに満足する人の気持ちもなんとなく分かります。BMWというネームバリューを外して考えても、エコ主流の大人しい日本のDセグとは別路線を突き進むヤンチャなコンセプトだけでも十分に評価に値します。
ただクルマが持つコンセプトが強過ぎて、例えば50~60歳代のオヤジが満足気に乗っていたりすると、全てが裏目に出てしまいます。かといって20~30歳代が気楽に買える価格のクルマでもないわけで、結局は「日本では」乗る人がいないクルマになってしまいます。現実問題としてドイツでもアメリカでも乗る人がどんどん少なくなっている(クルマが人を選んでしまっている)クルマがF30系だったりします。
先ほども述べましたが、1シリーズも3シリーズも元々は同じクルマで今もBMWの「L7プラットホーム」を共通で使っていて60%以上の部品を共有しています。この2つが分かれた2004年からBMWの販売が変調し始め、2000年代後半にはドイツでの販売で後発のアウディに追い抜かれ、北米でもE90系がインフィニティG(V36スカイライン)に完敗しました。2006年にBMWの経営陣が突如交替するなど、内部のドタバタもあり2012年までに180万台という目標も未達に終わりました。
BMWファンの中では「おさかな顔」や「直6モデルの廃止」が不振の原因と言われているようですが、やはり根本的な問題はバブル期から販売の主体を担ってきた3シリーズを安易にクラス分けしたことではないかと思います。後に「品位を失った1シリーズ」と「翼を失った3シリーズ」へと分裂したE46までの旧3シリーズにおいては、走りの面で評価されていたのは「TI」ことコンパクトでした。
主に1.6~2.0Lの直4NAを搭載していたコンパクトは軽量かつ高剛性で限りなくスポーツカーに近い乗り味を実現し、このクルマの影響下にあるとされているのが、日産のP10プリメーラとマツダのGG系アテンザでいずれも欧州で高い評価を受けました。軽量で高剛性のボディを気持ちよく回るNAエンジンで引っ張るC/Dセグスポーツセダンというコンセプトは2000年代前半のFF車のトレンドとして定着しました。
しかしホンダやアルファロメオが自慢の高回転型ロングストローク(この両社のエンジンは回り過ぎてバルブの物理的限界値に到達してしまったらしい)を持ち込んだ時点で、突如として自動車のトレンドがSUVなど他のボディタイプのクルマへと移ってしまい、2000年代後半には作られなくなりました。
結果論ではありますが、C/DセグメントこそがBMW3シリーズにとって理想郷だったのだと思います。Cセグになって「お山の大将」に堕ちた1シリーズと、北米トレンドに乗ってかってD/Eセグまでサイズを上げた3シリーズのどちらも、かつての輝きは大きく失われてしまいました。そもそもが2つのコンセプトを1つの車名で演じたあやふやな存在だったのですが、ターボ化されて大衆化した1シリーズと、プレミアムでもスポーティでもない安モノの3シリーズに分かれてから欠点ばかりが目立ってしまいました。E46時代に318TI(直4NA)と330i(直6NA)を乗り比べた著名な日本人評論家がこう評していました。 〜 330iのオーナーが「オレはいいクルマ乗ってんだ」って318tiのオーナーの前で胸張ったら、そいつはただの裸の王様だよ。 〜
現行の1シリーズと3シリーズも未だにこの「ねじれ」の関係から脱していないのではないかと思います。そしてそれぞれのクーペ版である2シリーズと4シリーズにも同じことが言えるようです。BMWとしては4シリーズの直6ターボ2モデル(435iとM4)に従来モデルからパワーアップした設定にして、この寓話からの「脱皮」を図っているようですが、乗り出し価格が435iで約800万円と強気です。コレ買うならR35GT-Rにいくでしょ・・・というのが自然か。もしBMWが本気で硬派なスポーツメーカーならスカイラインのライバル車である3/4シリーズをベースにしてGT-Rを超えるクルマ作るのでは?根性みせろ!
↓プリメーラ・スカイライン・GT-Rの生みの親こと、水野和敏氏はBMWやベンツを決して認めていないようですね。欧州メーカーはポルシェとジャガーだけ!でもプリメーラはパクりじゃ?
