2016年8月29日月曜日

アストンマーティンDB11 「バイバイ!FとP・・・」

  人類の歴史を見ていると、それの連続であることが証明されますが、かつて王侯貴族が独占的に使用していたものが、年月の経過とともに一般庶民にも利用可能なものになります。かつては貴族だけが食べた食事。かつては貴族だけが使った馬車(自動車)。かつては貴族だけが愉しんだ海外旅行。つまり時代が流れていけば、フェラーリやアストンマーティンもまた一般庶民が愉しめるブランドになっていくのでは?と思うのです・・・。裏を返せば、『貴族趣味』に愚直に憧れ続ける人々だけが、資本主義の荒波の中を突き進んでいけるのかもしれません(詐欺師の常套句!?)。

  ポルシェ、フェラーリに続いてこのブランドにもいよいよ「ターボ化」の波が訪れました。これまでのアストンマーティンのフラッグシップエンジンといえば6LのV12自然吸気でしたが、ちょっとだけダウンサイジングして5.2LのV12ツインターボになったそうです。最高出力もいよいよ600psを越えて、一線級のスーパースポーツあるいはラグジュアリーGTの世界基準をしっかりとキャッチアップしています。

  現代ではスーパーカーの定義に当てはまるクルマは、ブガティ(仏)、パガーニ(伊)、ケーニッグセグ(典)といった幾つかのブランドに限定されていて、フェラーリやマクラーレンなどは、せいぜいポルシェ911ターボや日産GT-Rのような安普請なスポーツカー出身のグループとひとまとまりに『スーパー・スポーツ』と俗称されています。スーパーカーは1台2億円前後なのに対して、スーパースポーツは1500〜4000万円の範囲に収まります。

  さらに1500~4000万円くらいで売られる600psクラスのクルマの内で、サーキット向けのものを『スーパー・スポーツ』とし、日常的に使えるツアラーを『ラグジュアリーGT』と区別し、レーシング・セレブには2台所有してもらおうというマーケットが一般的になっているようです。
ポルシェの代表的なモデルだと前者が「ターボ」「GT3」で後者が「タルガ」です。
フェラーリだと前者が「488GTB」「F12ベルリネッタ」で後者が「GTC4ルッソ」「カリフォルニアT」。
日産だと前者が「トラック」と「NISMO」で後者が「プレミアム」「ブラック」。
マクラーレンだと前者が「675LT」で後者が「570GT」。

  そしてアストンマーティンは・・・前者が「ヴァンテージS」「バルカン(未発売)」で後者が「DB9」「ヴァンキッシュ」です。前者と後者の分かれ目がいまいちハッキリしないのがこのブランドの特徴かもしれません。先ほど列挙した4ブランドは初心者にも解り易くグレードを作り分けているのに・・・なぜ? アストンマーティンが分りにくい理由の一つに「サーキットモデルの方が安い」という特徴があります。やはり英国ブランドはロールスもベントレーもジャガーもそうですが、サーキットカーよりもロードカーに重きを置いているようです。

  さらにアストンマーティンは、スーパースポーツでは常識となっているDCTを採用しない方針に決めたそうです。よってサーキット用途のヴァンテージの上級モデルV12にも順次MTモデルが追加されますし、鋭意開発中と伝えられるバルカンにもMTを組み込む模様です。そして次世代ロードカーを担う新鋭の「DB11」には8AT(ZF製)を配しています。そして細かいことですが、アストンマーティンはサーキットモデルのコンバーティブルは「ロードスター」と呼称し、ロードモデルでは「ヴォランテ」と命名して区別しています。

  現在のアストンマーティンはフォード傘下から放り出されたあと、中東のオイルマネーを資本主としていますが、近々どこかの業界ビッグネームが買収に名乗りを上げるのではないかと言われています。その最有力がルノー日産グループだそうで、カルロス=ゴーンの後継者と言われていた元日産のアンディ=パーマー氏がアストンマーティンにCEOとして迎えられていて現職です。なんでアンディ=パーマーなのか?就任後にほどなく伝えられたのは、次世代のV8はAMGから供給されるというニュース・・・。2007年にGT-Rを発売した日産の中心にいたアンディ=パーマーはゴーンの決断の背中を押した人物だとされています。

  2002年のスカイラインGT-R廃止で一気に低下した日産ブランドの求心力を高めるだけでなく、VW成長の尖兵となっていたポルシェを捉えることができる技術力のプールを使って、911ターボ撃墜作戦を展開。その後にVWグループに戦々恐々のダイムラー(メルセデス)との大規模提携が実現。AMGによるポルシェへの挑発的なエンジン開発が始まり・・・。2010年には英国でマクラーレンをブランド展開し、当初から日産系列サプライヤーの全面協力によってターボモデルばかりを展開するスーパースポーツブランドへと成長します。今では完全にポルシェやフェラーリを越えたスーパースポーツの王道ブランドとして認知されるようになりました。

  「ポルシェを越えるクルマを日産の技術で世界へ」・・・これがアンディ=パーマーが描いた青写真ならば、その続きにロードカーの頂点を目指すべく欧州の名門アストンマーティンを日産傘下へ!!!ゴーンに提言し続けたと言われています。結果的に日産は三菱は買ったけどアストンマーティンは買ってません。ただしアストンマーティンの中枢にはアンディ=パーマーのコネクションによる日産やAMG関連の技術が次々と入り込んでいるようです。そんなパーマー体制が送り出す新しいロードカーが「DB11」・・・今度こそは『デザインWCOTY』は確実か?(ヴァンキッシュは2013年のデザインWCOTYで、ジャガーFタイプとマツダアテンザとファイナル3まで残ったが受賞ならず・・・旧フォード勢によるファイナル独占はスゴい!アストンの前任デザイナー・イアン=カラムのFタイプに獲られたのは屈辱!?)

