2013年10月4日金曜日

シボレー・コルベット 「古典的なスポーツカーに哀愁の情」

  スポーツカーのデザインというのは、実際のところ他の車種と比べても保守的なのだということに最近気がつきました。セダンやSUV、ミニバンは街中に溢れていて、どんなに優れたデザインも見慣れてしまえば、つまらないものに成ってしまいます。よって割と控えめと言われるトヨタ車のデザインでも、飽きられるのを防ぐために、ミニバンなどはかなり大胆なデザインを配すクルマが多かったりします。

  ただこれが日本では圧倒的に少数派になるアメリカ生産モデルとなると、あまりに奇抜なデザインは斬新であると好意的に評価されるのではなく、奇抜過ぎる事でクルマとしての整合性を失い、見る人には気味悪いとすら認識されてしまうかもしれません。私がある日突然に、シボレーカマロに乗って実家に出向いたら、母親のぶったまげる顔が目に浮かびます。おそらくBMW6だったら「いいクルマだねぇ〜」くらいなものでしょうが・・・。

  カマロも6シリーズも母親からすれば見慣れない程度としては同レベルなのでしょうが、デザインが与える刺激は完全に別物です。カマロと6シリーズどっちに乗りたいかはまた別の話ですが、周囲により「まろやか」な刺激を発する6シリーズのどこか心の奥底に潜む感性に合致するデザインには、一日の長があると思います。

  そんな「保守的」な感情に支配されてしまっている田舎者の私にとって、スペシャリティカーの「原風景」と言えるようなデザインのクルマが間もなく発売されます。7代目となるシボレー・コルベットは、北米色全開のデザインが特徴のシボレーブランドにあって5代目以降はことごとく日本市場に高い親和性を持っている。5代目(C5)がマツダRX-7FD3Sのデザインをパクっていて、6代目(C6)がホンダNSXの後期モデルにそっくりなので、親和性もへったくれもなく「疑似」以外の何者でもないです。一応、コルベットの名誉の為に一言付け加えると、C6コルベットのリアデザインは個性的ですばらしい造りをしていて、2年後に登場した日産GT-Rが露骨にパクっています。

  さて7代目(C7)は日産GT-Rでもパクるのかと思いましたが、今度はオリジナリティ溢れるデザインに落ち着きました。それでもとても日本的な面構えで、まるで日本メーカーが作ったかのような印象すらあります。クライスラーのSRTヴァイパーに似ているかなという気もします。コルベットは湾岸線などを走っているとちょいちょい出没する、日本でも人気のスポーツカーです。一旦見つけると無意識に追跡してしまうくらいに美しいボディラインにうっとりしてしまいます。ちょっと道路が空いてくると、6.2LのV8エンジンで凄い加速をするので、油断してるとあっという間に置いていかれます。その加速は体感だとGT-Rのそれに近くて日本で日常的に見られるクルマでは最速と言って良さそうです。あくまでC6の話ですが・・・。

  C7コルベットの日本販売の詳細はまだわかりませんが、デザインや走行性能以外にも期待できそうな点があります。日本市場にはすでにポルシェの3車種と日産GT-R、ジャガーFタイプなどが同価格帯の高性能スポーツカーとして存在しています。C7コルベットははまだ価格が発表されていませんが、歴代モデルはこのライバルに対して高いコストパフォーマンスを発揮していました。そして今回はクーペでもカブリオレでもない第3のスタイルとして「タルガ」仕様が標準ボディになると報じられています。

  歴代のポルシェやNSX、80スープラなどにはルーフの天頂部だけがスライドしてオープンになる「タルガ」スタイルが用意されていましたが、最近ではリトラクタブルハードトップ(RHT)の流行で少なくなっていました。ただスポーツカーの走行性能を大きく後退させてしまうRHTはポルシェを初めとするスポーツメーカーからは敬遠され、ソフトトップのフルオープンモデルが今なお主流です。ただソフトトップはガレージを所有していないとなかなか購入できないという難点もあります。

  C7コルベットももちろんガレージで保管するのが好ましいクルマなのですが、リトラクタブルのタルガトップのおかげで、青空駐車でも心理的負担は少ないかもしれません。コルベットはこのクラスのクルマでもっともキャビンが小さいという特徴があり、マツダロードスターのようにクーペ仕様ではやや窮屈で長時間のドライブが億劫になるかもしれません。タルガトップになったとはいえ、雨天でのドライブはややナイーブになりそうです。

  6.2LのV8はアメリカンなガソリン垂れ流しエンジンのイメージがありますが、最新の気筒休止システムが組み込まれていて、燃費もかなり改善されているようです。燃費とパワーそして軽量化を優先すると直4ターボという結論になったりするのですが、「NAエンジンで底が見えない出力という孤高の魅力を堪能する」「長く劣化しないで良い状態のエンジンを楽しむ」という2点においては、現状ではまだまだV8から替えが利かないです。ホンダやGMなどのアメリカ市場を主戦場とするメーカーでは今後さらなる気筒休止システムやハイブリッドの活用で「魅惑のパワーユニット」が期待されます。

  

  

  

  

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