さて新たに設定された4シリーズには直6ターボ(435i)がまだ残されていてよかったという声も聞かれます。それでもBMWは一体この中途半端な印象しかないクルマをどんなユーザーに届けたいのでしょうか? あまりにもユーザーを甘くみているのではと思う点も多々あります。クルマにあまり興味がない人に向けた「それっぽいクルマ」を作って、底辺を拡大しようというなら意図はわからなくもないのですが・・・。元々3シリーズとは矛盾に満ちた存在ではありましたが・・・。
3シリーズのコンセプトは2代前のE46までは大きく分けてふたつありました。一つは現在のF30に受け継がれる北米市場を意図したサイズ拡大を意図したもので、もう一つは現在の1シリーズにつながるtiと呼ばれたコンパクトサイズのものです。簡単に言うと「恰好ばっかりでつまらない」ものと「かっこ悪いけど愉しい」ものの2つです。
このF32はサイズ拡大した方のF30系のクーペなのですが、これが実に「絶妙」というか「微妙」というか解釈の分かれる立ち位置のクルマです(だから中途半端です)。個人的に好きか嫌いか?と問われたら「嫌い」と答えます。一方でこのクルマに満足する人の気持ちもなんとなく分かります。BMWというネームバリューを外して考えても、エコ主流の大人しい日本のDセグとは別路線を突き進むヤンチャなコンセプトだけでも十分に評価に値します。
ただクルマが持つコンセプトが強過ぎて、例えば50~60歳代のオヤジが満足気に乗っていたりすると、全てが裏目に出てしまいます。かといって20~30歳代が気楽に買える価格のクルマでもないわけで、結局は「日本では」乗る人がいないクルマになってしまいます。現実問題としてドイツでもアメリカでも乗る人がどんどん少なくなっている(クルマが人を選んでしまっている)クルマがF30系だったりします。
先ほども述べましたが、1シリーズも3シリーズも元々は同じクルマで今もBMWの「L7プラットホーム」を共通で使っていて60%以上の部品を共有しています。この2つが分かれた2004年からBMWの販売が変調し始め、2000年代後半にはドイツでの販売で後発のアウディに追い抜かれ、北米でもE90系がインフィニティG(V36スカイライン)に完敗しました。2006年にBMWの経営陣が突如交替するなど、内部のドタバタもあり2012年までに180万台という目標も未達に終わりました。
BMWファンの中では「おさかな顔」や「直6モデルの廃止」が不振の原因と言われているようですが、やはり根本的な問題はバブル期から販売の主体を担ってきた3シリーズを安易にクラス分けしたことではないかと思います。後に「品位を失った1シリーズ」と「翼を失った3シリーズ」へと分裂したE46までの旧3シリーズにおいては、走りの面で評価されていたのは「TI」ことコンパクトでした。
主に1.6~2.0Lの直4NAを搭載していたコンパクトは軽量かつ高剛性で限りなくスポーツカーに近い乗り味を実現し、このクルマの影響下にあるとされているのが、日産のP10プリメーラとマツダのGG系アテンザでいずれも欧州で高い評価を受けました。軽量で高剛性のボディを気持ちよく回るNAエンジンで引っ張るC/Dセグスポーツセダンというコンセプトは2000年代前半のFF車のトレンドとして定着しました。
しかしホンダやアルファロメオが自慢の高回転型ロングストローク(この両社のエンジンは回り過ぎてバルブの物理的限界値に到達してしまったらしい)を持ち込んだ時点で、突如として自動車のトレンドがSUVなど他のボディタイプのクルマへと移ってしまい、2000年代後半には作られなくなりました。
結果論ではありますが、C/DセグメントこそがBMW3シリーズにとって理想郷だったのだと思います。Cセグになって「お山の大将」に堕ちた1シリーズと、北米トレンドに乗ってかってD/Eセグまでサイズを上げた3シリーズのどちらも、かつての輝きは大きく失われてしまいました。そもそもが2つのコンセプトを1つの車名で演じたあやふやな存在だったのですが、ターボ化されて大衆化した1シリーズと、プレミアムでもスポーティでもない安モノの3シリーズに分かれてから欠点ばかりが目立ってしまいました。E46時代に318TI(直4NA)と330i(直6NA)を乗り比べた著名な日本人評論家がこう評していました。 〜 330iのオーナーが「オレはいいクルマ乗ってんだ」って318tiのオーナーの前で胸張ったら、そいつはただの裸の王様だよ。 〜
現行の1シリーズと3シリーズも未だにこの「ねじれ」の関係から脱していないのではないかと思います。そしてそれぞれのクーペ版である2シリーズと4シリーズにも同じことが言えるようです。BMWとしては4シリーズの直6ターボ2モデル(435iとM4)に従来モデルからパワーアップした設定にして、この寓話からの「脱皮」を図っているようですが、乗り出し価格が435iで約800万円と強気です。コレ買うならR35GT-Rにいくでしょ・・・というのが自然か。もしBMWが本気で硬派なスポーツメーカーならスカイラインのライバル車である3/4シリーズをベースにしてGT-Rを超えるクルマ作るのでは?根性みせろ!