  さてDB11ですが、前作のヴァンキッシュも相当にスゴかったですけども、これま「洗練」としか形容しえないほどの継ぎ目を感じさせない滑らかなエクステリアになっています。メカの中身は日独の技術が満載ですが、それでも英国ブランドらしい伝統に沿ったGTカーを作る!!ロードカー文化を守る!!という、単なる1車種の設計に関わるエネルギー以上の鬼気迫るものを伝えてきます(ファイスリフトしたGT-Rのユルさときたら・・・)。

  変に流行を追う事はなく、完全にオリジナルを感じる独特のフォルムでありながら、イタリアのスーパースポーツが身に纏う「ウロコ」みたいな異形のカーボンパーツもないのですが、一見大人しそうに見えてそれでいてリアのフェンダー周りの造形一発で、見るものをノックアウトするほどグラマラスで神々しい一面もあります。やっぱりこれぞ「グランドツアラー」なのかなー。名門ポルシェが991(2011年)でやっと辿り着いた『境地』をさらに越えて未来的な予感もひしひし感じます(水冷ポルシェは996の壊滅的なデザインから997で前面の整形を果たし、991で正しいGTカーのリアを手に入れた・・・ポルシェファンに悪いが空冷時代はデザイン面で見るべきものは無い)。

  488GTBが日本で走り始めても、これ見よがしに「フェラーリですよー」っていう主張を、「色」と地べたを這うような「スタイル」それから「爆音」で主張してくるだけ(だと思いますよー)。言葉が悪いですがもう「目立ってなんぼ?」の世界にどっぷり浸かってます(それがフェラーリの意義なんでしょうけど)。これって恐らくですが、たとえ経済的にかなり恵まれていたとしても、これまでランエボ(ランボじゃないよ!)とかM3とか乗ってきた生粋のGTカー好きがそのまますんなりとステップアップして入っていける世界観じゃないと思うんですよ。もし3000万円くらいのお金で好きなGTカーを買える身分になったなら、M4やGT-Rの先にあるのはこの「DB11」なんじゃないのかなー。

  BMWや日産といった少々骨っぽいけども、GTカーの世界でそれぞれにかなりの地位を築いたブランドのコンセプトを飲み込んで、その上に立ってそれらのユーザーを受け入れられる真のGTカーの頂点のブランドは、フェラーリでもポルシェでもマクラーレンでもランボルギーニでもベントレーでもなく、新生アストンマーティンなのかもしれません。そのことを世界中に大きく知らしめる契機となる1台こそがこの「DB11」になりそうな予感がします。

  フェラーリやポルシェが大手を振って進む時代は終わった!!!遡れば1990年にすでにホンダが終わらせていた!!!そこから先の生温い時代に、ダラダラとフェラーリもポルシェも生き続けましたが、1990年から今までの間にこの2つのブランドがどれほどのコトを成し遂げたのだろうか!? もはやフェラーリやポルシェではこれからの時代を切り開くことなんてできない!!!・・・アンディ=パーマーは自身も相当なカーガイだと言われていますが、彼自身の信念の中にスーパースポーツブランドの新陳代謝が必要だ!という想いがあったんでしょうね・・・。

アストンマーティンDB11の動画

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2016年6月30日木曜日

718ケイマンは「リアル」に踏みとどまった!?

  718ケイマンのMTモデルが619万円。真面目に働くサラリーマンにとっては、そこまで無理な価格ではないかもしれません。クラウンマジェスタを買うか?718ケイマンを買うか?なかなか究極の選択です。どちらも600万円台で全く方向性は逆ですけども、内面から滲み出る「凄み」が溢れていて素直に憧れます。クルマ本来の価値をそのまま値踏みしたら両方とも600万円以上は十分にある!!!

  日本市場で売られている600万円台で売り出しているクルマってよくよく考えると、あれれーといったハンパなものが結構多いです。大抵は世界的にシェアが大きくてコストがかかっていないCセグ車をベースにしたモデルが想像以上に出てきます。元々は・・・ゴルフ(アウディTT)、アクセラ(レンジローバーイヴォーグ)、Aクラス(A45AMG)、プジョー308(プジョーRCZ)だったり・・・。でもそういったモデルの方がブランドも広告宣伝費をたっぷり注ぎ込めるので、よく認知されていて、日本ではむしろ売れ筋だったりするんですよね・・・。ブランド戦略恐るべし。

  それとは全く逆に「価値ある600万円台倶楽部」の候補を選出してみると、718ケイマン、マジェスタの他には・・・うーん。「ボルボV70」「VWトゥアレグ」「ホンダレジェンド」「アウディA5」「BMW・M235i」「フェアレディZニスモ」「ロータスエリーゼ」
「アルファードエクゼクティブラウンジ」くらいでしょうか(案外多いかも)。どれも到底に売れているとはいい難いのが現状です。本当に価値があるクルマってのはたくさん売っても大して儲からないから宣伝量が少ないのかなー。

