2014年3月27日木曜日

レクサスRC 「やたらとスポーティだが・・・」

  レクサスのカタログモデルとしては久しぶりの「屋根が開かない」2ドアモデルとなる「レクサスRC」。これまでのコンバーチブルとはちょっと勝手が違って、どう個性を出していくかの選択にやや戸惑っているのでは?というのは余計なお世話か。ライバルはクーペを作り慣れているBMWとインフィニティ。そしてこのレクサスRCの最大のミッションは、北米市場で展開されるであろう「BMW4 vs インフィニティQ60」という、クーペ頂上決戦に参入して一定のシェアを得ること。

  去年暮れの東京MSのレクサスブースの中心は完全にこのRCでした。期待を大きく上回るエクステリア、特にリアの造形は4シリーズを飛び越えて、BMWの「イディア」でもある6シリーズに迫る艶かしさが感じられます。顔面はドイツ車ばりの個性でBMW4に伍する出来で、お尻はVC36スカクーを相手に堂々と立ち回れるほどの高級車調。これならばジャガーやアルファロメオにだって対抗できる。さすがはトヨタといった仕事ぶりで同じ土俵に立てれば常に優位になるように出来てます。

  これでレクサスISと同等の走行性能と内装が加われば十分に競争力を発揮しそうだけども、どうやら今回はさらなる「ブレークスルー」を狙っているらしい。まあこのクルマでスーパーGTに参戦して相当にお金を使っているわけだから、必勝を期して完璧な体制を整えるのも当然ではあるけど。RCから導入されるFスポ専用シートは東京MSで体験してきました。どうやら高級車にレザーシートという時代はいよいよ終わりを告げそうな予感がします。

  もちろん屋根が開くクルマならホコリ対策でレザーシートが必須なんでしょうが、最近の新素材ファブリックは座り心地がどんどん向上するし、見た目の耐久性もレザーより断然に良くなっている気が。そして内装デザインに占めるシートの役割はかなり大きくなっていて、ハイセンスな空間は必ずしも「木目パネル&レザーシート」ではなくなっていて、カーボンパネルにステッチ入りのウレタンファブリックシートがぐんぐんきています。

  BMW4、スカイラインクーペ、レクサスRCといったキャラクターを考えると、確実に「後者」が選択されますし、メルセデスSもジャガーXJも若い層を取込むために「意図的」に木目を放棄しています。まあこんな「変革」の時期に久しぶりにクーペを発売するレクサスにはそれなりのリスクがあるように思います。

  レクサスRCはスポーティなシートやアルミペダルを標準装備する「Fスポ」でクルマのイメージを作ろうとする意図を感じます。そもそもDセグクーペが500〜600万円という価格で買う側の立場に立ってみると、本当に欲しい要素は、シートやペダルなどいくらでも「後付け」できる部分ではない気がします。例えば「スポーツモード」にした時にHVのモーター制御が変わり300ps超の出力になる!みたいなワクワクする装備だったり、ラグジュアリーカーとして振るならば助手席オットマンシートを付けるなど、「このクルマじゃなきゃダメ」と思わせる仕掛けが必要じゃないですかね。こんな機能は300万円もしないアバルト595や日産ティアナでも出来てしまうことなのですが・・・。

  トヨタが想定しているのは、おそらく「レクサス版の86」といった立ち位置なのかな。86がいいなと思うけど世間体がという裕福なおじさんたちに買ってもらおうという魂胆があるように思います。しかし本当にスポーツを志向するなら専用設計の86を買うでしょうから、あまりにもRCがスポーティだけというのは疑問な気がします。どうせそこまで気にしてクルマ買う人は少ないだろうと、クラウンと同じように考えているのであれば「地獄に落ちろ」と願わずにはいられません。




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