↓プリメーラ・スカイライン・GT-Rの生みの親こと、水野和敏氏はBMWやベンツを決して認めていないようですね。欧州メーカーはポルシェとジャガーだけ!でもプリメーラはパクりじゃ?
ラベル:
003BMW(ブランド),
102クーペ(車種),
BMW4
2013年10月4日金曜日
シボレー・コルベット 「古典的なスポーツカーに哀愁の情」
スポーツカーのデザインというのは、実際のところ他の車種と比べても保守的なのだということに最近気がつきました。セダンやSUV、ミニバンは街中に溢れていて、どんなに優れたデザインも見慣れてしまえば、つまらないものに成ってしまいます。よって割と控えめと言われるトヨタ車のデザインでも、飽きられるのを防ぐために、ミニバンなどはかなり大胆なデザインを配すクルマが多かったりします。
ただこれが日本では圧倒的に少数派になるアメリカ生産モデルとなると、あまりに奇抜なデザインは斬新であると好意的に評価されるのではなく、奇抜過ぎる事でクルマとしての整合性を失い、見る人には気味悪いとすら認識されてしまうかもしれません。私がある日突然に、シボレーカマロに乗って実家に出向いたら、母親のぶったまげる顔が目に浮かびます。おそらくBMW6だったら「いいクルマだねぇ〜」くらいなものでしょうが・・・。
カマロも6シリーズも母親からすれば見慣れない程度としては同レベルなのでしょうが、デザインが与える刺激は完全に別物です。カマロと6シリーズどっちに乗りたいかはまた別の話ですが、周囲により「まろやか」な刺激を発する6シリーズのどこか心の奥底に潜む感性に合致するデザインには、一日の長があると思います。
そんな「保守的」な感情に支配されてしまっている田舎者の私にとって、スペシャリティカーの「原風景」と言えるようなデザインのクルマが間もなく発売されます。7代目となるシボレー・コルベットは、北米色全開のデザインが特徴のシボレーブランドにあって5代目以降はことごとく日本市場に高い親和性を持っている。5代目(C5)がマツダRX-7FD3Sのデザインをパクっていて、6代目(C6)がホンダNSXの後期モデルにそっくりなので、親和性もへったくれもなく「疑似」以外の何者でもないです。一応、コルベットの名誉の為に一言付け加えると、C6コルベットのリアデザインは個性的ですばらしい造りをしていて、2年後に登場した日産GT-Rが露骨にパクっています。
さて7代目(C7)は日産GT-Rでもパクるのかと思いましたが、今度はオリジナリティ溢れるデザインに落ち着きました。それでもとても日本的な面構えで、まるで日本メーカーが作ったかのような印象すらあります。クライスラーのSRTヴァイパーに似ているかなという気もします。コルベットは湾岸線などを走っているとちょいちょい出没する、日本でも人気のスポーツカーです。一旦見つけると無意識に追跡してしまうくらいに美しいボディラインにうっとりしてしまいます。ちょっと道路が空いてくると、6.2LのV8エンジンで凄い加速をするので、油断してるとあっという間に置いていかれます。その加速は体感だとGT-Rのそれに近くて日本で日常的に見られるクルマでは最速と言って良さそうです。あくまでC6の話ですが・・・。
C7コルベットの日本販売の詳細はまだわかりませんが、デザインや走行性能以外にも期待できそうな点があります。日本市場にはすでにポルシェの3車種と日産GT-R、ジャガーFタイプなどが同価格帯の高性能スポーツカーとして存在しています。C7コルベットははまだ価格が発表されていませんが、歴代モデルはこのライバルに対して高いコストパフォーマンスを発揮していました。そして今回はクーペでもカブリオレでもない第3のスタイルとして「タルガ」仕様が標準ボディになると報じられています。
歴代のポルシェやNSX、80スープラなどにはルーフの天頂部だけがスライドしてオープンになる「タルガ」スタイルが用意されていましたが、最近ではリトラクタブルハードトップ(RHT)の流行で少なくなっていました。ただスポーツカーの走行性能を大きく後退させてしまうRHTはポルシェを初めとするスポーツメーカーからは敬遠され、ソフトトップのフルオープンモデルが今なお主流です。ただソフトトップはガレージを所有していないとなかなか購入できないという難点もあります。
