2014年3月31日月曜日

メルセデスCクラス 「恐るべき説得力で電光石火の〇〇退治!」

  いや〜これは驚いた・・・!ってのは去年の暮れの段階での概要が明らかになった時の素直なリアクション。そしていよいよ日本での発売も夏に予定され、ドイツでは試乗会が始まったタイミングで、輸入車大好きな評論家の皆様が「うふぉ!うふぉ!」とものすごいテンションで絶賛合戦を繰り広げております。確かにこれはスゴそうだ・・・。「レクサスIS」「VWゴルフ」「マツダアクセラ」「日産スカイライン」と各メーカー渾身の1台が次々と発売されていますが、それらを全部まとめて超えてしまうほどの「破壊力」がメルセデスの新型Cクラス(W205)にはあります。

  思えばCクラスは「Dセグセダン」というクラスの中で、それほど頭角を現すクルマではありませんでした。やはり世界でも有数の「メルセデス」というブランドの中での立ち位置は低く、「ベイビー・メルセデス」と揶揄されるポジション。この"蔑称"の意味するところはメルセデスが「全く本気を出していないクルマ」という厳しい評価を受けてのもの。よって本気で相手にはしない人も多かった。確かにW204(先代)までのCクラスは「控えめ」なクルマで、400万円以上という車両価格を考えても金持ちのオバさんくらいしか似合わないものでした。

  さらにモデルチェンジがSクラス、Eクラスの後に回されてしまうということもあり、既発のSやEのデザインをモデファイした内外装はデビュー直後からどうしても印象が薄くなってしまうという不運な境遇でもありました。当然ながら業界全体の流行からも遅れがちで、場合によってはVW、ホンダ、マツダといった一般ブランドのDセグよりも古くさく見えてしまうなど、プレミアムカーとしての威厳すらも満足に保てない部分がありました。もちろん全てはこのクラスで勝負しようとしないメルセデスの方針が原因です。Cクラスを豪華に作るとSやEのシェアが奪われるという当然のマーケティング上の判断ではありますが・・・。

  しかし市場環境は2000年代の後半から大きく変わりはじめ、プレミアムカーではなくエコカーを好む高所得者層が現れるなど、メルセデスのターゲットとする層の嗜好も多様化が顕著になりました。いよいよメルセデスも考えを改めて、Cクラスの下に新たにA/CLAという入門モデルを設定し、その最廉価クラスから比べると明らかに差がつくほど魅力的なCクラスを新たに発売して、多くの新規顧客を呼び込みブランドのすそ野を拡大する狙いがあるようです。これまでCクラスが負ってきたややネガティブな役回りはA/CLAに受け渡し、新型Cクラスはまさに「脱皮」しました。

  先代まで批判が強かったエンジンは、ターボとディーゼルが既に用意されているようで、ハイブリッドも後から追加され3種類のユニットを揃えるBMW3のスタイルを踏襲し、購入者にもっともハマるものを「選ばせる」というスタンス。ちょいとびっくりしたのが6気筒モデルをガソリンでもディーゼルでも用意しないという「割り切り」です。直4のFRという設計は道義的な問題も感じるのですが、メルセデスがスバルやマツダのフィールド(直4のDセグ)で堂々と戦おうという姿勢は評価したいです。

  出力面では必要十分なレベルしか用意しないけれども、それ以外の部分では、ややつけあがり気味の「一般ブランド」を一気に突き放すというなかなか「あっぱれ」なプレミアムブランドとしての立ち振る舞い。そしてもちろんしっかり保険も掛けていて、Cクラスを選ぶ必然性を確保するための秘策が、このクラスでは例を見ない「エアサス」の導入。これにはレクサスの開発者も泡を吹いたのでは? ラグジュアリーとスポーティを高度にまとめ上げた傑作車である現行レクサスISがすでに丸裸にされていて、まさかの正攻法によるCクラスの反撃。

  マセラティのような高級イタリア車的な内装を取り入れてドイツ勢と対峙したはずのレクサスISに対して、今度のCクラスはより深い「マセラティ的官能」へ大きく接近して応戦。デビュー時にはBMW3や先代Cクラスには確実に完勝した現行のISですが、このCクラスの出来映えは見事で完全に抜き返されました。福野礼一郎というジャーナリストが、自身の最新作で「強調」していたこと、それは「レクサスISにやられたBMW3は年次改良ですぐに抜き返した!ドイツメーカーの執念はスゴい!」というものでしたが、メルセデスもまた「ラグジュアリー」において、ドイツメーカーらしい執念を見せ、レクサスに強烈な一撃をお見舞いしたように思います。

  確かにまだまだ「Cクラス」というと「いい年したオッサンが乗るクルマではない!」という意見もあるでしょうし、社会的身分が高い人には乗りたくても乗れないという人もいるでしょう。やはり世の中「プライドを持って生きる」ことはとても大切ですので、そういう意見もまた「もっとも」だと思います。「偏見」と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、まだまだDセグが高級車の中心を担うことにはやや違和感があります。

  しかし社会の変化よりも一足早く、メルセデスとレクサスは「ガチンコ」のバトルをDセグプレミアムで勃発させました。もはやCクラスやISを「本気ではないクルマ」と言う人は少数派じゃないかと思います。組織に属さない自由人にとっては、プライベートカーとして、何かと使い勝手も良く満足できるクルマが驚くべき短期間で「2台」、思わず衝動的に買ってしまいそうですね。それでもとりあえず後悔することは無さそうです。(余談ですが、BMWというブランドは硬派なんだなと改めて思いますね・・・)


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