  もちろんクルマなんて使う人次第です。選ぶ人間(私)が「大型車=2ペダル」「スポーツカー=3ペダル」なんて固定概念があっての選出です(ご了承ください)。「誰かをエスコートする」❌「自分で愉しむ」という2つの視点で選んでみました。「自分で愉しむ」だけのクルマに600万円はちょっと贅沢過ぎて気が引ける部分もありますが・・・。ケイマン、M235i、Zニスモ、エリーゼ。どれも逸品のスポーツモデルです。86、BRZ、WRX STI、ロードスター、S660といった国産の手軽なスポーツカーもいいですけど、単なる早朝・深夜の1人ドライブではなく、目的地がハイソサイエティーな宿泊所だったり、ロードムービー的な雰囲気に浸れる極上レジャーだったり、とにかく人生にとってインプレッシブな経験を!!!というなら「600万円台倶楽部」のスポーツカーもありかなー・・・。

  考えようによっては、手に入れて1年くらいの間にリストアップしたスポットに次々と出掛けていって、満足したら売り払ってしまえばいい!わけです。どれくらいマイナス出るのかな?とか気になるけども「600万円台倶楽部」なら中古市場も底堅いので650万円→500万円くらいで売り抜けられるんじゃないかと目論んでいます・・・。1年でクルマの償却だけで150万円は破格ですけども、300万円のクルマを10年も有り難がって乗ったからといってどーなるものでもないですよね・・・。3年も過ぎればエンジンもミッションも相当に劣化しますし、ドライブの満足度もだんだんと下がっていきます。

  安全性は折り紙付き!のアコードみたいなクルマに長くのるのは確かに意義がありそうですけど、安全性にいくらかの疑義が残るスポーツカーに10年乗り続けるメリットってのはよっぽどのサーキットフリークで無い限りは、使い勝手なども含めてデメリットの方が多い気もします。もちろん86もロードスターも1年乗って清算することもできます。300万円→200万円くらいが相場でしょうか? 86の1年分のレンタカー料金が「100万円」、ケイマンの1年分のレンタル料金が「150万円」。スポーツカーに乗るのが目的ならば「86」という選択で十分ですけども、「相応のエクスペリエンス」を追いかけてスポーツカーを選ぶならば、150万円のケイマンの方がむしろ割安かな?という気もします。

  「600万円台倶楽部」は高級な場所に行くためのクルマだ!ってのは確かなんでしょうけど、もっとも満足度の高い「エクスペリエンス」は・・・ファッションを愉しむことだと思います。休日ごとに街に現れるポルシェユーザーを観察していると、かなり高い確率で愉しんでますよ。「ポルシェ」❌「英国風コスチューム」なんかが割と定番なのかな?1年も続ければ飽きる部分もあるかもしれないけど、そうしたらまた新しいライフスタイルを見つければいいですね・・・。タクシーと新幹線(飛行機)しか乗りません!!!ってのもいいですけど、外出はタイトなケイマンにタイトな英国ルック・・・だけど自室ではシルクのパジャマでゆったり〜。若い時分はどんな生活でも格好がつきますけど、これが年喰ってくると、「スタイル」とか「規律」とかで人生に関わるあらゆることに影響が出ますよね・・・。ストレスとか自尊心とか上手くコントロールできないと人生が愉しめない。

いつまでも若者と同じことしていちゃいけないな〜・・・。
若者と一緒になって86やロードスター乗っている場合じゃない・・・。
そんな「意識高い系」の人ならば718ケイマンのコスパは案外高いと思います!!

「ケイマン駆って(買って)行ってみよか!?『星のや』イメージ動画」

  

2016年6月21日火曜日

プジョー308GTi"プジョー・スポール" 「左MTはまだまだ続く!?」

  いわゆる「ホットハッチ」と呼ばれるクルマには、時代の「息吹」と言えるような興味深いトレンドなどあるのでしょうか!? ちょっと乱暴な言い方ですけども、ユーザーが「これ!」を望んでいるだろうからという前向きな戦略を顧みる余裕などないから「ホットハッチ」なのでは!? 「理念」なんてすっごく抽象的なものですが、開発者の熱意が込められた「野心的な1台」と、メーカー都合の結果として生まれた「予定調和」では、天と地ほどの差があると思いますね。グレード名で「GTカー」と名乗るのであればなおさらのことです。

  は〜???と思われるかもしれないですが、野心的な1台だから素晴らしい!!!だとか予定調和だからダメという単純な話ではないです。例えば「メルセデスA45AMG」と「プジョー308GTライン」では同じCセグのホットハッチですけども、想定しているユーザーも全然違うでしょうし、一方はメルセデスがこのクラスでも頂点に立つ!という「野心的」なモデルで、もう片方は平凡な大衆モデル「308」の弱点をカバーする程度の「予定調和」モデルでして、価格差は2倍以上!!!・・・ホットハッチなのに単純比較がナンセンスなほどに「振り幅」がデカい。