C7コルベットももちろんガレージで保管するのが好ましいクルマなのですが、リトラクタブルのタルガトップのおかげで、青空駐車でも心理的負担は少ないかもしれません。コルベットはこのクラスのクルマでもっともキャビンが小さいという特徴があり、マツダロードスターのようにクーペ仕様ではやや窮屈で長時間のドライブが億劫になるかもしれません。タルガトップになったとはいえ、雨天でのドライブはややナイーブになりそうです。
6.2LのV8はアメリカンなガソリン垂れ流しエンジンのイメージがありますが、最新の気筒休止システムが組み込まれていて、燃費もかなり改善されているようです。燃費とパワーそして軽量化を優先すると直4ターボという結論になったりするのですが、「NAエンジンで底が見えない出力という孤高の魅力を堪能する」「長く劣化しないで良い状態のエンジンを楽しむ」という2点においては、現状ではまだまだV8から替えが利かないです。ホンダやGMなどのアメリカ市場を主戦場とするメーカーでは今後さらなる気筒休止システムやハイブリッドの活用で「魅惑のパワーユニット」が期待されます。
ただこれが日本では圧倒的に少数派になるアメリカ生産モデルとなると、あまりに奇抜なデザインは斬新であると好意的に評価されるのではなく、奇抜過ぎる事でクルマとしての整合性を失い、見る人には気味悪いとすら認識されてしまうかもしれません。私がある日突然に、シボレーカマロに乗って実家に出向いたら、母親のぶったまげる顔が目に浮かびます。おそらくBMW6だったら「いいクルマだねぇ〜」くらいなものでしょうが・・・。
カマロも6シリーズも母親からすれば見慣れない程度としては同レベルなのでしょうが、デザインが与える刺激は完全に別物です。カマロと6シリーズどっちに乗りたいかはまた別の話ですが、周囲により「まろやか」な刺激を発する6シリーズのどこか心の奥底に潜む感性に合致するデザインには、一日の長があると思います。
そんな「保守的」な感情に支配されてしまっている田舎者の私にとって、スペシャリティカーの「原風景」と言えるようなデザインのクルマが間もなく発売されます。7代目となるシボレー・コルベットは、北米色全開のデザインが特徴のシボレーブランドにあって5代目以降はことごとく日本市場に高い親和性を持っている。5代目(C5)がマツダRX-7FD3Sのデザインをパクっていて、6代目(C6)がホンダNSXの後期モデルにそっくりなので、親和性もへったくれもなく「疑似」以外の何者でもないです。一応、コルベットの名誉の為に一言付け加えると、C6コルベットのリアデザインは個性的ですばらしい造りをしていて、2年後に登場した日産GT-Rが露骨にパクっています。
さて7代目(C7)は日産GT-Rでもパクるのかと思いましたが、今度はオリジナリティ溢れるデザインに落ち着きました。それでもとても日本的な面構えで、まるで日本メーカーが作ったかのような印象すらあります。クライスラーのSRTヴァイパーに似ているかなという気もします。コルベットは湾岸線などを走っているとちょいちょい出没する、日本でも人気のスポーツカーです。一旦見つけると無意識に追跡してしまうくらいに美しいボディラインにうっとりしてしまいます。ちょっと道路が空いてくると、6.2LのV8エンジンで凄い加速をするので、油断してるとあっという間に置いていかれます。その加速は体感だとGT-Rのそれに近くて日本で日常的に見られるクルマでは最速と言って良さそうです。あくまでC6の話ですが・・・。
C7コルベットの日本販売の詳細はまだわかりませんが、デザインや走行性能以外にも期待できそうな点があります。日本市場にはすでにポルシェの3車種と日産GT-R、ジャガーFタイプなどが同価格帯の高性能スポーツカーとして存在しています。C7コルベットははまだ価格が発表されていませんが、歴代モデルはこのライバルに対して高いコストパフォーマンスを発揮していました。そして今回はクーペでもカブリオレでもない第3のスタイルとして「タルガ」仕様が標準ボディになると報じられています。
歴代のポルシェやNSX、80スープラなどにはルーフの天頂部だけがスライドしてオープンになる「タルガ」スタイルが用意されていましたが、最近ではリトラクタブルハードトップ(RHT)の流行で少なくなっていました。ただスポーツカーの走行性能を大きく後退させてしまうRHTはポルシェを初めとするスポーツメーカーからは敬遠され、ソフトトップのフルオープンモデルが今なお主流です。ただソフトトップはガレージを所有していないとなかなか購入できないという難点もあります。
