2014年2月20日木曜日

スカイラインHV 「プレミアムを驚かす・・その根拠は?」

  プレミアムカーとは何か? ブラックジョークをひとつ、「新車販売時に多額のプレミアム(利回り)が計上されていて、買ってすぐに中古車価格が約半分まで落ち込むクルマ」。よってそこまで下がらないフェラーリなどはプレミアムカーではないようです。とりあえず値落ちさえさせれば何でもプレミアムカー? 半額まで下取りが下がるのに最低でも5年以上はかかる軽自動車やミニバンは間違っても該当しないわけです。

  さて本体価格450万円のV6HVセダンに生まれ変わった新型スカイラインですが、どう考えても「即時半額」というほど下取り価格が下がるとは思えません。よって結論としては「プレミアムを驚かす」云々の前に新型スカイラインそのものがプレミアムでは無いわけです。そもそもこれだけのクルマが450万円ってどう考えても安過ぎる。せめてプレミアムカーを名乗るなら、レクサスのように車体価格にぎっしりと「ディーラー入場料」分を賦課するべきだったかもしれません。

  しかし残念なことに日産系ディーラーには、アレな人々が喜びそうなラウンジなんてないです。GT-Rの水野さんは専用の商談ルームを作れって凄い剣幕で主張したそうですが、その点に関してはこの人はレクサスと気があっていたのでしょう。それでも硬派な日産(パンチパーマの元ヤンがクルマ開発してます)からしてみたらレクサスなんて女々しいと映るでしょうし、レクサスのやり方は全てが大嫌いなんだろうなと思います。そしてその想いがそのまま「なぜ?ありきたりのプレミアムカーを選ぶのか?」という暴言になるのでしょうね。それにしても「ありきたりのプレミアムカー」ってどのクルマを指しているのでしょうか?

  日産がふてぶてしく言い放ちたくなる気持ちはとてもよくわかります。例えばライバル車にレクサスIS300hという他車とパワーユニットを広く共通するクルマがあり、燃費と必要十分な加速に長所がある直4HVユニットで人気です。一方で新型スカイラインが採用したV6HVは燃費こそIS300hに劣りますが10km/Lは十分に確保でき、その上で高級車に相応しいハイパワーとAWDが設定できオールウェザーでの安定走行可能という世界のトレンドをHVで実現してしまうなど、確実にメカとして数段階上だと客観的に評価できます。

  そしてドイツのプレミアム御三家となると、HVが設定されるのはかなり高額のグレードのみに限定され、一般的にはガソリンターボのモデルが主流です。ドイツではHVが主流ではないという事情もありますが、クリーンかつハイパワーを追求するならば、レクサスや日産のHVシステムが彼らの今後の目標になるのかもしれません。とにかく新型スカイラインのユニットはDセグに限らず、高級車全体で見ても世界最先端&最高水準にあるといっても過言ではないわけです。

  しかしメカとして最高水準と考えるのはあくまで作る側の言い分であり、必ずしも最先端の新型スカイラインが既存技術で作られたV6スーパーチャージャーのジャガーXFよりも、プレミアムカーとして高く評価されるか?というと一筋縄ではいかないと思います。日産には日産の考え方があり、ジャガーにはジャガーの考え方があり、それぞれに支持するファンがいます。プレミアムカーの本質にどちらが近いかは、この2台のどちらが生き残っていくかによって明らかになると思います。

  世界市場をくらべ、日本はあらゆる意味でオーバースペックと考えられています。世界では2Lの直4ターボエンジンさえ積んでいれば、確実に高級車として扱われますが、日本ではそうは考えられていません。日産の謳い文句にも少なからず、恵まれた環境の日本車の現在地がわからなくなっている「奢り」を感じてしまうのです。日産のセールスマンはこれから新型スカイラインがいかに優れたクルマかということを顧客にオラオラで説明することでしょう。ともすれば450万円という価格は安過ぎると感じるくらいかもしれません。

  日産の最先端の研究を否定するつもりはありませんが、その一方でジャガーのように数あるパワーユニットから敢えて主流ではないスーパーチャージャーを選ぶメーカーもあります。直4ターボの廉価モデルも用意する一方で、V8スパチャーのさらに過激なユニットも用意しています。日産のセールスマンの説明を聞くまでもなくスカイラインの凄さはわかると思いますが、プレミアムカーとして最高に自分を満足させてくれる1台が絶対に日産のV6HVユニットと決まるのでしょうか? プレミアムカーに求められる「官能」という観点で新型スカイラインはジャガーXFの全てのグレードを凌駕したと言えるのでしょうか? まだまだ井の中の蛙と笑われてしまう危うさがあるように感じます。

  
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