  価格から想定するに「A45AMG」(713万円〜)はメルセデスの野心を象徴した1台ですし、その狙い通り実際に日本でも反響が大きかったです。「308GTライン」(314万円〜)は単純にマーケティング上の判断で設定されているベース車よりも35万円高の「セットオプション車」という予定調和です。・・・何が言いたいかというと、「スペシャルティカー」という基準ならばAMG謹製エンジンを積んだ「A45AMG」に納得させられますけども、「ホットハッチ」という観点で考えると、314万円で納得の走りを追求したプジョー側に軍配が挙がるのでは?ってことです。

  「ホットハッチ」というジャンルを作ったのは「VWゴルフGTI」というおなじみの伝統モデルです。1991年に発売された3代目ゴルフはとにかくゴルフの黒歴史とか言われちゃうぐらいに評判悪いモデルでしたけど、今になってみれば2000年以降の自動車産業の未来を確実に暗示したクルマでした。当時の日本車はまだまだバブル真っ盛りで、世界一といっていいくらいに豪華なクルマ作りをしてましたが、その頃VWは世界に先駆けて「コストを抑えるクルマ作り」を始めました。・・・自動車評論家が語る「日本車=コストダウン」という通説とは全然違いますね。ネット普及のおかげで今では調べれば誰でもわかることですけども。

  そんな3代目ゴルフの性能面での弱点を押し隠すように企画されたのが、2.8LのV6自然吸気エンジンを積んだ「GTI」でした。これまでのGTIは1.6L直4でしたから大幅なパワーアップを果たしています。アウトバーンを250km/hで巡航できる小型車!!!確かに「コストダウン」とは誰も思いません・・・・上手い!!!そもそもコストダウンってとってもネガティブな響きがありますけど、大衆モデルを性能が落ちないように作れるならば、どんどんコストダウンして、ユーザーにもメーカーにも恩恵があるクルマにしていけばいいじゃん!!!とも思いますけどね。この3代目ゴルフの場合はある程度「恣意的」に粉飾しようとしたわけですから・・・エンジン以外の性能面でやや厳しいところがあったのでしょうね。

  4代目ゴルフになると2.8Lから3.2Lにエンジンがさらに拡大され、「R32」と呼ばれます(笑)。しかし同時期に発売された欧州フォードのフォーカスによってゴルフはクラストップの地位から引き摺り降ろされます。フォード(フォーカス)・ボルボ(C30)・マツダ(アクセラ)が三位一体になって繰り出した新しい「ホットハッチ」の波がVW、オペル、PSA、ルノーといったドイツやフランスの名門をまとめて飲み込んだ結果・・・、プライドも何も投げ捨ててVWがフォードの設計をパクリます。5代目ゴルフで息を吹き返したVWの設計がオペル、PSA、ルノーにも広がっていきます。

  フォード陣営の中核を担ったのがマツダでしたが、そもそもファミリア〜アクセラに強い影響を与えたのは常にマツダの先を歩みホンダのシビック。つまりホンダを源流とした「ホットハッチ」スタイルが欧州全域へと流れ込んだことになります。ただしホンダがシビックタイプRに用意した「Vテック」搭載エンジンは代を追うごとに他のメーカーの追従が難しい究極エンジンになりました。2L自然吸気で225psを出すホンダに対抗するために選ばれた現実的な路線がターボによるスープアップでした。

  いまではホンダもターボに転身し、「横置きFFの2Lターボ」に265~380psと出力のバラツキはあるものの、ほぼ同じような設計の「ホットハッチ」が並んでます。まるでニュルで競争しているVW、ホンダ、ルノーが話題作りのために口裏合わせして「2Lターボで行きましょう!」と決めているのかな!?そんな「談合」すら匂わせる今どきのメーカーからは、ちょっと距離を置いて登場したのがPSAのホットハッチです。いまどき「ガソリンの2Lターボが無い」というメーカーも珍しいですが、ターボチャージャーの恩恵で様々なバージョンが生まれている1.6Lの「EP6」というBMWと共同で開発されて話題になったエンジンをいまも熟成させています(BMWではすでに廃止か)。

  この「EP6」にはTHP150、THP165、THP200、THP208・・・と最高出力に応じた数字が付けられたバージョン番号があるわけですが、同じ方式に従うと新たに追加された308GTIにはTHP250とTHP270の2種類が使われるようです。ちなみに270ps版ですがモデル末期を迎えている旧型シャシー(EMP2ではない)の「プジョーRCZ-R」に搭載されたバージョンをそのまま横流ししたものだと思われます。プジョーが「野心的」に発売した(アウディTTのパクリですけど)ものの、横置きFFのスペシャルティカーに500万円以上の値札を付けてもさっぱり売れない!とやっと悟ったプジョーが「ホットハッチ」らしいパッケージへ原点回帰しています。

  270psのRCZ-Rは550万円でしたが、270psの308GTIならば436万円。250psバージョンならば385万円まで抑えられます。220psのゴルフGTI(389万円)でもMTが選べるようになりましたが、308GTIは「左MT」のみ!!!考えようによっては、シフト操作とウインカー操作が左右の手に分散できる「左MT」にもそれなりのメリットはあります。さてこのプジョー308GTiを「野心的」と見るか「予定調和」と見るか・・・。「ホットハッチ」を巡る市場の判断はとても興味深いです。

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2016年6月10日金曜日

アルファロメオ・ジュリア「なんかすっごいらしい・・・」

  某ウェブ記事に西川淳さんによるアルファ・ジュリアの海外インプレが出ていました。内容をごくごく簡単に要約すると「迷わず買え!」・・・。ロードスターだの86だのに押しまくられて居場所を失っていたスポーツセダンがこのジュリアを契機に復活するぞ!とでも言いたげです。