C7コルベットももちろんガレージで保管するのが好ましいクルマなのですが、リトラクタブルのタルガトップのおかげで、青空駐車でも心理的負担は少ないかもしれません。コルベットはこのクラスのクルマでもっともキャビンが小さいという特徴があり、マツダロードスターのようにクーペ仕様ではやや窮屈で長時間のドライブが億劫になるかもしれません。タルガトップになったとはいえ、雨天でのドライブはややナイーブになりそうです。
6.2LのV8はアメリカンなガソリン垂れ流しエンジンのイメージがありますが、最新の気筒休止システムが組み込まれていて、燃費もかなり改善されているようです。燃費とパワーそして軽量化を優先すると直4ターボという結論になったりするのですが、「NAエンジンで底が見えない出力という孤高の魅力を堪能する」「長く劣化しないで良い状態のエンジンを楽しむ」という2点においては、現状ではまだまだV8から替えが利かないです。ホンダやGMなどのアメリカ市場を主戦場とするメーカーでは今後さらなる気筒休止システムやハイブリッドの活用で「魅惑のパワーユニット」が期待されます。
2013年10月2日水曜日
日産R35GT-R 「今の日本にムダなクルマを作る余裕はない!」
マクラーレンMP4-12C ポルシェ911ターボ ポルシェ911GT3といった3000万円級のスーパースポーツカーが次々と日本に上陸してきます。600psを発揮する場所となると、サーキットしかないですし、これだけ高性能だと乗り心地が良いわけはなく、全く実用的ではないクルマです。いや、クルマというより競技用車両として括っていいと思います。
こういうクルマが雑誌にどどんと登場していると、思わず「アホか」とつぶやきたくなります。自分の生活を豊かにしてくれる最高のGTカーを探しているのに、なんでこんなワケの解らないクルマを見せられなきゃいけないのだろう・・・。フェラーリに乗って爆音たてて、周囲の好奇の目にさらされて、ガソリンを垂れ流して走るなんて、完全にDQNがやることだと思うのですが。
そんな3000万円するDQN車を持ち出して最高級とか言われても、何もコメントできないですね。さらに「やっぱりイタリア車はスゴい」とか真顔で言っているモータージャーナリストの非常識さは呆れるしかないです。イタリア人の1%くらいはフェラーリに乗ってるとでも思っているのでしょうか? 日本の結構有名な評論家が挙ってフェラーリを所有しています。プロとして評論する立場になったら、取りあえずフェラーリくらい所有しておかないと仕事に成らないということでしょうか。
グダグダと書きましたが、ハッキリさせておきたいのは600psの2シータースポーツなどはもはや「乗用車」ではなく「競技車両」です。また日本車・ドイツ車・イタリア車とまるで国民性が反映されたかのように比較する対象などでは決してないということです。
2007年に日産が発売したR35GT-Rは、800万円の価格で3000万円クラスのスーパースポーツを性能で圧倒してしまうという、世界をひっくり返すような衝撃でした。フェラーリが手組みでつくるエンジンや車体を、スカイラインの生産ラインに載せて作ってしまうという思いきった手法で生産コストを低減しました。
GT-Rは日産が世界に放った強烈なメッセージではないかと思います。「どんな手組みのスーパースポーツを日本に持ってきても、絶対に日産の技術には勝てない。それくらいに世界と日産には歴然たる差が存在する!」といったところでしょうか。しかもGT-Rは決して「競技車両」ではなくて、最高のドライブを演出できる究極のGTカーとして設計されています。
生活とは無縁の「競技車両」を作って悦に入るなんて、かつてのパトロンが付いて絵画を書いた芸術家みたいなものです。一方で、「乗用車」はユーザーの利便性向上の要求に最大限に応えるために開発されます。日産はあくまで「乗用車」のメーカーであり、社会をより良くしようとして作られる「乗用車」の尊厳を守るためにも、欧州の芸術家の「気まぐれ」に強烈な鉄槌を喰わす必要があると感じたのではないでしょうか。フェラーリやランボルギーニなんて所詮は「オモチャ」に過ぎないのですが、そんなものが最高のクルマと評されている現状を許せなかったのかもしれません。
