日産のアンディ・パーマーとかいうカルロス・ゴーンの後継者と目されていた人物が、日産を辞めてアストンマーティンのCEOに就任したなんてニュースはどうでもいいのですが、このパーマー氏は日産時代にアストンマーティンの買収を盛んに主張していたようですね。パーマー氏は日産から離脱と言われてますが、これは実は策略で再び日産に再合流して、その結果アストンマーティンがルノー日産の傘下に入るという、ドラスティックな再編劇が始まるのかもしれません。メルセデスとの提携を深める日産は、インフィニティブランドで待望のLサイズ・ラグジュアリークーペをこの10月にも発表する予定で、日本メーカーが未だかつて見た事がない領域に足を踏み入れていくようですが、世界中に鳴り響くスーパーブランドを吸収するのは戦略上とても有効な気がします。
日産はいわゆる「プレミアムブランド」の価格帯に伝統のスカイラインを格上げして来ました。レクサスISはとりあえず意識していないと陣営は言っているようですが、アルテッツァをルーツに持つ「IS」とスカイラインをルーツに持つ「Q50」の2台が登場したことで、このクラスのクルマは「特別」というわけではなく、ちょっと豪華に設えた「普通」のクルマというイメージが急速に広まっているように感じます。もちろんこの2台とどっこいの水準であるメルセデス、BMW、アウディブランドの各モデルも同様に「尊厳」を失いつつあり、たとえフラッグシップモデルであっても失礼ですがなんだか「つまらん」と感じてしまいます。そもそもこれらのブランドの上級モデルの主な需要はカンパニー・カーですから、いい意味で「普通」ではあるんですけど・・・。
近頃ではプライベート・ラグジュアリーカーの「新御三家」として、マセラティ、ポルシェ、ジャガーが日本でもアメリカでも人気になっていて、いわゆる「高級車」ブランドの新しいスタンダードとして次第に認知されているようです・・・。しかしこの3ブランドも最近では徐々に廉価モデルが増えていて、ブランド内の平均車両価格も下がる一方のトレンドであり、まるでメルセデスやBMWがこの10年で選択した戦略をそのままなぞっているようです。このままでは数年もしないうちにメルセデスやBMWのような立ち位置の「普通」なブランドに成り下がっていくことが予想されます。さて今後3年の内に「超高性能車」をラインナップして"ハイクラス"を主張できるブランドは一体どれくらい残るのでしょうか。
そんな中でアストンマーティンというイギリスを代表するGTカー・ブランドは、日本でもその希少さゆえに独特の存在感を放ちつづけています。BMWもランエボも大好きな英国人にとってはドイツブランドも日本ブランドもとても優秀なのは認めるところですが、それでもアストンマーティンだけは別格な存在だそうです。日本人にとってのGT-Rを作る日産のような存在なんですかね。しかし日産はなにやら国内の自動車ファンから辛辣な意見が多数よせられていて痛々しい限りではありますが・・・。個人的な意見ですが日産はもっとアストンマーティンのように愛されてもいいのではないかという気がします。そんな日本の魂の日産が、イギリスの魂のアストンマーティンを買収するなんてことが実現したら、両社の協業に思わずテンションが上がってしまいます。日仏英の3国連合による対VW包囲網という構図もドラマティックで、いかにもフランス人が国民感情を剥き出しに描きそうなプランですね。
アストンマーティンの荘厳な世界観を纏ったGTカーボディに、日産が誇るGT-R用のV6ツインターボが鎮座してもまったくの興ざめなので、VWグループが誇るランボルギーニとポルシェの2トップのような共存関係を目指してほしいです。アストンマーティンは2007年にフォードグループから売却され、現在はクウェートの資本家集団に経営権を握られていています。その再編の影響はどれくらいあるのか解りませんが、2012年に発売したフラッグシップモデルの「ヴァンキッシュ」を最後に新型車の発表は凍結されています。いかにもアラブの王族が好みそうなV12のスーパースポーツを作っただけで、その下のサブモデルに関しては次世代モデルの開発が先延ばしされているようです。今年になりV8ヴァンテージとDB9という発売から10年経つ両古参モデルの特別限定車が発売されました。10年を超えるモデルサイクルを経てもなお発売が継続されるのは、軽く1500万円を突破するクラスのスポーツカーではほとんど不可能なほどの暴挙だと思うのですが・・・。
いくらスポーツカーとはいえ、内装のデザインがここまで古くさく感じてしまっては、レクサス、アウディ、メルセデスなどの「普通」のブランドでは試乗の段階でテンションはガタ落ちしてしまうでしょう(つまり売れない)。しかしレクサスやアウディとは違ってアストンマーティンならば、ブランドが持つ超常的な世界観でユーザーを納得させてしまうのかもしれません。アストンマーティンは1940年代からスポーツカーを生産していますが、歴代の生産モデルが愛好家によってレストアを受けて、各モデルの現役率が驚異的に高いそうで、歴代の最量販車種であったDB7は現在でも9割が現役らしいです。つまりアストンマーティンの所有価値は、レクサスやアウディのように乗って内装を楽しむといった単一なものだけでなく、フェラーリやランボルギーニに匹敵あるいはそれ以上のプレミアムリセール価値が見込めることも含まれます。ゆえに内装が時代遅れだとしても何ら大勢に影響はなく、世界のクルマ愛好家は躊躇なく2000万円を注ぎ込むことができるようです。
そして今回発売された2台の特別仕様車の内の1台が、あの沢村慎太朗氏がオートカーで「近年まれに見る本物」と言わせたV8ヴァンテージN430です。なにが本物か?ということがこの沢村さんのレビューの最大のオチになっていて、詳しくはオートカーを直接読んでみてほしいのですが、まあメチャクチャな暴論をぶち上げて、「スーパースポーツ=超高級車」としか解さないクソ素人を片っ端から薙ぎ払う恐ろしい切れ味を発揮しています。「アストンマーティンに乗って、その感想をブログでポエムしてるアホどもが語るような"官能性”なんてこのクルマには全く存在しない!」「だからこそ本物なんだ!」と素人相手に強烈な"コンビネーションパンチ"を繰り出しています。「オマエらは官能を理解できて無いから語る資格もないし、そもそもリアル・スポーツが何なのかも解ってない!」ってことのようです。
メルセデス、BMWそれにポルシェやマセラティくらいなら、どんなアホが語っていようとも何とも思わないけど、アストンマーティンだけは絶対に許されない次元のブランドのようで、沢村さんがマジで"ピキる”というわけです。さあ男だったらアストンマーティン買って、「沢村さんはあーだこーだ言ってるけどさ、やっぱりこのクルマのツボは・・・」みたいなことをブログで騒ぎまくりたいと思っちゃいました・・・。V8ヴァンテージN430本体価格約1600万円か・・・はぁ〜。
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