  先日、知人に連れられて都内のBMWジャパンへ行ってきました。420グランクーペが500万円を切るとのことだったので、ちょっと興味を持ったのですが、結局はレザー限定で在庫を探してもらったら600万円という提示!!!そこからさらに50万円くらいなら行けます・・・といったニュアンスでした。まあ全て想像の範囲内でしたね(笑)。即決しろ!!!と言われてもすでに予算から100万円オーバーですから。

  都内という立地なので家賃が高いのでしょうね。いつもお世話になっている東京西部にあるムラウチBMWのショールームとは比べものにならないくらいにタイトで猫の額のような大衆向け商談ルーム、そんな場所で見苦しい貧乏人アピール(値引交渉)も悲しいので特に何も言いませんでしたよ・・・。

  ただし試乗したクルマは予想以上でしたね・・・。用意されていたのは社員の私用車だという「420グランクーペMスポ」でした。F30の3erと同じベーシックな180psそこそこの直4エンジンのはずなのに、以前に乗った320非Mスポ車とはレスポンスがまるで別物なのに驚きました。ハンドリングもアクセルも「スポーティで多いに結構!!!」という意味でクイックです。これ428じゃないですか?ってくらいに3人乗車でもエンジンがパワフルなこと。

  次第に疑い出しましたね・・・なんだこの怪しい「試乗スペシャル」は・・・走行約9000kmでこれまた、スポーティなセダンの乗り出し時にはほぼ不回避な、ぎこちない足回りの堅さもなく、同乗している営業担当者が「Mスポですから多少は・・・」とかいう発言がジョークに聞こえるくらいに固さなんてないです。乗った印象がほぼクラウンだったF30非Mスポに比べれば固いのかもしれないですけど、マツダに乗ってきたケツでは全く不快感など感じ取れませんでした。一つ気になることは、この日に都内までナビシートに乗ってきたE91Mスポが固かったので、その乗り心地との対比になったからかも!!!いやーF30世代はMスポなんですね・・・どうでもいいが、この試乗車を500万円で売ってくれ!!!

  そんなバリエーションを持つF30系3erよりもさらにスポーティという、攻撃的な売り込み文句をいろいろなメディアで見かけるのが、ジャガーXEですが、直4ターボ同士の争いに限定するならば、今回試乗した「420グランクーペMスポ」はそのXEをも完全に上回っていたと思います(試乗コースが違うとしても)。なんでこんなに素晴らしい「420グランクーペ」が不人気車なんだろうか・・・。やっぱり今回はジャパンに一杯喰わされたかな?乗り心地だけでなくエンジンも好調すぎ明らかにゴルフGTIよりもいい加速でしたよ!!!(GTIは1400kg&220psだぞ)

  西川さんが言うには、BMW3/4erやジャガーXEよりもさらにスポーティに仕上がっているのが、このアルファ・ジュリアなんだそうですよー。ハンドリングはさらにクイックになり(おー!!!)、エンジンの噴けもさらにダイナミック。420グランクーペとはフロントサスからして次元が違うのよ!!!ってことなんでしょうかね。想像しているものと一致するならば、ちょうど探しているど真ん中のポジションになるので、とりあえずコレに乗らないとクルマ選びがまったく進まないです。個人的には420グランクーペMスポでも大満足ですし、もう十分なんですけども・・・。

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2016年5月26日木曜日

日本市場にはもっとお買い得ですっごい存在感のGTカーがありました!!!

  このスタイリング見てください!!!誰がどう見てもGTカーのスタイリングです!!!超ロングノーズといえば・・・初代(1969年)や二代目(1978年)のフェアレディZですけども、このクルマもいいですよ!!!→「光岡・ヒミコ」動画リンク フェアレディZは現行のZ34と先代のZ33は女性人気抜群のデザインナー中村史郎さんが指揮をとったのがよくわかる、とっても「かわいらしい」デザインが特徴です。アウディTTのようなコンパクトさに凝縮された「美」を醸し出すデザインです。これらをGTカーと呼んでいいのか!?スタイリングから分類すればダイハツ・コペンみたいな位置ですかね・・・。

  ・・・ということで、フェアレディZとアウディTTは除外させてもらいました。しかしもう1台ありました!!!これぞどこからどう見てもGTカーのスタイリングです。初代フェアレディZよりもさらに強調された長いフロントノーズが只者ではないオーラを発しています。富山県にある「光岡自動車」というマイナーなメーカーが作るGTカーが「ヒミコ」です。最初から女性向けのGTカーですよ!!!という意図を予感させるネーミングですが、アルファロメオ「ジュリア」に対抗したと思えば男性が乗ってもいいですよね。

  光岡はクラシカルデザインによる趣味車を作るメーカーだと一般的には思われてますが、まあその通りですね・・・。ただし、モディファイしている年代は1950年代という、日本の自動車産業の中では極めて早い段階にあたる、「オースチンA40サマーセットサルーン」という英国車を日産がノックダウン生産する形式で作られていたクルマみたいです。ガチのお金持ちしかクルマが所有できなかった時代の「貴族イメージ」を、現代のクルマのパッケージで販売するという極めて独特な製品です。つまり昔の工芸品を愛でるというスタンスではなく、極めて貴族文化的で「ロココ」調です。それに対して、VWザ・ビートルやミニなどは庶民文化を基調としていて「新古典主義」的な質実剛健さが光るので、クルマとしての意味合いは「近そう」で全くの「対極」にあるとも言えます。