日本は世界の最先端を行く「超高齢社会」です。もはや日本で「競技車両」を所有して楽しむという趣味は、乗馬用のサラブレッドを所有するような類いのものです。3000万や5000万といった価格になれば、プロレーサーでもなければ使い切れない性能のクルマになります。日本の公道でドライブデートするのに、そんなクルマが必要なはずはないですし、まあせいぜい1000万円程度のクルマにしておけば十分に幸せではないかと思います。
そういう意味でもGT-Rやポルシェ911、レクサスLS、Sクラス、7シリーズといったフラッグシップカーがおよそ1000万円程度で横並びに設定されるのも自然なことなのかもしれません。そういった理性的な潮流を作り出したという意味で、4座で世界最高クラスの性能を誇るGT-Rを日産が開発したのはとても価値があることだと思います。
こういうクルマが雑誌にどどんと登場していると、思わず「アホか」とつぶやきたくなります。自分の生活を豊かにしてくれる最高のGTカーを探しているのに、なんでこんなワケの解らないクルマを見せられなきゃいけないのだろう・・・。フェラーリに乗って爆音たてて、周囲の好奇の目にさらされて、ガソリンを垂れ流して走るなんて、完全にDQNがやることだと思うのですが。
そんな3000万円するDQN車を持ち出して最高級とか言われても、何もコメントできないですね。さらに「やっぱりイタリア車はスゴい」とか真顔で言っているモータージャーナリストの非常識さは呆れるしかないです。イタリア人の1%くらいはフェラーリに乗ってるとでも思っているのでしょうか? 日本の結構有名な評論家が挙ってフェラーリを所有しています。プロとして評論する立場になったら、取りあえずフェラーリくらい所有しておかないと仕事に成らないということでしょうか。
グダグダと書きましたが、ハッキリさせておきたいのは600psの2シータースポーツなどはもはや「乗用車」ではなく「競技車両」です。また日本車・ドイツ車・イタリア車とまるで国民性が反映されたかのように比較する対象などでは決してないということです。
2007年に日産が発売したR35GT-Rは、800万円の価格で3000万円クラスのスーパースポーツを性能で圧倒してしまうという、世界をひっくり返すような衝撃でした。フェラーリが手組みでつくるエンジンや車体を、スカイラインの生産ラインに載せて作ってしまうという思いきった手法で生産コストを低減しました。
GT-Rは日産が世界に放った強烈なメッセージではないかと思います。「どんな手組みのスーパースポーツを日本に持ってきても、絶対に日産の技術には勝てない。それくらいに世界と日産には歴然たる差が存在する!」といったところでしょうか。しかもGT-Rは決して「競技車両」ではなくて、最高のドライブを演出できる究極のGTカーとして設計されています。
生活とは無縁の「競技車両」を作って悦に入るなんて、かつてのパトロンが付いて絵画を書いた芸術家みたいなものです。一方で、「乗用車」はユーザーの利便性向上の要求に最大限に応えるために開発されます。日産はあくまで「乗用車」のメーカーであり、社会をより良くしようとして作られる「乗用車」の尊厳を守るためにも、欧州の芸術家の「気まぐれ」に強烈な鉄槌を喰わす必要があると感じたのではないでしょうか。フェラーリやランボルギーニなんて所詮は「オモチャ」に過ぎないのですが、そんなものが最高のクルマと評されている現状を許せなかったのかもしれません。
日本は世界の最先端を行く「超高齢社会」です。もはや日本で「競技車両」を所有して楽しむという趣味は、乗馬用のサラブレッドを所有するような類いのものです。3000万や5000万といった価格になれば、プロレーサーでもなければ使い切れない性能のクルマになります。日本の公道でドライブデートするのに、そんなクルマが必要なはずはないですし、まあせいぜい1000万円程度のクルマにしておけば十分に幸せではないかと思います。
そういう意味でもGT-Rやポルシェ911、レクサスLS、Sクラス、7シリーズといったフラッグシップカーがおよそ1000万円程度で横並びに設定されるのも自然なことなのかもしれません。そういった理性的な潮流を作り出したという意味で、4座で世界最高クラスの性能を誇るGT-Rを日産が開発したのはとても価値があることだと思います。
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103スポーツカー(車種),
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