  日本の高級車というと、レクサスもインフィニティもあくまでコンテンポラリーな「プレミアム枠」を律儀に守ったクルマ作りをしています。ロールスロイスやベントレーが見せるような「ロココ」(あくまで貴族向けという意味)を体現できるクルマは、特別に誂えられたプレジデントやセンチュリーといった公用車だけです。そんな中で唯一ブランド単位で「ロココ」を志向しているのが光岡ですね。ちなみに現行モデルは4車種のようです。

  238万円〜の設定の「ビュート」は日産マーチの設計を使うも全長は4515mmまで延長されています。とはいってもホイールベースはマーチと全く同じで2450mmなので、キャビンの部分ではなく、前後に張り出したオーバーハングの部分が違うだけなので決して広くはないです。ただし外からみて狭そうには見えません。なんとも不思議なクルマです。価格設定も十分に納得できる範囲ではないでしょうか。日産のコンパクトというのは歴代モデルがそうですが、トヨタやホンダよりも品格を重んじる設計なので、マーチというベース車選択はクルマの性格を考えると大正解じゃないでしょうか。

  もう少し大きいキャビンの「光岡」が欲しい人には、ホイールベースも2600mmまで伸びてエンジンも1.5L自然吸気に変わってパワフルになった「リューギ」というモデルがあります。こちらはトヨタのカローラアクシオ/フィールダーをベースにしています。価格は258万円〜となっていて、これまた「ロココ」趣味を楽しむにはえらくリーズナブルです。キャビンスペースを拡大→カローラという着地点がなんとも絶妙です。そしてなんとHVモデルも既にラインナップされてます!!!

  さらに5mクラスのフルサイズがお望みならば「ガリュー」というフラッグシップサルーンがなんと403万円!!!というお値打ち価格です。ベース車は日産ティアナですから、このクラスのFFサルーンでは質感ナンバー1で車内も最も広い設計で非常に快適です・・・これまた素晴らしいベース車選択です。さらに日産自慢の自動ブレーキまで標準装備されていて、性能面でも最先端ですね!!!日産とトヨタを厳選して選んでますから、メンテナンスに関しても安心して乗れますね・・・もし中身がマレーシアや韓国のメーカーだったらちょっと買うのを躊躇ってしまうでしょうけど。

  そしてGTカー「ヒミコ」ですが、こちらも光岡がベース車を厳選したようで、マツダNCロードスターが使われています。「セダンは日産」で「スポーツカーはマツダ」という選択がとても的確です。リトラクタブルハードトップ機能も含めてNCロードスターを流用していますが、あちらは既に新型が登場しているので、「ヒミコ」も「オロチ」のあとを追って間もなく販売終了になるかも・・・。ちなみに「オロチ」というのはトヨタの3.3Lの横置きV6(MZ系エンジン)をミッドシップに積んだ1200万円する光岡のスーパーカーです。ほぼ同じ機構のロータス(トヨタエンジン)の上級モデルよりも割高ですが、ロータスなんて歯牙にもかけないくらいの強烈なエクステリアが売りで、アストンマーティンもマツダも裸足で逃げ出すほどの出来映えです。

  その「オロチ」に負けず劣らず「ヒミコ」もかなり押し出しの強い割にエレガントなGTカーです。価格はちょっと高めの502万円です。ただし他の3台と違って、ロードスターのシャシーを根本的に弄っていて、ホイールベースは3030mm!!!もはやロードスターとは全く別のクルマです。超絶ハンドリングマシンのロードスターの最大の特徴を「要らない!!!」と切り捨てるのはちょっとビックリですが、これはマツダのスポーツカーに捧げる熱意に対する敬意だと思います。

  それにしてもマツダ自慢の「MZRエンジン」を積んだモデルがまだまだこんなところに生きていたとは!!!フォードが撤退し、ボルボがデンソー開発のエンジンに変わり、残るジャガーとランドローバーも段階的にMZRから新開発の「インジウム・モジュラー」に変わるそうなので、この「ヒミコ」はマツダファンそして名機「MZR」のファンにとってはとても貴重なモデルと言えるかもしれません。さらにマツダではなかなか実現しなかったロングホイールベース車への搭載も実現しました。直進安定性が高められた、まさにGTカー仕様のシャシーでハイオク仕様の高回転型MZRはどんなフィールを出すのか!?・・・やべー欲しくなった!!!


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2016年5月19日木曜日

日本で一番お買い得なGTカーはなんと・・・「アノ」ブランドだった!!!

  あまりにも「ニワカ」過ぎで自分でも笑ってしまうくらいなんですけども、GTカーが欲っしーなー!!!! とはいっても・・・さらに厄介なことに「ニワカ」にありがちな本格指向でガチガチなので、ハッチバックにGTウイング付けた「サーキット」ルックなスタイルは「違う」って感じです。近頃多く見かけるのがメルセデスAMGのアレとかスズキのスイスポだったりのデモカー仕様みたいな派手なヤツです。他人が乗っている分には楽しそうでいいね!って思いますけど・・・ちょっとGTカーとはいい難い。

  やっぱりGTカーってのは、どこまでも磨き抜かれたスタイルで、町中にただならぬオーラを発信できる絶対的な存在感が必要だと思います。しばしば休日などに見ることができるポルシェ911と日産GT-Rがその代表格でしょうか。他にもちょっと古いクルマになりますがトヨタ・スープラ(特に最終型)は今でも現役バリバリといっていいくらいのGTカー王道スタイルで、いいですねー。同じトヨタが作るレクサスIS・Fや比較的新しいRC・Fなどよりも断然に「GTカー好き」の心を揺さぶってくれます。

  どうやらトヨタは新しいスープラを企画しているようで、その設計・開発・製造をドイツのBMWとかいう弱小メーカーに委託したようです。このメーカーについてはよく知らなかったのですが、なんと日本にも正規輸入がされているんですね!!!ただし公式HPでその製品を見たらなんだか、ボデーちょっと古くさい断面を使うスタイルで、まるで東欧諸国で見かけるような昔のアウディを連想させます。どうやら日本にも完全にオタク・マニア向けに輸入されているようですね。価格もちょっと高めのマニア価格でした。こんなメーカーに任せて大丈夫なのかな〜・・・なんか嫌な予感しかしないです。

  さらに「なんじゃこりゃ!」と思ったのは、Dセグ?と思われるクラスのセダンでもいまだにサイドブレーキのレバーがセンターコンソールに生えているんですよ!!!日本ではかなり昔に使われなくなっていて、割と最近まではに日本でも一番遅れているとされる広島のマツダというメーカーだけが使ってましたが、さすがに恥ずかしくなって一昨年くらいに廃止してましたね。小型やスポーティなモデルではまだまだ使われていますけども・・・。

  しかしよくよく考えてみると、GTカーにはサイドブレーキレバーがぜひ欲しいですね。別に私は「滑らす」ためとかじゃなくてコクピットデザイン的にいいかなと・・・。トヨタの社長はとても「滑らせる」のが大好きなようですから、このBMWってメーカーに恐らくよく「滑る」GTカー作らせているのかなー。個人的にはGTカーは滑ってはダメだと思っているんですけどね。スープラも決して滑らせるクルマじゃなかったんですけども、トヨタの社長の趣味がヘンに発揮されるとメチャクチャなクルマ(公道の凶器)になりそうですね・・・。

  速いクルマならいくらでもあるので、やっぱりスタイルを追求してほしいですね。調べた限りだとBMWにはデザイン面では何も期待できそうにないです。本当に素晴らしいGTカーを作り上げるつもりなら、ピニンファリーナ(イタリアのデザイン会社)にオファーするべきだと思います。このピニンファリーナは2000年代に入ってあまり市販車のデザインをやらなくなりましたが、それでもその少ない中でアルファロメオ・スパイダー、ボルボC70、マセラティ・グランツーリズモなど、さすがと言える2ドアデザインを送り出しています。ボルボに倣って日本やドイツのメーカーはイタリアのデザインに頼るしかないんじゃないでしょうか・・・ホンダやマツダのようにフェラーリ(ピニンファリーナ)がパクるくらいのデザイン力があれば別ですけど。

  世界的なブランドの中で、バリバリのGTカーデザインを誇る現行モデルって一体どれだけあるの?「アウディR8」「BMWi8」「BMW6er」「AMG・GT」「ポルシェ911」「ポルシェケイマン」「アストンマーティン・DB11」「アストンマーティンV12ヴァンテージ」「アストンマーティンDB9」「アストンマーティン・V8ヴァンテージ」「アストンマーティン・ヴァンキッシュ」「ベントレー・コンチネンタルGT」「ジャガーFタイプクーペ」「ロータス・エヴォーラ400」「フェラーリ・カリフォルニアT」「マセラティ・グランカブリオ」「マセラティ・グランツーリズモ」「ホンダNSX」「レクサスLC」「日産GT-R」「シボレー・コルベット」「ダッジ・ヴァイパー」「ダッジ・チャレンジャー」「フォード・マスタング」。

  結構ありますね・・・しかし最もお買い得であろうフォード・マスタングの日本撤退は悔やんでも悔やみ切れないです。正規輸入の中で最もお買い得なのは!!!なんとポルシェ!!!最も安いGTカーがポルシェというとても歪な状況を一刻も早く変えるためにトヨタとBMWには次期スープラの早期の発売を期待したいです。しかーし800万円〜とかいうとんでもない価格設定で、最廉価はケイマンのまま!!!という可能性もありますが・・・。個人的には「ダッジ・ヴァイパー」の正規輸入に期待したいです。これこそが現代GTカーの理想型じゃないかと思います(約900万円〜なのでGT-R北米価格より安い!!!)。
ダッジ・ヴァイパーの動画


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2016年5月11日水曜日

英国経済復活で・・・いよいよ「タスカン」が再始動するみたいです。

  この20年あまりの間、ドイツブランドや日本ブランドが世界で大活躍するのを、指をくわえて見続けてきたイギリスの自動車産業は、完全に新しい展開を迎えているようです。21世紀に入って巻き起こった業界再編の中で、イギリスの自動車産業はことごとく独立性を失っていきました。日本メーカーも状況はほぼ同じで、トヨタとホンダ以外は全て外資に身売りしましたが、イギリスでは一定規模のメーカーの全てのブランドが身売り・・・。

  ベントレーはVWに、ロールスロイスとMGローバーはBMWに、アストンマーティンとジャガーはフォードにそれぞれ買収されましたが、これら「まとも」な自動車メーカーに買収されたブランドにとっては幸運だったようで、再びクルマを自力で作るだけの開発&製造スキームを、あるいは必要に応じて開発が難しい部分の供給を受けられる体制を作ることができたようです。F1で知名度が高いマクラーレン・カーズが2010年頃から市販車の取り扱いを再開して新型モデルを次々と発表し、一躍スーパーカーシーンの主役に躍り出ると、それに続けとばかりにインドやカタールといった新興国資本を株主として復活したジャガー=ランドローバーやアストンマーティンも、日本に直営ディーラーを建てるなど再び攻勢にでています。

  そんな押せ押せムードのイギリススポーツカーブランドですが、10年前まで日本にも正規輸入を行っていた名門ブランドがいよいよ復活を果たします。一度はロシア資本に身請けされたものの、倒産の憂き目を経て再び英国資本で再建されたのが「TVR」というGTカーや小型スポーツカーが得意なブランドです。英国人の資本家レス=エドガーが「イギリスの誇りを取り戻す」と宣言してから活動が再開し、デザイナーにはマクラーレン・F1を手掛けたゴードン・マレーが登用されたようです。

  英国人が英国人のために英国車の誇りを取り戻すためにGTカーを作っているという話なんですが、・・・日本メーカーで例えれば!?水野和敏さんが日産でGT-Rを作ったみたいなものでしょうか。どう考えても中途半端な仕事で終わるとは思えない雰囲気です。日本でも再び人気が高まっている英国車・・・だけどどうでしょうか?多くの日本のユーザーはジャガーのXFとかXEとかいったドイツ車もどきなセダンを買って満足しているような気がします。あるいは・・・マツダロードスターのコンセプトを拝借して自らのアイデンティティとしたロータス辺りをよく見かけます。マレーシア資本でトヨタのエンジンを使って作られる日本風のスポーツカー・・・もちろんイギリスにもライトウエイトスポーツの伝統はありますけど(コーリン=チャップマンに敬礼)。

  ロータスはともかく、ジャガーのセダンはどうも期待ハズレですね。デザインにオーラが無いです(B◯Wのコピーみたい)。内装も走りも「これは!」ってのが無い・・・作っている連中の熱意ってのが伝わってこないです。それに引き換えエモーショナルだと感じるのはFタイプですね。もちろん900万円以上という価格帯ゆえの「説得力」もありますが、発売当時に誰もが「これは安いのでは?」と感じたでしょうし、ジャガーの売る気マンマンの気合と、「これが新生ジャガーです!!!」という挨拶代わりのインパクト大な待望のGTスポーツカーだったんじゃないかと思います。

  やっぱり英国車を買うならGTカーかな〜・・・。セダンはダメだ。なんて思っていた矢先に舞い込んできたTVR復活のニュースです。免許取りたての頃(2000年頃)に、日本で販売されていた幾多の輸入ブランドの中でもとびきりの個性派だと感じたのが、「TVRタスカン」(2代目)でした。4Lの直6エンジンで350psくらい出るのに、車重が1200kgの2シーターですから、フェアレディZをあらゆる意味で過激にしたような「エクストリーム」なスポーツカーだったと記憶しています。その佇まいは古のフェラーリ・デイトナ(365GTB)を思わせるような「王道GTカー」そのものでした。

  同時期の英国GTカーといえば「ジャガーXK」と「アストンDB7」という稀代の好デザインGTカーの時代なんですが、それでもタスカンの存在感と、孤高ともいえる欧州の古典的なスタイルを正常進化させたような「味の濃さ」を感じましたね。日本の道路だったらXKやDB7よりも断然に目立つはずです。

  新生TVRの門出を祝う「タスカン」後継モデルは、2017年の発売を予定しているそうです。2017年前後に発売を予定している新型GTカーあるいはスポーツカーは、噂の部類も含めてかなりの数に上ります。アストンマーティンのフラッグシップ「DB11」やレクサスLC、ホンダNSXなどが話題ですけども、それ以外に「アルファロメオ・ジュリアクーペ」、「インフィニティQ60(スカイラインクーペ)」、「フォードGT」。さらにマツダ(RXヴィジョン)とDS(E-TENSE)からいよいよ王道GTカーが登場するのでは?という噂もあります。そしてアルピーヌからもスポーツカーが復活らしい・・・。

  数年後の赤坂・六本木界隈の休日の地下駐車場には、見渡す限りのGTカーと高級SUVばかり・・・(それとスーパーカー)といった光景が広がるんでしょうか!?オシャレじゃなきゃクルマじゃない!!とかいう過激なコピーがクルマ雑誌に並び、今以上にプレミアムブランドによるプロモーション合戦が繰り広げられるてそうです。・・・都心でクルマをオシャレに乗る人は、ドイツ車のセダンとか呑気に買っている場合じゃないですよ!!!あと1年しっかりと貯金して2017年以降のトレンドを見極める必要がありそうですね。

2000年頃のTVRタスカンの動画を付けておきます!!!
シフトレバーがカッコいい!!

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